20150110 艦これ妄想 遺棄鎮守府

もっと暗澹たる、陰鬱な話にしたかった。
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遠藤 @enco2001

#放棄鎮守府 すでにその鎮守府に提督はいなかった。死んだわけではない。ある日ある時から執務室に姿を見せなくなった。提督の命令なくば出撃は出来ない。艦娘は提督あってこそ。

2015-01-10 22:44:09
遠藤 @enco2001

#遺棄鎮守府 だからといって艦娘が何もしていなかったわけではない。みな自己鍛錬や艤装の手入れは怠らなかったし艦娘同士の学習は続けられた。積極的に出撃しなければ日々の糧にはこまらなかった。もともと少量だが補給は届けられている。待機状態の艦隊を支えるにはじゅうぶんだった

2015-01-10 22:46:19
遠藤 @enco2001

#遺棄鎮守府 ただ、そうした毎日も続かない。どうしてもやることというのはなくなってくるし、そうなると清掃が日課に大きなウェイトをしめていく。代わり映えのない日常。出撃をしないのだから何をしなくとも問題はない。咎める提督もしなかったことによる轟沈という裁きもない。

2015-01-10 22:48:11
遠藤 @enco2001

#遺棄鎮守府 次第に艦娘たちはだらけ、何もしなくなった。それでも補給は確保されていたし、敵が鎮守府を攻めることもなかった。外洋に出ない限り、艦娘たちの安全は保証されていた。外傷もなにもないのに動かなくなる艦娘が増えだした。精神的に死を迎えようとしていた。

2015-01-10 22:50:16
遠藤 @enco2001

#遺棄鎮守府 ある日、執務室を掃除していた秘書艦の大淀(たまたま最終ログイン時に秘書艦を命ぜられていた)が講堂で寝転がる艦娘たちにこういった。「提督が着任しました。これより艦隊の指揮に入ります」

2015-01-10 22:54:35
遠藤 @enco2001

#遺棄鎮守府 もちろん、執務室は無人だった。埃一つない執務机、その椅子はどこまでも冷たかった。大淀が正気の上でそういったのか、はたまた終わりのない日常に狂して幻をみたかはわからない。ただその言葉に反応して立ち上がった艦娘もいくらかはいたし、次第にその数はふえた。

2015-01-10 22:56:40
遠藤 @enco2001

#遺棄鎮守府 おそらく大半の艦娘はいないことを理解していた。それを認識することは怖がった。みな提督がいた時と同じように振る舞い、鎮守府を維持した。デイリー開発・建造を行い午前と午後の演習をすませ、時には比較的低脅威度の海域に出撃もした。

2015-01-10 22:58:56
遠藤 @enco2001

#遺棄鎮守府 提督の命令はもっぱら大淀が取り仕切ったが、執務室に入り浸り、提督とお話をする艦娘も増えていった。新しく迎えられた艦娘も先達に飲み込まれ、いつしか提督は実在していった。

2015-01-10 23:00:06
遠藤 @enco2001

#遺棄鎮守府 おそらくこの鎮守府はサービス停止のその日まで維持されるだろう。みなそこそこ忙しいが程よく働く、その上で提督と心ゆくまで戯れる天国は、無粋な横槍が入るまで続くだろう。 こうして捨てられた鎮守府と艦娘たちは末永く幸せの中にあるのであった。おわり。

2015-01-10 23:02:10
遠藤 @enco2001

もっとこう、蜘蛛の巣だらけの鎮守府で、痩せこけ、死兵じみた雰囲気を漂わせる艦娘たちが「提督はここにいますよ……」と指差すその先には軍服をまとった骸骨が座らされていて、「あらあらまた提督はお夕飯を残されて。お食事をとらなければ体力もつきませんよ? はやくよくなって云々」

2015-01-10 23:04:13
遠藤 @enco2001

といった、発狂した艦娘たちの鎮守府にしたかったんだ

2015-01-10 23:04:30