対空射撃基礎講座

対空機銃の特性や理論等の基礎を簡単に紹介することを目的としている。そのため内容としてはかなり端折っているので物足りない点についてはご了承願いたい。 細部詳細を知りたい、勉強したいという方は、私のTwitterにDMするかスペースへの参加をお願いします。
90
前へ 1 2 ・・ 6 次へ
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

レイテ沖海戦については従来と異なり特殊な条件下のもと行われたといえる。栗田艦隊について特徴を日本側の各種戦訓史料等を分析していくと下記のとおりになる。

2015-08-11 14:51:43
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

1. 敵機の攻撃圏内、合わせて地勢に制約された海域における三日間にわたる連続多数回次の戦闘となったこと。 2.我に友軍戦闘機隊の協力がなかったこと 3.栗田艦隊には航空母艦が無く、戦艦、巡洋艦及び駆逐艦より形成される輪形陣を以て戦闘を行ったこと。

2015-08-11 14:52:50
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

4.本海戦において水上対空同時砲戦が生起したこと。従って敵機の戦法、攻撃部隊の編制、攻撃運動法、攻撃目標選定法等も従来のものとは異なる部分がある。

2015-08-11 14:53:29
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

5.敵機は少数機による多数の群に分かれ、戦艦、巡洋艦といった概ね大きな艦から順にそれも同時に来襲してきたため輪形陣の強みである連合砲火による対空射撃の発揮できず、各艦による独立した対空戦闘となり (続く)

2015-08-11 14:54:13
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

また特に航空母艦のような護衛すべき艦艇がないため結局は各艦ともに自己の被害を局限するための個艦防空となったこと。

2015-08-11 14:54:18
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

6. 本海戦においては、従来比較的軽視されてきた雷撃機の行動が以前に比べて巧妙になり、特に魚雷性能の向上が認められ、急降下爆撃機と連携した雷爆同時攻撃を行ってきたこと。

2015-08-11 14:54:39
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

最後に上記の状況下において連続した多数回次にわたる対空戦闘のため被害が累増し従来にはなかった損害を招致する結果となったことである。

2015-08-11 14:55:19
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

輪形陣を形成する以上は連合砲火によって組織的な対空戦闘を実施したい目論見があったわけだが、シブヤン海での対空戦闘においては特に多数の雷撃機群による同時異方向から急降下爆撃機と連携して攻撃してきたため、日本側も輪形陣の威力を発揮できなかったという点が大きく(続く)

2015-08-11 15:02:17
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

特攻機に対する米艦隊の対空戦闘の様子とも異なる点であるといえる。特攻機に対する米艦隊の弾幕は確かに凄まじいが、シブヤン海の例と異なる点は護衛対象が明確であること、直掩機の無い日本艦隊と違い、艦隊に攻撃を仕掛けてくる機数に圧倒的な差があるため(続く)

2015-08-11 15:09:24
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

連合砲火が発揮しやすく、また1機あたりに対する砲銃の指向数も多くなるため必然的に累積撃墜確率が高くなり結果撃墜公算も高くなる。

2015-08-11 15:20:40
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

ここであまり踏み込んでもどうかと思うのでとりあえずここまでで終わりにする。

2015-08-11 15:26:14

日本海軍の対空射撃の概念図

さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

艦艇による対空射撃の大まかな弾幕網図。これはあくまで一つのモデルという認識でお願いしたい。というのも敵機の種類、攻撃方法により艦艇からの弾幕要領というのは変化するからだ。 pic.twitter.com/Q2cros0llu

2015-08-16 10:49:16
拡大
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

よってこの図ではそれぞれの砲戦距離等についてはあえて記載していない。

2015-08-16 10:50:52
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

エンガノ岬での伊勢の例では、主砲15000m、高角砲8000m、25mm機銃3500m、噴進砲2000mに設定していた。

2015-08-16 11:04:07
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

各種戦例を分析していくと主砲は敵編隊が散開するまでの数回の斉射もしくは一斉射撃。高角砲は6000までは高射器射法。主砲、高角砲ともに当初の射程より敵が近迫してきた場合に対してはそれぞれの距離に応じた照尺を予め定めておき、その地点に弾幕を張っていた。先図青は高角砲照尺二〇でのモデル

2015-08-16 11:07:21
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

25mm機銃については2500~3500mで射撃を開始することで有効射程1500m付近で敵を補足する算段となっていた。噴進砲装備の艦においては2000m以下の急降下、雷撃機に対して投弾コース上に弾幕を張ることで敵に変針を強要することができることが戦訓でも述べられている。

2015-08-16 11:10:49
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

従って対空射撃の概念を図示すると主砲であっても2000m付近でも弾幕射撃を行うため図のような一般的なモデル以上に重複した弾幕形成となる。なお13mm機銃については2000~2500mから射撃を開始し有効射程1000m付近で敵を捉えられるよう設定されている。

2015-08-16 11:15:51
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

何度も述べているが、対空射撃は敵を撃墜することが前提。その中で様々な諸条件により撃墜が困難という場合には敵の射点への針路を妨害したりして撃退に努める。あくまで対空射撃は第一に撃墜、第二に撃退。この前提は変わらない。 twitter.com/sgf004/status/…

2015-09-21 09:37:58
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

実際には第一、第二目標は同時に行われているケースが多い。敵の編隊を照準し、逐次諸元を修正しながら有効射弾を得ようと射撃を続け、撃墜すれば第一目標を達成。そこで撃墜できずとも針路変更等させれば第二目標を達成。なので実際には撃墜を意図した射撃に付随する形で撃退が付いてくる。

2015-09-21 09:48:55
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

なのでこの辺を理解した上で戦記本等読まないと間違った認識を持ってしまう。知識が無いと話、回想録の意図を読み解けない。

2015-09-21 09:54:07
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

この認識をされている方は非常に多いので一度認識を改め直した方がいい。 pic.twitter.com/50YovqnBgi

2015-09-21 09:57:49
拡大
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

@samurai_inui: 私が常日頃から言っている「撃墜を意図しない射撃は威嚇にもならない」というのは実際に戦訓にも単なる弾の浪費だとか米軍パイロットからも明後日の方向にただ撃っているのは脅威ではないともあり実戦でも証明されている。

2015-09-21 10:05:20
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

矢矧以外にもエンガノ岬沖で対空戦闘を経験した第四航空戦隊においても「戦艦、空母ノ対空砲火ハ其ノ威力最近著シク強化セラレタリト雖其ノ自衛力ニハ自ラ限度アリ『敵飛行機ヲ防グモノハ飛行機ナリ』トノ感ヲ深クス」と同時期の対空火器では強化するにしても限界を迎えつつあったことが窺え、

2015-09-24 12:29:15
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

これは日本海軍だけでなく米海軍を始め他国の海軍でも同様の問題として新たな対空火器及びそのシステムの開発、移行が望まれていたことを意味していた。

2015-09-24 12:31:42
前へ 1 2 ・・ 6 次へ