海上自衛隊予備自衛官の五日間訓練
故あって、海上自衛隊の予備自衛官をしている。年間に5日間の訓練を受ける義務があるのだけど、この度、初めてそれに参加してきたので、備忘録も兼ねて感じたことを呟いていこうと思う。
2014-09-17 13:20:03予備自衛官というのは、現職の自衛官(常備)が有事の際などに出動したあと、基地・駐屯地の警備や後方支援を補完する目的で招集される予備人員だ。諸外国では予備役および後備役と呼ばれている。
2014-09-17 13:20:43陸上自衛隊では、民間人でも予備自衛官になることのできる制度があるが、海自では基本的に現職を1年以上務めたことのある人間が志願して採用される。一応、非常勤の国家公務員扱いで、多少の手当も支給される。
2014-09-17 13:21:32で、その予備自衛官としての義務である、5日間の招集訓練に参加してきたというわけです。初めに書いておくけれども、私自身、現職の頃からそんなに国防や国際情勢というものにあまり興味は持っていない。
2014-09-17 13:22:11何となく、と書いたら真面目な人達に怒られてしまうけれど、まさに何となく自衛隊に入隊して在職し、退職した後も何となく予備自として関係を持っていると、その程度の認識なのです。
2014-09-17 13:22:55だから、感じたこと以上のものは書かないし、美化もしない。国防に燃える人たちが期待するような文章は並ばないと思うので、ひとつ、こんな世界もあるのかと生温く見守っていただければ幸いです。
2014-09-17 13:23:18前置きが長くなったけれども、5日間の訓練の初日。場所は海上自衛隊の横須賀教育隊という部隊。ここは陸上自衛隊の武山駐屯地と隣接しており、普段はその広い敷地を利用して、新入隊者の教育をしている。
2014-09-17 13:24:09現在はその新入隊者が修業してしまった閑散期にあたり、まずは人気のない広い敷地をトボトボと歩いて、海に面した隊舎を目指すところから始まる。
2014-09-17 13:27:06海自は、陸自と違って訓練を担当している部隊が少ないため、遠方から来なければならない人が多い。そのおかげか13時までに着隊すれば良いと通知されている。
2014-09-17 13:27:33着隊したらすぐに作業服と生活用品(リネン類や洗面器、サンダルなど)を受領して、海上自衛官の格好を整える。その後、すぐに健康診断を受けなければならない。身長体重、血圧、レントゲン、尿検査、問診などだ。
2014-09-17 13:28:02理由は色々あるけれど、全ては訓練を無事に消化するため。予備自衛官の定年は64歳までなので、年齢層は若年から壮年まで幅が広い。検査で訓練に耐えられないと判断された人はここで帰されることもあるらしい。
2014-09-17 13:28:31最初から驚かされたのだが、レントゲン検査の時に、半袖シャツの裾からイレズミを覗かせている人がいた。現職だったらあり得ないことだけど、まあ、予備だからいいのかなと思うことにする。大抵のことは、気にしなければどうということもない。
2014-09-17 13:29:30健康診断が終了したら、次は訓練開始式が行われる。今回の訓練参加者は海曹士(会社でいう一般社員と契約社員)が約70名、幹部が約40名とのこと。集合し、並んでいる人達を眺めてみると、まあ、色々な人がいると感じた。
2014-09-17 13:30:29何しろ予備自衛官と一口に言っても、その経歴は様々だ。定年退職(54歳前後)したあと志願した人もいれば、任期という契約期間を満了したあと志願した人、何らかの事情で依願退職したあと志願した人などがいる。
2014-09-17 13:31:38自衛隊という組織の中で形作られた人物像からは、少し離れた人がいるのも当然だろう。髪の長い人、およそ走れるような体型では無い人、ミリオタっぽい人や、国粋主義的な発言が聞かれる人もいる。でもまあ、大体はどこにでもいそうな人たちだ。
2014-09-17 13:32:17開始式が終わると、すぐに射前教育が始まった。隊舎の外のアスファルトに毛布をひき、実弾の込められていない小銃を使用して、射撃の事前訓練を受けるのだ。
2014-09-17 13:33:39毛布の上にうつ伏せで寝て、脚を立てた64式小銃を構えて、仮の目標めがけて引き鉄をひく。そして、試射をしたあとの照準修正方法をおさらいする。いきなりだが、2日目すぐに小火器(拳銃・小銃)射撃が行われるためだった。
2014-09-17 13:34:25自衛隊の白飯は一度にたくさん炊くから本当に美味しい。少々硬めに炊きあがるためか、お年を召した方には不評だけど、自分的にはすごく好みだ。
2014-09-17 13:35:28海自は、3自衛隊の中でも特にご飯が美味しいせいで、メタボな自衛官が多い。それを問題視されたためか、現在はお味噌汁には減塩味噌、調味料にも減塩醤油などが使われている。
2014-09-17 13:36:18しかし調理専門の自衛官が腕を振るって作るので、減塩だろうが何だろうが副菜も美味しい。だから沢山ご飯が進む、なので太る、とこういう感じ。自分は運動嫌いなので、おかげで在職中に20キロ近く体重が増えた。
2014-09-17 13:37:04食事を終えると、次は風呂。食堂の反対側に、隊員用浴場があるのでそこで入浴をする。普段は大人数で使うところだから、湯船も大きい。いまは閑散期なので、ゆったりと足を延ばして浸かることができた。
2014-09-17 13:37:38隊舎の一部屋は、大体6人部屋。仕切りはなく、ドンと並べられたベットでそれぞれ寝ることになる。ちなみに柵は付いていないが、大きめなので少々の寝返りでは落ちたりはしない。
2014-09-17 13:38:0322時には消灯で、隊舎全体が暗くなってしまう。だから寝るしかない。しばらくはスマホをいじっていたが、やることもなくなって目を閉じる。不思議な気分だった。在職中の些細な記憶が呼び起されて、初日の夜はあまり眠ることができなかった。
2014-09-17 13:38:31