「万能」の意味 ~ES細胞とiPS細胞について~

万能細胞の万能ってどういういみなんでしょう。 いまさらですが、ES細胞とiPS細胞について知りたいなと思っていましたところ、素晴らしい方達よりレスをいただきました。
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縞うさぎ/詫摩雅子 @shima_usa96

@Butayama3 ES細胞の場合は、胎盤がらみの遺伝子は最初からそうした“鍵”がかかっていない状態なのですが、iPS細胞の場合は皮膚などの細胞から作るので、いっぱい“鍵”のかかった状態から始めるわけです。

2014-12-29 02:51:52

細胞を初期化するということはこの「鍵」を外すこと!

縞うさぎ/詫摩雅子 @shima_usa96

@Butayama3 皮膚の細胞だったら、ケラチン(皮膚のタンパク質)は鍵が外れている状態になっているでしょうが、たとえばインスリン(膵臓のタンパク質)遺伝子は鍵がかかっているはずです。iPS細胞でやっている、細胞を元に戻す(初期化する、リプログラミングなどといいます)とは、

2014-12-29 02:54:14
縞うさぎ/詫摩雅子 @shima_usa96

@Butayama3 鍵を外すことをいうのです。理想的なiPS細胞は、ほぼすべての鍵が外れて、ES細胞と同じ状態になったものを目指しているわけですが、なかにはちょっと鍵が残っていたりして、なかなかその遺伝子が働くことができない、ということが起こることがあるのです。

2014-12-29 02:56:37

この「鍵」を外すのに、酸をかければいいというのがSTAP細胞だったそうです・・・。

縞うさぎ/詫摩雅子 @shima_usa96

@Butayama3 また横道にそれますが、iPS細胞は、ES細胞で働いている遺伝子を導入して、その遺伝子を働かせることで初期化しています。STAP細胞は、それを酸につけるだけでできると主張したわけです。

2014-12-29 02:58:43

発展途上中のiPS細胞。
それがちゃんと働くかどうかを検証するために比較対象とするのがES細胞。

縞うさぎ/詫摩雅子 @shima_usa96

@Butayama3 ああ、それちゃった。いかんな。どうも、STAP細胞がこびりついていて(イヤだぁ)。えーと、私が何を言いたかったと申しますと、iPS細胞はまだ研究途上の部分があるので、品質評価が必要なのです。で、その場合、比較対照となるのは、ES細胞なわけです。

2014-12-29 03:01:25
縞うさぎ/詫摩雅子 @shima_usa96

@Butayama3 ES細胞への知識や経験が不足していると、やっぱりそれはマズイと思うわけです。

2014-12-29 03:02:31
縞うさぎ/詫摩雅子 @shima_usa96

@Butayama3 たとえば、治療に役立ちそうな特殊な細胞がほしいとします。ある条件で試しても、ES細胞からその細胞はできないとします。その場合、その条件では「できない」ということがわかります。ですが、iPS細胞でやった場合、その実験に使ったiPS細胞のせいなのかもしれません。

2014-12-29 03:06:03
縞うさぎ/詫摩雅子 @shima_usa96

@Butayama3 もちろん、例えば「神経細胞になれないiPS細胞」とわかっていれば、さほど問題はないのです。別の用途に使えばいいだけの話なので。「何であるかがわかる」ことが大事で、それには比較対照が必要なわけです。

2014-12-29 03:09:41
縞うさぎ/詫摩雅子 @shima_usa96

@Butayama3 私、ぶたやまかーさんのご興味にこたえています?

2014-12-29 03:10:22
ぶたやま@「ぶたやまかあさんのやり過ごしごはん」発売中 @Butayama3

@shima_usa96  比較対象のところがちょっと理解追いつかないかもです。(・∀・) 考え中。

2014-12-29 03:11:29
ぶたやま@「ぶたやまかあさんのやり過ごしごはん」発売中 @Butayama3

@Butayama3 @shima_usa96  「どんな」iPS細胞なのかを、調べるには、ES細胞が必要ということかしら。

2014-12-29 03:15:35

「iPS細胞はもともとES細胞を目指した」。

縞うさぎ/詫摩雅子 @shima_usa96

@Butayama3 ああ、ごめんなさい。そうです、その通りです。iPS細胞って、ものすごく乱暴な言い方をすると、遺伝子導入という人為的な方法でES細胞をつくろうとしたものなのです。なので、目指すES細胞とどれほど近いかを調べるには、ES細胞そのものの知識と経験がいるのです。

2014-12-29 03:19:50
ぶたやま@「ぶたやまかあさんのやり過ごしごはん」発売中 @Butayama3

@shima_usa96  ははあ、なるほど!もともとそういうものなんですか!>目指した

2014-12-29 03:23:56
縞うさぎ/詫摩雅子 @shima_usa96

@Butayama3 ES細胞を目指した、というのはそう言ってもいいと思います。山中先生も「初期胚を壊すことをせずに、ES細胞のような細胞ができないか」と考えたのが発端だったようですから。

2014-12-29 03:28:44

そして「万能」という言葉に対してもう一度。
なんでもできる、という意味ではないのよ。

縞うさぎ/詫摩雅子 @shima_usa96

@Butayama3 そうだ、最初のほうで(後述)にしてしまった「万能細胞」とか「万能性」という書き方ですが、科学者の方からはあまり評判は良くないです。「万能」→「何でもできる」→「どんな病気でも治る」というイメージにつながりやすいからでしょう。

2014-12-29 03:12:47
縞うさぎ/詫摩雅子 @shima_usa96

@Butayama3ライターの粥川さん @kayukawajunji から伺った話ですが、メディアが「万能細胞」という言葉を使ったのは、ヒトのES細胞が登場したときまでさかのぼれるそうです。でも、ES細胞が一般向けのメディアに登場することはあまりなくて、下火になっていたのですが

2014-12-29 03:15:44
縞うさぎ/詫摩雅子 @shima_usa96

@Butayama3 iPS細胞が登場した時に、ほぼすべてのメディアがいっせいに「ヒトの皮膚から万能細胞」という見出しをつけました。これは、リリースがそうなっていたようです。

2014-12-29 03:16:46
縞うさぎ/詫摩雅子 @shima_usa96

@Butayama3 STAP細胞をめぐる陰謀論などを見ていると、万能細胞だから、ほんとうに何でも治る!ってなっているのですよ。でも、「インスリンの出が悪いので膵臓の細胞にして移植しよう」というような「何かが欠けている状態」の治療は理屈の上では可能かもしれませんが、

2014-12-29 03:23:32
縞うさぎ/詫摩雅子 @shima_usa96

@Butayama3 ガンのように「何かが過剰な状態」の治療は、かなりの工夫が必要です(ガンを叩く免疫細胞を増やすとか)。

2014-12-29 03:24:51