丹生谷貴志ツイートまとめ(2014年11月)

丹生谷貴志さんの2014年11月のツイートをまとめました。
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nibuya @cbfn

同じことを書いた記憶がありますが、例えばジョイスの翻訳の腹帯、「喜べ!」とか書いた上に「ジョイス!」というルビが付いた誰ぞのダジャレは有名で、以来僕にはジョイスの名が「ジェイムズ、嬉シイッス!」ってニイちゃん言葉に見えて、立ち直れず、邦訳で『ユリシーズ』を読むのを諦めたのでした。

2014-11-03 16:28:06
nibuya @cbfn

・・・というのは半ば負け惜しみ(?)で、どうやっても読めず、読んでも何故か乗らない「名作」というのがあって、僕にとってジョイスはその筆頭それにマルケス『百年の孤独』とか。日米の「読書家」評価で「20世紀最高作」に選ばれることの多いこれらが読めないということへの「負け惜しみ」です。

2014-11-03 16:42:39
nibuya @cbfn

『重力の虹』の仏訳を見ると、大体はきちんと訳しているのが、何故と思う細部で翻訳の省略が入るのに驚く。さして難解な部分ではないから訳者の解釈(?)なのか? ストーリー上は騒ぐほどの省略ではないが、その省略のせいで何箇所かピンチョンの独特に繊細な文がハメット風文体に変わってしまう。

2014-11-04 18:04:35
nibuya @cbfn

・・ピンチョンは所々でノワールめかしたアイリッシュ風ハメット風の文体を真似ながらそれを独特に微細化したり不意に曲げたりする。仏訳は小さなところでそれを「普通に」してしまう傾向。この仏訳者はノワール好きなのか、「余計な細かさ」を嫌うのかもしれない。しかしこれは微妙にマズイでしょう。

2014-11-04 18:21:47
nibuya @cbfn

ピンチョンを仏訳で読もうという酔狂な方は少ないと思いますが、向こうの評では『重力の虹』の訳に関しては軽いクレームがあるようです。他は大体「水準以上」と判断されているようですが『ヴァインランド』『競売ナンバー49』も確か同じ訳者で、『重力の虹』は特に訳癖が目立つのかもしれません。

2014-11-04 18:35:36
nibuya @cbfn

もっとも、フランス語の文体の良し悪しが判定できるほど僕はフランス語はわかりませんので『重力の虹』のミシェル・ドゥーリーさんの訳の判定は不能、基本きちんと訳されているという感じを受けてますが訳年を見ると初版が75年、原書の二年後ですから同人の訳ならかなり早い時期の翻訳になります。

2014-11-04 22:58:05
nibuya @cbfn

今年のベストは結局蓮實さんの『ボヴァリー論』と同じく蓮實さんと山田さんのトリュフォー最後のインタヴューじゃないか金井さんは仰り僕も基本的にそう思っています。もっとも、40年前の本の翻訳ですから「今年の」というのはアンフェアでしょうが、個人的には結局ピンチョン『重力の虹』の新訳か・

2014-11-07 01:12:59
nibuya @cbfn

エルトン・ジョンの『ロケットマン』と『重力の虹』は関係あるのかと調べる。エルトン・ジョンのは72年だからバーニー・トーピンが勉強だったとしてもそれはあり得ないでしょう。『重力の虹』の初版は73年・・・

2014-11-07 02:24:03
nibuya @cbfn

『ジャングルの国のアリス』古書注文。ティプトリーJrの母親が書いた本、「アリス」は幼時のティプトリー。彼女は対戦中敗戦ナチの残存武器の調査に出向いたという噂?を聞いたことがあってもしや・・と。まあ、50年代彼女はCIA、その頃ピンチョンは一時米軍ロケットエンジニア要員だったはず。

2014-11-07 02:30:55
nibuya @cbfn

ピンチョンは僕よりかなり年上だが彼が繰り出してくるアメリカン・コミックやTVヒーロー、映画アクション・ヒーロー、あるいは音楽のあらかたを自分が知っているのに驚く・・・必要はなくて、子供のころの福生・立川周辺がそして東京のTVが如何に「アメリカン」だったか、それだけのこと。

2014-11-07 02:36:42
nibuya @cbfn

因みに僕がザッパを初めて知ったのも米軍基地の雑誌廃棄場で拾った『LIFE』の写真でだっっと思う。それで僕はしばらくザッパ専科!になり、新宿のDiskunion地下のブートレグの棚で粗悪な洋盤を探し回った訳でした。まあ電車賃にも困ってた時期ですから成果は「推して知るべし」ですが。

2014-11-07 02:44:22
nibuya @cbfn

子供時代なんぞどうでもいいしろくに覚えてもいませんが僕は母乳ではなく当時流通し始めた乳児用粉ミルクで育児されて何かの「健康乳児」に選ばれたらしく、その賞状!を見た記憶があり、母乳ではなく人工飼料!で育ったからその賞の頭書きは「人工優良児」とあった。この呼称は今でも気に入っている。

