甲状腺結節取り扱い診療ガイドライン(2013)より「乳頭癌が疑われたとき」についてのメモ

読んでみたい方はお近くの図書館で借りるか、またはご購入頂ければと思います。
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mizuki_kanna07409🐰おーん @kanna07409

→Brierleyらは独自の指標を用いてリスク分類を分析し、TNMが最も優れていると報告している。その他の報告でもTNMが優れたリスク分類という報告が多い。我が国の「甲状腺癌取り扱い規約(第6版)」にもTNM分類が記載され、→@kanna07409

2014-08-20 10:29:56
mizuki_kanna07409🐰おーん @kanna07409

→TNMによるstage分類は広く用いられている。以上より、TNMが妥当性、利便性に優れており、リスク分類法としてTNM分類を推奨する。@kanna07409

2014-08-20 10:31:28
mizuki_kanna07409🐰おーん @kanna07409

③乳頭癌の術式として全摘が必要か、葉切除術で十分かという議論は古くから行われてきたが、これらを比較する論文はすべて後ろ向き症例集積研究である。乳頭癌は生命予後がよいため、→@kanna07409

2014-08-20 10:42:14
mizuki_kanna07409🐰おーん @kanna07409

→前向き研究で有意差を出すためには1,000例以上の症例と数十年に及ぶ経過観察データが必要である。後ろ向き研究の場合、長期間にわたる術式の統一性、経過観察の厳密さなどは単一施設においても一定であるとは考えがたく、介入の普遍性が信頼できるとはいえない。→@kanna07409

2014-08-20 10:45:19
mizuki_kanna07409🐰おーん @kanna07409

→さらに欧米の成績は全摘術後に131I内用療法が追加されている場合が多く、単純に術式のみを比較したものではない。したがって欧米のガイドラインでは甲状腺全摘術がグレードAで推奨されているが、その根拠は強くはないと考えられる。→@kanna07409

2014-08-20 10:52:02
mizuki_kanna07409🐰おーん @kanna07409

④触知可能なリンパ節転移や、超音波検査所見でリンパ節転移が強く疑われる場合は、転移リンパ節を含む領域(気管周囲リンパ節、内深頸リンパ節ともに)の治療的リンパ節郭清が予後を向上させるエビデンスがある。→@kanna07409

2014-08-20 11:59:35
mizuki_kanna07409🐰おーん @kanna07409

→術前・術中にリンパ節転移を疑う所見のない場合に行うリンパ節郭清を予防的郭清と呼ぶが、気管周囲の予防的郭清を行った群と行わなかった群で、再発、死亡率および遠隔転移に有意差はなかったと報告されており、予防的郭清が予後を向上させるというエビデンスはない。→@kanna07409

2014-08-20 12:03:13
mizuki_kanna07409🐰おーん @kanna07409

→内深頸リンパ節転移に関する我が国のデータによると、Sugitaniらはリンパ節腫大があり・なしでの10年無再発生存率はそれぞれ76%、91%と報告している。またWadaらはリンパ節腫大のある症例の再発リスクは14.9倍と報告している。→@kanna07409

2014-08-20 12:07:59
mizuki_kanna07409🐰おーん @kanna07409

→触診のみならず、超音波検査などで転移が疑われる場合は治療的郭清が必須ではあるが、リンパ節腫大を認めない場合は内深頸リンパ節の予防的郭清は必要ないという論文が多い。@kanna07409

2014-08-20 12:10:20
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⑤131I内用療法によるアブレーションさ局所制御率や無病生存率を向上させると報告されており、また血清Tg値を再発の指標として利用できることから、甲状腺全摘後の補助療法として推奨される。→@kanna07409

2014-08-21 06:13:26
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→ただし、生命予後を改善させれかは議論の余地があり、いわゆる低リスク症例での利益は明らかでないとされる。乳頭癌は予後がよいため131I内用療法後に長期生存が期待できるが、一方で131I内用療法後の二次発癌のリスクにも考慮する必要がある。@kanna07409

