#日刊小説 まとめ 7&8週目

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りんねさん @tmn15679

07:まずワトソン医師の仰るとおり、新聞という新聞に広告を出そう。買取価格は50ポンド。場合によっては相談可能、というところだな。 シエルはそこで一旦言葉を切ると、今度は大神に向き直った。 ミスタ・大神には劇場の伝手を利用して噂を広めてもらいたい。紳士、労働者問わず。 #日刊小説

2014-09-29 18:01:47
りんねさん @tmn15679

08:それはもちろん、可能な限り。 大神が頷くと、シエルはエスティに向き直った。そしてレディ・エスティ。貴女には僕を――いや、ファントムハイヴ伯爵をレナード伯爵に紹介しっていただきたい。これからのことを考えると、伯爵の氏族《クラン》の力を借りる必要もあるでしょうから。 #日刊小説

2014-09-29 18:07:51
りんねさん @tmn15679

09:氏族、ですか? エスティの問いに、シエルは意外だな、という顔をする。 ご存知ありませんでしたかレディ。彼ら吸血鬼は氏族という強い血のつながりを持ち、また、それらの氏族の繋がりをまとめたものを結社《ソサエティ》と呼ぶそうです。その組織力は、絶筆に尽くしがたいとか。 #日刊小説

2014-09-29 18:11:01
りんねさん @tmn15679

10:銀の車輪の正体がつかめない以上、向こうが人海戦術で時計を回収した場合、我らだけでは確実に後手に回ります。である以上、こちらもそれなりに人でを揃えないといけいない――というわけです。 なるほど、わかりました。レナード様にはわたくしから連絡を取ります。少し時間を―― #日刊小説

2014-09-29 18:14:01
りんねさん @tmn15679

11:いえ、あえて失礼を承知で伯爵のロンドンの別宅にお邪魔しましょう。伯爵がご在宅でなければ、そこから、伯爵に連絡が行くはずです。レディには、その時に私の隣に立っていただければ、こちらに敵意のないことは伝わると思います。 わかりました伯爵。そのように致しましょう。 #日刊小説

2014-09-29 18:18:37
りんねさん @tmn15679

12:エスティが頷いたことで、全員の行動方針が固まった。コッペリアは無論、エスティの側を片時も離れない。 大神は劇場に戻り、セバスチャンは広告の依頼のためにシエルの側を離れた。そしてエスティは、コッペリアを伴ってシエルとともにレナードに会いに行くのであった。 #日刊小説

2014-09-29 18:22:54
りんねさん @tmn15679

ということで12ポストで月曜日分の #日刊小説 はおしまいですが、よく見たら誤字脱字や誤変換がひどいので、支部の方に上げるときにはちゃんと訂正しておきます~

2014-09-29 18:24:04
りんねさん @tmn15679

おはようございます。温泉旅行で中断していた分、 #日刊小説 まとめてやっちゃいます

2014-10-02 09:43:12
りんねさん @tmn15679

13:エスティは、シエルとともに4頭立ての馬車でレナードのロンドンの別宅へと訪問した。幸いというべきかレナードは在宅で、白磁のような美貌を持つメイドが客室へと案内してくれた。 やあ、エスティ。久し振りだね。そちらは、どなたかな? レナードが、椅子を薦めつつ尋ねる。 #日刊小説

2014-10-02 09:52:50
りんねさん @tmn15679

14:レナード様、こちらはファントムハイヴ伯爵家ご当主のシエル様です。 ご紹介にあずかりました、ファントムハイヴ伯、シエルです。このたびは帝国に、いえ、世界の一大事について伯爵のお力をお借りしたく参りました。先触れの使者を立てなかった非礼、お許し下さい。 #日刊小説

2014-10-02 09:55:29
りんねさん @tmn15679

15:シエルはエスティの紹介を受けると自らの名乗りを上げる。そして、懐中時計の回収や銀の車輪のりょうさなどに関して人手が欲しい。ついては伯爵の『氏族』および『結社』の力を借りたい。そんなふうに話した。 レナードは話を聞き終え、少し思案してから、ふむ、と頷いた。 #日刊小説

2014-10-02 09:57:54
りんねさん @tmn15679

16:その申し出、確かに世界的な危機であるのみにかかわらず、女王陛下のためにも、エスティのためにも引き受けるべきだと判断した。しかし、女王の番犬ならご存知だろうが氏族や結社は排他的だ。そう簡単に全体が協力してくれるとは思わないほうがいいだろうな。 #日刊小説

