- Maksim_xxxxx
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外が夕暮れとなり、暗くなって行く。 男は空を見上げて昼間より肌寒くなる気候と明度に目を細めた。 “人殺し!” 「・・・・・っ?」 ふいに、廃工場のゴロツキに言われた台詞が何故か脳を掠め、何故今思い出すのかと自らに疑問を抱いた。
2014-06-09 18:44:56@Maksim_xxxxx 『爆弾のサイズからして奴等は威力より量を優先しているね。あまり隠そうとしている様子もないし、これは…街をパニックに陥れるのが目的のようだ。怪我人は出る程度の騒ぎを起こして、どうするつもりだろうね?』 (爆弾処理をしながら店主は首を傾げている)
2014-06-09 18:53:13@powder_NR_KRMGT 「爆発騒ぎで警察を目くらましさせて、・・なんかやろうとしている、て、俺は思うが」 勢力争いが目的ではないのだろうか。いや、争ってはいるが別の目的があって競っているとしたら? 答えは分からないが普通に考えられる物を上げてみて
2014-06-09 18:56:49@Maksim_xxxxx 『そうだねぇ。私は作る側なので、使う側の思考はあまり解らないが…これは噂だが、近日の殺人鬼騒ぎで、活動どころじゃなくなった複数の掃き溜め勢力が人員不足で風前の灯火らしい。もう消滅したに等しい。自棄っぱち起こしてると囁かれているよ』
2014-06-09 19:04:31@powder_NR_KRMGT 「・・・迷惑な野郎共だな。クズはクズらしくくたばってりゃいいのによ」 相手の話す情報に眉間に皺を作り、廃工場での人間らを思い出せば思わず低い声で憎々しげに呟いて。
2014-06-09 19:09:11@Maksim_xxxxx 『まぁ所詮弱小勢力の悪あがきだ。最後に威厳として一花咲かせるつもりか、或いは誰かしらへの報復か…』 (店主は次の爆弾を処理しながら頷いた) 『でも、君の言う通りクズである事に変わりないよ。"私達"【人殺し】はねぇ』 (クスリと笑いコードを切った)
2014-06-09 19:15:22@powder_NR_KRMGT “人殺し” 二度目に聞く台詞に、ぴた と男の動きが止まった 自分達のいる路地はすっかり暗く、闇に包まれている。耳鳴りと目眩が頭の中で始まり、違和感が増す。「・・・・? おい、私“達”てのは爆弾作る奴の事だよな。アンタも殺しに使った事あんのか」
2014-06-09 19:24:06@Maksim_xxxxx (おや、と声を上げた店主が座り込んだまま青年を見上げた) 『爆弾は人を殺す物だろう?人を殺すと分かっていて作っているのだ。私が殺していると言っても過言ではないだろう?』 (悪びれもなく笑う店主の後ろで、若者がはっとなって俯いた) 『皆"人殺し"だよ』
2014-06-09 19:35:17@powder_NR_KRMGT 店主の言う言葉にみるみる表情が険しくなる。胸の内にざらざらとした嫌悪が湧き上がり、厳しい顔で吐き捨てる。 「お前らみたいな奴が、俺は大嫌いだ。アンタに頼る事が無かったら今ここでその口黙らしてやるのによ」
2014-06-09 19:39:02@Maksim_xxxxx 『気が合うな。私も君のように悪事を毛嫌う青二才は嫌いだよ』 「あ、あのっつ、次に行きましょう!」 『おおそうだ、急がねば朝が来てしまうな』 (一触即発の空気を若者が遮ると、店主はけろりと立ち上がった) 「…お兄さん、顔色が悪いですよ?大丈夫ですか?」
2014-06-09 19:53:25@powder_NR_KRMGT 「糞っ垂れが」 仲裁されながらもその背に向けて思わず呟いたが、若者に声をかけられるとやや苦い顔をし。・・・先程から確かに気の遠くなるような妙な目眩と“人殺し”という単語が脳内を駆け巡っており吐き気すら催していて 「・・多分。いや、わからん・・」
2014-06-09 21:12:29(夜の裏通りに血生臭い匂いが漂う) (白銀にピンクメッシュ髪の店主がびくりと反応した) 『…む、近辺で殺人鬼が悪さしているようだ。関わりたくないのでもし出会す事があれば一目散だよ女神!』 「は、はい!」 (若者も今は爆弾処理に忙しい) (青年を巻き込むわけにはいかないと頷いた)
2014-06-09 21:13:08(・・・・気持ち悪い) 夜の暗闇が、こわい。 幼少期に真っ暗な洞窟で死体とともに長い間閉じ込められていた記憶がぐるぐると脳内を蘇り、恐怖と吐き気が沸き上がる。 口内に湧く唾の味が、腐った死体を食べた時のような味にさえ感じる。 “人殺し” 合間合間に響くその単語が妙に印象的で。
2014-06-09 21:16:37《暗い、暗いこわい出してここから出してお願いだしてこわいこわいこわい》 (うるせぇ) “人殺し”“人殺し”“人殺し”“人殺し”“人殺し” (うるせぇ 黙れ 黙れ!)
