海上自衛隊予備自衛官の五日間訓練

海上自衛隊の予備自衛官という、いるんだかいないんだか分からないような人たちの五日間をまとめました。
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青八木景 @aoyagikei

陸自の射撃場は、コンクリート製の長方形の箱のような構造になっていて、分厚い扉をくぐって中へ入る。地面は砂地になっており、シートが引いてある部分に伏せて射撃を行う。

2014-09-17 16:34:42
青八木景 @aoyagikei

標的まではかなり遠い。距離を明記すると怒られそうな気がするので書かないが、まあ、射撃場自体が、現代の護衛艦がすっぽりと収まるぐらいの大きさなので…その、お察しください。

2014-09-17 16:36:25
青八木景 @aoyagikei

最初は小銃の照準具を、射撃距離に合わせて調節する。その後、指揮官の号令で3発射撃を行う。試射と呼ばれるもので、この3発の命中具合を見て、照準具をさらに細かく調節する。

2014-09-17 16:40:28
青八木景 @aoyagikei

で、そこまでできたら本射を行う。今回は20発。陸自の射撃場のすごいところは、射撃位置にモニターが設置されていて、自分が今撃った弾がどこに命中したかをデジタル表示してくれる。

2014-09-17 16:47:52
青八木景 @aoyagikei

海自の主力小銃である64式小銃は、1964年に正式採用された骨董品だ。陸上自衛隊からのおさがりで、お世辞にも、使いやすい、整備しやすい銃とは言い難い。しかし腐っても小銃なので、付属の脚を立てて安定した状態で撃つと、それなりによく当たる。

2014-09-17 16:53:56
青八木景 @aoyagikei

そんなこんなで射撃は終了し、お昼の時間となる。歩いて行ける距離といっても、気軽に教育隊まで戻れる距離ではないので、昼食は缶飯だ。

2014-09-17 16:56:01
青八木景 @aoyagikei

部隊で用いられている缶飯は、オリーブドラブ色に塗装された円柱形のものだけれど、教育隊などは使用頻度が高いおかげか民生品のものを使用している。スーパーの防災コーナーなどで販売されている平べったい楕円形のもので、その日は牛飯だった。

2014-09-17 17:02:17
青八木景 @aoyagikei

海自で缶飯食を実施する場合、主食となる缶飯に、副菜缶詰とお茶缶が付く。さらに2~3人に1個の割合で沢庵の缶詰が付く場合もあるけれど、今回は沢庵はなし

2014-09-17 17:03:29
青八木景 @aoyagikei

あまり美味しいとは言えない代物だけど、スーパーで数百円で売られているのを見かけていると、ついつい勿体なくて全部食べてしまう

2014-09-17 17:06:50
青八木景 @aoyagikei

10年以上前、入隊したての頃の話だが、訓練の後に缶飯が出たことがあった。私は副菜である魚の味噌煮を食べ尽くした後、その煮汁を、半分ほど残してあった缶飯の上にかけて食べていた。

2014-09-17 17:07:39
青八木景 @aoyagikei

ふと、それを思い出して実行してみたのだけれど、塩気が強過ぎて微妙な味になってしまった。やはり缶飯は、死ぬほど空腹のときに食べるのが良いらしい。

2014-09-17 17:08:20
青八木景 @aoyagikei

射撃が予定よりも早く終了してしまったので、教育隊に戻った後は明日の体力測定に備えて体育を実施した。そもそも運動嫌いが、自衛隊を辞めた後に運動するわけがない。

2014-09-17 17:12:23
青八木景 @aoyagikei

生まれたての子羊のようにプルプルしながら運動を終え、その日の夜は、昨日の分を取り戻すかのようによく眠ることができた。

2014-09-17 17:12:49
青八木景 @aoyagikei

招集訓練の3日目は、体力測定から始まった。何しろ、60代の人も参加しているから、準備体操も入念だ。体育を専門に教えている教官が10分以上かけて、体をほぐすためのストレッチを指導してくれるのだ。

2014-09-17 22:28:56
青八木景 @aoyagikei

体力測定で何をするのかといえば、腕立て、腹筋、3000m持久走の3種目だけ。しかし、基準はしっかり現職自衛官に合わせられており、細かなルールも決められている。

2014-09-17 22:32:00
青八木景 @aoyagikei

がっしりとした体育教官が前に出てきて、部下を使ってルールを丁寧に説明してくれた。部下が悪い腕立てのやり方を何パターンも演じて見せて、それを大げさな仕草で体育教官が「これは、ノーカウントです! これもノーカウント!」と絶叫。

2014-09-17 22:38:53
青八木景 @aoyagikei

その説明ぶりがあまりにも役者みたいで、あちこちで笑いを誘う。一見するとふざけ過ぎのようにも見えるけど、よくよく観察してみれば、教えを受ける側の注目を集めて、大切なポイントを印象深く教えるという教授法の一種に思えた。

2014-09-17 22:43:08
青八木景 @aoyagikei

一昔前の教官といえば、鬼コーチみたいな人が多くて、習うより慣れろ、という感じの教え方が多かった。けれど、体罰などの問題が根強い自衛隊で、暴力に頼らず効率的に物事を教えようとする努力の一端を垣間見たような気がした。

2014-09-17 22:45:50
青八木景 @aoyagikei

…といっても、それで運動不足の体力がいきなり向上するはずもなく、腕立て・腹筋ともに基準を満たすことはできませんでした。情けなや、情けなや。

2014-09-17 22:48:52
青八木景 @aoyagikei

そして3000m持久走。これはだだっ広い敷地内を延々と走るのだけど、約10名の教官が要所要所に配置され、無線が飛び交い、まるでVIPが通るかのような厳戒体制の下で行われる。

2014-09-17 22:54:40
青八木景 @aoyagikei

自転車に乗った教官が先導し、最後尾からは教育隊所属の救急車が急病人に備えてついてきてくれるという徹底ぶり。

2014-09-17 23:00:45
青八木景 @aoyagikei

とにかく、普段は全く運動などしない人たちが走るわけで、最悪を想定すれば万全の体制なのだ。が、脱落しそうになる人を救急車で追い立てているような光景は全くシュールだった。

2014-09-17 23:01:50
青八木景 @aoyagikei

半日を費やした体力測定が終わり、予備自衛官たちを待っていたのは、座学だった。海上自衛隊の現状や最新の装備の話などを聞くのだが、居眠りをする人が続出。まあ、やむを得ない。

2014-09-17 23:04:39
青八木景 @aoyagikei

ただ、最新装備の紹介のときにはミリオタっぽい人の魂に火がついたようで、突っ込んだ質問を現職の自衛官に浴びせかけていて苦笑した。現場の人が気にしないような、細かいカタログスペックについて問いただしたところで、答えられるはずもないのに。

2014-09-17 23:11:11
青八木景 @aoyagikei

そして招集訓練の4日目は、部隊実習。意外なことのように思われるかもしれないが、海上自衛隊の予備自衛官が招集されたからと言って、前線である艦艇に配属されるわけではない。

2014-09-17 23:21:56