2014-11-07 03:07:42
nibuya @cbfn

保坂和志の新著「朝露通信』が届いていて、未だ読んでませんが例によって?鎌倉での少年時代と海の話・・・うっすらしか覚えてませんが僕も同じ頃鎌倉の、湘南砂浜の東の材木座あたりに生きていた時があるので、案外保坂とすれ違ったことが・・・あったからって何がどうってもんじゃありませんがね。

2014-11-07 03:15:38
nibuya @cbfn

何とはなしにジョニー・ロットンのサンプルを探して断片を聞きまくる、と言ってもたかのしれた曲数。セックスピストルズあたりかそれ以前頃から自分がほとんど「ロック」を聴くのをやめてしまったので、音として聞き流した記憶はあっても知らない・・・それ故にとりとめのない索漠とした既視感・・・。

2014-11-08 05:51:51
nibuya @cbfn

ロックを聴かなくなった理由、僕の場合は第一に漠とした意味で「メディア」の問題があった。要はライブハウスというアトモスフェアがダメ、「コンサート会場に向かう」という動作がダメ、ヘッドフォンが生来我慢できない、「ウォークマン」系で聴くのがダメ、車の中で流されるのが我慢できないetc。

2014-11-08 06:01:01
nibuya @cbfn

・・・真面目に、高性能なモノラルのレコード盤蓄音機(!)で全てを聴くことができたなら・・・要は、何故か我慢できる音源メディアとしてすでに旧・旧々世代に属するわけでしょう・・・

2014-11-08 06:06:23
nibuya @cbfn

「死と同じく映画もコントロールの問題だ」というちょっと興味を惹くセリフが「重力の虹」にある。しかし原文を見るとどうもこれは翻訳の誤射だろう。原文から「死と同じように」と訳すのには無理があると思う。邦訳下巻187頁。誤解なきよう、別に誤射/誤訳を指摘したい訳ではない。

2014-11-09 12:56:07
nibuya @cbfn

キリスト受難の十四留、日本の僕の環境だと芸大時代はともかく数十年に一度聞くか聞かないかのこの言葉をこの二週間で、別の場で二回聞いた。一つはゲッディスの長編の冒頭、二回目はピンチョン・・・。だからなんだってことはない。要はアメリカン人のよく言う「パラノイア」ってもんでしょう。

2014-11-09 12:56:40
nibuya @cbfn

「Kapo」を「模範囚」と訳した一節に、なるほどそう訳せばいいんだと今頃感心する。モンテコルヴォ監督の『Kapo』は『ゼロ地帯』という邦題になっていて、それはそれでいいのですが『模範囚』と訳したら別の意味でかなり皮肉の効いた(!)邦題になるのかもしれない・・・などと、愚考愚考・・

2014-11-11 13:39:14
nibuya @cbfn

『重力の虹』はスロースロップ=主要人物作という設定の「賛美歌」で終わるが、詩だから仕方ないとは言え邦訳・仏訳でも訳のニュアンスが微妙にしかし解釈によってはかなり内容が違ってしまう感じで異なるのに戸惑います。佐藤さんの訳はさすがに「原文に近い」のですがそれでも微妙に違和が残る・・・

2014-11-14 03:17:00
nibuya @cbfn

これは、ピンチョンの小説をどの程度まで「キリスト教的」であると考えるか、そうであるとしたらピューリタン的とするかカトリック傾斜とするかで変わるでしょうし、或いは戯れにか本気でかユダヤ神秘主義的単語を少なからず使うことから、その影を見るか、或いはパロディーなのか等々で変わるでしょう

2014-11-14 03:25:11
nibuya @cbfn

例えば佐藤訳は「Riders」という単語を「破壊の騎手」としていて、これは黙示録の騎手のイメージからの解釈で、正訳だとは思うのですが、しかし考えようによってはこれは小説に現れる「オートバイ乗りたち」とも「キルギスを走る男達」とも或いは「ローンレンジャー」等々とも解され得るのです

2014-11-14 03:36:11
nibuya @cbfn

ちなみに仏訳は如何にもカトリック的な視点からの解釈になっています。例えば直訳すれば「時を回転させる手」となる最初の行を「時を再び見出す手」と訳し、「あらゆる山裾の顔・あらゆる石の中の魂」という行に未来形動詞を入れて「顔が現れるだろう」といった感じで訳している、とか・・・・

2014-11-14 03:48:16
nibuya @cbfn

「There is a Hand to turn the time.」を「御手」と訳した段階で「神」の臨在を呼び寄せることになりますし、「turn the time」を「時を回転させる」と解するか「時の砂時計を回す」と佐藤さんのように解するかでも神学的意味が異なってきます。

2014-11-14 09:45:43
nibuya @cbfn

・・・フランス語訳は「turn the time」を「turne le temps」という文字通りの直訳が可能なのに「retrouve le temps(時を再び見出す)」と訳した段階で強い「解釈」が加わっています。

2014-11-14 10:15:44