韓国で出版された『京城の日本語探偵作品集』と『日本推理小説事典』/韓国と台湾の日本語探偵小説
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ただ、『台湾探偵小説集』の収録作はあまり面白くなく……。この本は《日本統治期台湾文学集成》という叢書の1冊として出ているのだが、同じ叢書のほかの単行本には、日本の探偵小説アンソロジーなどで採られてもいいんじゃないかと思える作品もいくつかある。あくまで、歴史的な意義なども加味して。
2014-07-23 16:23:46たとえば、1935年に台湾の雑誌『台湾鉄道』に載った福田昌夫「魔の椅子事件」は素人探偵真田九郎が登場する作品で、サスペンスフルで飽きさせない佳作。『日本統治期台湾文学集成21 「台湾鉄道」作品集 一』(緑蔭書房、2007年)に収録。 pic.twitter.com/FzWAvr8Qxo
2014-07-23 16:32:15ほかに雑誌『台湾鉄道』には、1934年に「連作怪奇探偵小説 木乃伊の口紅」というリレー小説が載っているのだが、その著者は臍皮乱舞・大舌宇奈児・無理下大損・正気不女給という、日本の探偵作家をもじったペンネーム。作品ははっきりいって面白くない。これも『「台湾鉄道」作品集 一』に収録。
2014-07-23 16:36:39ほかには、1934年に『台湾婦人界』に載った小島泰介「屍婚」は江戸川乱歩や夢野久作を思わせなくもない変格探偵小説。雑誌創刊記念の懸賞募集小説の「特選」作品。『日本統治期台湾文学集成7 台湾通俗文学集 一』(緑蔭書房、2002年)所収。 pic.twitter.com/rUscS0ahnn
2014-07-23 16:51:111943年10月には台湾で探偵小説の日本語単行本、林熊生(りん ゆうせい)『船中の殺人』が刊行されている。中編「船中の殺人」と短編「指紋」を収録。『日本植民地文学精選集38 〔台湾編13〕 船中の殺人/龍山寺の曹老人 第一輯・第二輯』(ゆまに書房、2001年9月)で読める。
2014-07-23 17:02:48著者は台湾風の名前だが、正体は日本人の金関丈夫(かなせき たけお)。「船中の殺人」は刑事が推理に使用するデータの中に後出し的なものがやや含まれているが、関係者の証言を集め、また指紋などの証拠を元に推理を繰り返していく過程は本格探偵小説の醍醐味を味わわせてくれる。
2014-07-23 17:04:121946年12月には台湾人の葉歩月(よう ほげつ)が台湾芸術社より日本語の探偵小説単行本『白昼の殺人』を上梓。50ページほどの薄い本で、表題作のみ収録。『日本統治期台湾文学集成19 葉歩月作品集 一』(緑蔭書房、2003年)で読める。 pic.twitter.com/XRrinmMalm
2014-07-23 17:17:34『葉歩月作品集 一』には「科学小説 長生不老」も収録。『白昼の殺人』の前月(1946年11月)に同じ出版社から単行本として刊行されたもの。台湾では同年10月に新聞と雑誌での日本語使用が禁止されたが、日本語の書籍はまだ刊行可能だった。 pic.twitter.com/7Z0Lh9lvZc
2014-07-23 17:26:31ブラジルの日本語探偵小説
ブラジルで日系移民たちが日本語で執筆した探偵小説については下記のまとめをご覧ください。