2014-08-21 06:18:20
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⑥アブレーションに必要な131I必要量について30mCiと100mCiとで差がないとする報告があったが、2012年に報告された前向きランダム化試験で、30mCiは100mCiと同等にアブレーション可能であること、→@kanna07409

2014-08-21 06:23:18
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→アブレーション時の前処置(TSH上昇目的)はLT4休薬およびrhTSH投与のどちらの方法によっても差がないという結果が示された。→@kanna07409

2014-08-21 06:26:28
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→わが国では131I内用療法実施数が年々増加しており、そのニーズが高まっているにも関わらず、稼働病床数が減少しているのが現状であるが、最近131I30mCi外来投与によるアブレーションが実施可能となり、内用療法の治療環境の改善が期待されている。@kanna07409

2014-08-21 06:32:46
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⑦アブレーションではなく、残存腫瘍に対する131I内用療法の効果は腫瘍部位によって異なる。局所再発やリンパ節転移は131I集積を認めても十分な効果が得られないことが多く、むしろ外科的治療の適応である。→@kanna07409

2014-08-21 06:35:40
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→肺転移に対する131I内用療法は若年の微小結節型で最も効果が期待でき、高齢者や粗大結節型では有効性は低下する。骨転移に対しても予後改善につながる可能性があるが、脳転移には有効ではない。@kanna07409

2014-08-21 06:38:40
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⑧甲状腺乳頭癌・瀘胞癌術後のTSH抑制療法に関するメタ解析では再発リスクを28%減少させると報告されているが、エビデンスは十分ではなく効果は「probable」とされている。→@kanna07409

2014-08-21 07:09:50
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→日本人の乳頭癌術後のTSH抑制療法に関しては、前向きランダム化比較試験の結果、乳頭癌の危険度を問わずTSH抑制非施行群がTSH抑制施行群に比べ劣っていることは示されなかった。→@kanna07409

2014-08-21 06:45:16
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→一方、甲状腺ホルモンの長期投与による副作用として骨粗鬆症や心疾患のリスク増加が報告されており、また日本人における前向きコントロール試験においても骨密度の低下が示されている。→@kanna07409

2014-08-21 06:48:03
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→再発リスクが高い場合にはTSH抑制療法を行うことが推奨されるが、リスクの低い症例では血清TSH値を正常下限に維持することが推奨される。@kanna07409

2014-08-21 06:50:07
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【解説】a.甲状腺微小乳頭癌における非手術経過観察について…甲状腺微小乳頭癌を手術せずに経過観察した臨床試験の論文はわが国からの2施設からのものだけで、症例数・経過観察期間が十分ではないが、いずれも前向き研究であり貴重なデータである。→@kanna07409

2014-08-22 23:06:08
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→Itoらは隈病院において1993〜2001年に微小癌と診断された732例を対象とした臨床研究の結果を報告している。非手術経過観察を選択した162例は、70%以上の症例で腫瘍径は増大しなかった。(18〜113ヶ月・平均46.5ヶ月の経過観察)、→@kanna07409

2014-08-22 23:12:38
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→5年以上経過観察した症例に限ると腫瘍径が2㎜以上増大したものは27.5%、不変60.3%、縮小12.1%であった。2例(1.2%)に内深頸リンパ節転移が出現したが、遠隔転移や原病死は認められなかった。種々の理由により56例が手術を受けた。→@kanna07409

2014-08-22 23:16:31
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→Sugitaniらは癌研病院で1995〜2008年に微小癌と診断されななかから230例300病巣を手術せずに経過観察しその結果を報告した。腫瘍径が3㎜以上増大した症例は7%、不変90%、縮小3%で、リンパ節転移を認めたものが1%あったが、→@kanna07409

2014-08-22 23:22:53
mizuki_kanna07409🐰おーん @kanna07409

→腺外浸潤、遠隔転移が出現した症例はなかった(経過観察期間:1〜17年、平均5年)。手術への方針変更は5%(腫瘍増大9例、リンパ節転移3例)であった。→@kanna07409

2014-08-22 23:25:28