「アポカリプス・インサイド・テインティッド・ソイル」
「ワッショイ!」ニンジャスレイヤーが跳躍した。背後の壁のシリンダーを蹴っての二段ジャンプである。ニンジャスレイヤーはフォレストの頭上高くを飛び越しながら、無数のスリケンを投げつけた。タツジン!フォレストの背中は無数のスリケンを受けてハリネズミのようになるだろう!
2010-08-29 18:48:15「イヤーッ!」だが、見よ!フォレストは竹槍を捨て、頭の編笠を手に持つと、それを盾のように用いて、飛び来るスリケンをすべて受けてしまった。なんたる鮮やか!フォレストはスリケンが突き刺さった編笠をニンジャスレイヤーに投げつけた。
2010-08-29 18:58:16「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは編笠をチョップで叩き落した。だがそれは囮であった!フォレストはその隙に弓矢を取り出し、引き絞っていた。「イヤーッ!」放たれた矢にはもちろんアンタイ・ニンジャ・ウイルスが塗布されている。ニンジャスレイヤーはすんでのところでブリッジし、それを避けた。
2010-08-29 20:56:40「決着がつかんな、フォレスト=サン。次の曲芸を見せてみろ」ニンジャスレイヤーは手招きの仕草で挑発した。「言われんでも見せてやるわ」フォレストは両手にマチェーテ(山刀)を握った。二刀流である。
2010-08-29 21:04:15「サイゴンを知っているか。お前にナムの地獄の一端を見せてやろう」フォレスト・サワタリはぶつぶつと呟きながら両手のマチェーテを振り回す。ニンジャ・ソウルが有する記憶と、フォレストの意識が混濁しているのだ。危険な状態であった。
2010-08-29 23:42:54「イヤーッ!」フォレストがしかけた。めまぐるしいマチェーテの斬撃がニンジャスレイヤーを襲う。ニンジャスレイヤーはチョップで連続攻撃をいなしつづける。皆さんはお気づきだろうか?彼は反撃の機会をほとんど捉えていないのである。このままではいずれスタミナが底をつくのではないか!?
2010-08-29 23:47:57だが、ニンジャスレイヤーはただいたずらに時間を稼いでいたのでは無かった。耐えに耐えながら、フォレスト・サワタリの攻撃リズムにわずかな瑕疵が生ずる瞬間を待ち構えていたのだ。
2010-08-29 23:56:10何度ワザアリを取ろうと、最後にイポンを取られれば、死、あるのみ。ジュー・ジツの教えはそのままニンジャの容赦なき闘いの真実でもあった。「イヤーッ!」フォレストが交互に振っていた両手のマチェーテを、同時に振り下ろした。そこに一瞬生じた「溜め」を見過ごすニンジャスレイヤーではない!
2010-08-30 00:04:59「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーの反撃はイナズマのような速度であった。振り下ろしたフォレストのマチェーテがとどくよりも早く、ニンジャスレイヤーは宙返りをしながら、フォレストの顎を蹴り上げていた。「グワーッ!」伝説のカラテ技、サマーソルトキックである。
2010-08-30 00:09:12空中へ跳ね上げられたフォレストの身体を、斜めに跳んだニンジャスレイヤーの追撃がさらに上へと弾き飛ばす。「イヤーッ!」「グワーッ!」
2010-08-30 00:12:37追撃は終わらない。フォレストをさらに打ち上げたのち、ニンジャスレイヤーはシリンダーを蹴って、ふたたび斜め上にフォレストを弾き飛ばした。「イヤーッ!」「グワーッ!」
2010-08-30 00:15:36さらにニンジャスレイヤーはシリンダーを蹴り、より上空へフォレストを打ち上げた。「イヤーッ!」「グワーッ!」
2010-08-30 00:17:46ジグザグの軌道を描いて上昇するニンジャスレイヤーが、上へ上へと、フォレストの体を弾きあげていく。「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」
2010-08-30 00:21:01この円柱状の施設を、一体何メートル上昇していったのだろうか?防御する力すら奪われ力なく宙を泳ぐフォレストの真上で、空中のニンジャスレイヤーが踵を高く振り上げ、叩きつけるように、蹴った。「イヤーッ!」「グワーッ!」
2010-08-30 00:37:05フォレストは、コンクリートにめり込む程の衝撃とともに床に叩きつけられた。すこし遅れて、ニンジャスレイヤーは猫のように静かに着地した。
2010-08-30 00:43:57床で呻くナンシーの拘束を素早く解き放つと、ニンジャスレイヤーは促した。「カタは付いた。急げ。何が起こるかわからん」ナンシーがよろめきながらモニター室へ入っていくのを見届けたのち、今度はフォレストを見下ろした。「カイシャクしてやる」うつ伏せの頭部を踏み潰すべく、足を振り上げる。
2010-08-31 09:11:56「ナムサン!」ニンジャスレイヤーは容赦なく踵を振り下ろし、フォレスト・サワタリの頭部を踏み潰そうとした。そのときである!「イヤーッ!」
2010-08-31 09:14:00どこからか飛んできた紫色の細長い縄のようなものがフォレストの頭に巻きつき、彼の体を床から引き剥がした。トドメを刺しそこなったニンジャスレイヤーは、縄が飛んできた方向へ向き直った。ニンジャスレイヤー達が侵入してきたゲート方向、来た道である。
2010-08-31 09:17:28「情けねえ大将もあったもんだぜ!」毒づきながら姿をあらわしたのは、悪夢的な存在であった。体長2メートルを超す巨大なカエルにまたがったニンジャが、気絶したフォレストを小脇に抱えていた。カエルがクチャクチャと口を開閉する時、紫色の不気味な舌が見え隠れした。縄の正体はこれだ。
2010-08-31 09:31:34「ドーモ、ハジメマシテ。フロッグマンです」そのニンジャはカエルの上からアイサツした。さらに奥の闇から這い出て来るものがあった。床にこぼれた水銀のような質感の、スライム状の液体が滑り出てくる。ニンジャスレイヤーの眼前で液体は盛り上がり、人間のシルエットを形作ってゆく。
2010-08-31 09:36:40なんたる不可思議!人型に形成されたそれは、いつしか銀色のニンジャ装束を着たニンジャになっていた!「ドーモ、ハジメマシテ。ディスターブドです」銀色のニンジャがアイサツした。
2010-08-31 09:55:37さらにもう一人、ゲートの奥からのそのそと姿を現した。そのニンジャには腕が四本生えていた。「ドーモ、ハジメマシテ。ノトーリアスです」
2010-08-31 10:13:34新手の三人はどれも異様な風体であった。生き物の摂理を歪めたようなその佇まいは、このヨロシサン・バイオプラントの何らかの所業を想像させる。「ドーモ、ハジメマシテ。ニンジャスレイヤーです」ニンジャスレイヤーはアイサツを返した。
2010-08-31 10:19:22モニタ室から出て来たナンシーは新手のニンジャを認め、その場に凍りついたように立ち尽くした。「いったいこれは……」フロッグマンがのそりと進み出た。「ニンジャスレイヤー=サン。とりあえず、今日のところはここまでにしねえか。俺たちの大将はこんな有様だ。一方、このままやればお前は三対一」
2010-08-31 10:27:19「オレはやってもいいぜ!」四本腕のノトーリアスが口を挟んだ。「オレのバイオ・イアイドは無敵だからな!」「だまれノトーリアス=サン!」ぴしゃりとフロッグマンが言い放った。「まあとにかく、痛み分けにしねえか。このままやればお互い無事では済まねえ。利害もねえ。俺たちは自由が欲しいのさ」
2010-08-31 10:31:22