2014-06-09 21:24:29@Maksim_xxxxx 「っ」 (若者が青年の両頬に手を触れ、ぎゅっとつねった) 「苦しいなら、ちゃんとそう言ってください。私に出来る限りの事をやりますから。何度も助けて貰ってるんです。私も助けさせてください」 (不安そうに願う若者が、じっと目を見詰めて申し出た)
2014-06-09 21:24:48@powder_NR_KRMGT 「う、・・・。何度もって工場で助けただけだろ? 青猫堂で知識売ったのはクソ猫だし、寧ろ俺が地下に落ちたので助けてもらった方だぞ・・?」 触れられ、僅かに肩が強ばるものの手から逃れようとはせず。しかし何度もとは“記憶上”違和感があった故に訂正し
2014-06-09 21:30:56(顔色の悪い青年を心配する若者が、その頬をつねりながらふと思う) 「(誰かに似ている気が…する…)」 (暗闇の中で見上げる青年の、何処か見覚えのある輪郭に首を傾げる) (でもそれが誰に似ていて、何処で見掛けたのか思い出せない) (若者の記憶が、また僅かに掠れていた)
2014-06-09 21:32:41男は覚えていない。 “自分が無意識に黒衣となり、雁首鬼と対峙した事” 男は覚えていない。 “雁首鬼から、若者を逃がした事” あの日の事を何一つ、覚えていない。
2014-06-09 21:32:50@Maksim_xxxxx 「…?…あれ、えっと…そう言えば、そうでした」 (何故そう言ったのか、自分でも違和感を感じた若者がぱっと頬から手を離し…) 『こらそこ!私の隙を突いて女神といちゃつくのはやめたまえ!と言うかちょっと一人でそこまで歩いていて怖かったんだぞ!』
2014-06-09 21:35:41@powder_NR_KRMGT 「うるせーぞそこのヘタレ」 跳んで来た店主の言葉に悪態をつきつつ、若者の頭にぽんと手を置けばまだ強ばった表情ながらも、先を促して。「いこう。まだ調子は悪いが、さっきより良い」
2014-06-09 21:39:08@Maksim_xxxxx 『…ところで』 (へたれをスルーした店主が神妙な面持ちで首を傾げた) 『日が落ちてから気になっていたのだが、君達は何かの"混じり者"かね?随分と眼光がきらびやかだな』 「…本当だ。お兄さんの金の瞳が綺麗…」 (そう言う若者の瞳も紅く鈍く光っている)
2014-06-09 21:45:23@powder_NR_KRMGT 「あ゛? 知るか。一応人の子だ」 混じり者、と問われ不機嫌に返す。金色の瞳は生まれた時からで恐らく人の子だ。しかし男の双眸は何かに呼応するようにぎらぎらと不穏に光る。そして若者の目を見て 「・・お前の目は、」 血の色によく似たそれに、固まる。
2014-06-09 21:51:13@Maksim_xxxxx 「…?」 (若者は自分の異変に自覚が無いようだ) (血の匂いに、体内の黒い液体がざわついている) (雁首鬼か黒衣か、血溜まりの濃い匂いが街中に漂っていた) 『…これ以上歩き回るのは宜しくなさそうだ。一度帰って休むかい?』 ("二人"を気遣う店主)
2014-06-09 21:57:04(若者は自分の異変に気付かない) ("黒衣"の男がそうであるように、否、彼等とは異なる形で、じわじわと蠢いている) (半端に留められた異質が、血に触れる度に錆び付いて離れなくなっていた)
2014-06-09 22:06:25@powder_NR_KRMGT 目眩が一層酷くなり気が遠くなる。ぐらりと体が傾き咄嗟に若者に捕まろうと手を——若者の“首”に手を伸ばしかけ 「・・・ッ!」 はっと我に帰ると軌道をずらし肩に手を置いて体を支えた 冷や汗が浮かぶのを感じ店主の申し出に頷いた。「・・っあぁ・・頼む」
2014-06-09 22:07:02