2014-10-02 10:01:21
りんねさん @tmn15679

17:ごもっともです。しかし伯爵はレディエスティのために、私は女王陛下のために誓いを立てました。その誓にかけて、私はなんとしても『結社』の力を借り受けたいと思います。 シエルの言葉に、レナードは思案する。 確かに、誓があるならば、少しはマシかもしれないな。 #日刊小説

2014-10-02 10:04:20
りんねさん @tmn15679

18:そしてレナードは側に控えていた執事に何事かを命じると、エスティたちの方に向き直った。 『氏族』および『結社』への連絡の手配はした。明日までには返答が来るはずだ、待っていていただきたい。 感謝いたします。この御礼はいずれ。 何、礼には及ばないエスティの為でもある。 #日刊小説

2014-10-02 10:09:44
りんねさん @tmn15679

19:その後儀礼的な言葉を幾つか交わすと、先ほどの美しいメイドが紅茶と菓子を持って部屋に入ってきた。 さて、話は纏まった。ここからは少し歓談しようではないか。それくらいの時間はあるだろう? はい、レナード様。ありがとうございます。ご好意に甘えさせていただきますわ。 #日刊小説

2014-10-02 10:16:29
りんねさん @tmn15679

20:ところでエスティ、そちらのメイドのこともそろそろ教えてくれないかな? レナードの言葉に、エスティはコッペリアの紹介がまだ出会ったことを思い出し、レナードとコッペリアの双方に謝罪をするとコッペリアの紹介を始めた。 なるほど、エスティは心強い味方を得た訳だな。 #日刊小説

2014-10-02 10:42:39
りんねさん @tmn15679

21:レナードは満足そうに頷くと、コッペリアの透き通った瞳を見つめた。 コッペリア、申し訳ないが私の分までエスティを守ってやって欲しい。私だけでは、この娘を守り切ることはできなかっただろうから、私にとっても心強い味方だよ。 畏レ入リマス、ミスタ・レナード。 #日刊小説

2014-10-02 10:48:04
りんねさん @tmn15679

22:コッペリアが頭を下げ、それからもしばらく歓談が続く。と、ふとレナードが立ち上がった。 思ったよりも早かったな。 レナードがそうつぶやくと執事が部屋に入ってきてレナードに何事か呟いた。 なるほど、連中も切っ掛けが欲しかったということか。 呟いて、レナードは座った。 #日刊小説

2014-10-02 11:02:16
りんねさん @tmn15679

ついで水曜日分の #日刊小説 いっきまーす

2014-10-02 11:13:02
りんねさん @tmn15679

23:どうやら結社の長老たちも今回の事態は憂慮していたらしい。ところが、組織だって動く動機をうまく作ることができないでいた。 そこに女王の番犬と密偵である君たち経由で私から結社に対して支援の要請が入った。これは女王からの援助要請にも等しい、と年寄りどもは考えたわけだ。 #日刊小説

2014-10-02 11:16:52
りんねさん @tmn15679

24:となればこれを機械に女王や政府に対して恩を売ることができる。そういう理屈を作ってようやく重いを腰を上げたということらしい。 レナードは若干忌々しそうにそう言うと、ぬるくなった紅茶を一口すすった。 ともあれ、これで我らも懐中時計の回収に動き出すことになるだろう。 #日刊小説

2014-10-02 11:33:54
りんねさん @tmn15679

25:レナードの言葉を聞いて、エスティは安堵の表情を見せる。そんなエスティを見てレナードは微笑みを浮かべた後、シエルに向き直って真面目な口調で話し始める。 ファントムハイヴ伯爵、君の取った手段だと君の屋敷がかなり危険な状態になると思うが…… ご心配はごもっともです…… #日刊小説

2014-10-02 11:42:06
りんねさん @tmn15679

26:シエルは前置きした後、ですが、我が家の使用人は優秀ですから、侵入者が生きて我が館出ることはありえないと思いますよ。 と、微笑みながらレナードに言った。 これは大変失礼した。だが伯爵、もしよければ警戒用にコウモリと狼、それと猫を派遣させていただけないだろうか? #日刊小説

2014-10-02 11:46:37
りんねさん @tmn15679

27:それを聞いたシエルは少し考えこむ。 派遣していただく猫ですが、少々多めに、かつできれば見た目が良い物を揃えていただきたいのですが宜しいでしょうか? 我が家の執事が無類の猫好きでして。 シエルが苦笑しながらそう言うと、レナードは鷹揚に頷いて約束しよう、と言った。 #日刊小説

2014-10-02 11:49:16
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