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劉度 @arther456
◇◇◇◇◇◇◇ ←九十一式徹甲弾
劉度 @arther456
【デビルサマナー 葛葉あきつ丸vs亡霊戦艦】#4
劉度 @arther456
(これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。投下中はTLを余り見ないので、感想・実況などを #ryudo_ss に書いて頂けると、後でチェックして小躍りします。では、宜しければ暫くの間お付き合い下さいませ)
劉度 @arther456
静岡沖。大和を曳く播磨の横に、一隻の巡洋艦が並走していた。横須賀第33地区の原子力巡洋艦・蔵王である。艦橋では、松代から大鯨と共に帰ってきた提督が呉元帥に通信を繋いでいた。「蔵王、これより播磨と合流します」『播磨より蔵王へ、合流感謝する』 1
劉度 @arther456
『蔵王』の甲板上から艦娘たちがリフトで降下、海上に展開していく。「以後、周辺の警戒は我々が行います。播磨は大和の曳航と、修理に専念して下さい」『分かった。……私は少し休む』流石の呉元帥も、今回の戦いは少し体に堪えたようだ。並走する播磨と大和を、提督は見やる。 2
劉度 @arther456
巨大。そう言うしかなかった。提督が乗る蔵王とて、決して小さい船ではない。だが伝説の戦艦大和と史上最大の双胴戦艦播磨の横に並ぶと、蔵王は駆逐艦にしか見えなかった。動かすだけで鎮守府の資源が枯渇する、という話も、この迫力を目にすれば納得がいく。 3
劉度 @arther456
「修理代とか、どうなるのこれ?」『特別予算を組んでもらわないとな……』「アッハイ」独り言をマイクが拾ってしまった。海軍の財政の悩みの種であり、財務大臣に目の敵にされる理由でもあった。「提督さん。あきつ丸さんからご連絡です」オペレーター妖精さんが振り返った。 4
劉度 @arther456
「おっと、本題はこっちだった」提督は再びマイクを取る。「こちら蔵王。状況報告されたし」『こちらあきつ丸。大和に乗り込んだのであります』33地区がわざわざ来たのは、護衛のためだけではない。宇宙人によって改造された、大和を調査するためであった。 5
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46cm三連装砲。高さ約18m、重さ約2000t。分かりやすく言えば、一軒家ほどの大きさがある。「……圧巻でありますなあ」話で聞くより更に大きい46cm砲を目の前にして、あきつ丸はあんぐりと口を開けていた。「これ程とはな」あきつ丸の肩に乗った黒猫、ゴウトも驚嘆している。 7
劉度 @arther456
「ふむ。船の記憶を見た時は何とも思わなかったが……こうして間近で見ると、やはり違うな」隣には、褐色肌にサラシを巻いた艦娘、武蔵。この大和の姉妹艦の霊を宿した艦娘だ。彼女も46cm砲を持っているが、人間サイズで見上げるのは初めてなのだろう。レンズの向こうの目を丸くしている。 8
劉度 @arther456
「これだけの大きさで火砲なんですか?野蛮というか、未熟というか……」一方、大きさには驚いているものの感動していない大鯨。宇宙人の船外作業用ロボットである彼女からすれば、時代遅れを通り越して遺物にしか見えなかった。これから大和を調査するのは、主にこの3人である。 9
劉度 @arther456
武蔵は海軍技術研究所から特命を受け、大和の改造に使われたミミー星人のテクノロジーを調査するためにやってきた。大鯨は宇宙技術を駆使して彼女をサポートする。そしてあきつ丸が来た理由だが。『ところであきつ丸、お前何しに来たんだ?』提督も知らなかった。 10
劉度 @arther456
『陸軍が一緒に行く、って言っても上層部も何も言わなかったし……』提督が受けた任務は、この3人を大和に送り届けることである。艦娘とはいえ陸軍であるあきつ丸を、技研の調査に同行させるのには上層部に反対されると思っていたが、どういう訳か全く反対されなかった。 11
劉度 @arther456
「詳しくはお答えできませんが」あきつ丸が答える。「今の自分は陸軍揚陸艦あきつ丸ではなく、葛葉あきつ丸であります」『……お、おう』葛葉。それは魔術師としてのあきつ丸に与えられた称号である。そして魔術方面におけるあきつ丸たちの影響は、政界にも食い込んでいる。 12
劉度 @arther456
「Clear!」「Deck clear!」前部甲板まで偵察に行っていた三隈の海兵隊が戻ってきた。日本の海軍陸戦隊よりもずっと動きがいい。流石は本場のくマリンコである。「危険はないようだな」「では、参りましょうか」三人は海兵隊を伴って、大和内部に入った。 13
劉度 @arther456
内部は甲板とは違い、非常に入り組んだ構造になっていた。フジツボと海藻がこびりついた部屋があるかと思えば、ミミー星人の機械で埋め尽くされた通路もある。かと思えば、100年前と変わらぬ部屋もある。魔改造、という言葉をそのまま体現したかのような空間だった。 14
劉度 @arther456
「おっと」武蔵がドアを開けると、すぐ向こう側に鉄の壁があった。隔壁ではない。隙間の向こうに複雑な配線が張り巡らされている。「この下は……機関室だな。となると、これは電力伝達用の機械か?」「少々お待ち下さい」大鯨が進み出て、鉄の壁をじっと見つめる。 15
劉度 @arther456
「スキャン完了。重水素反応炉のエネルギーを、艦隊制御用のコンピューターに伝達するための変電気ですね」傍目にはそうは見えないが、彼女は宇宙人の作ったアンドロイドだ。戦闘能力は無いが、こうした調査のための機能を何十種類も備え、宇宙人の科学技術データも豊富に持っている。 16
劉度 @arther456
ベルサーは地球に対して自分たちの技術を公開しないが、今回のアイアンロックス調査には進んで協力すると言って、この大鯨を貸し出した。ベルサーに都合の悪いデータを先回りして消すためだ、という声も政府内にはあったが、彼ら無しでは解析できないほど、宇宙人の科学力は高度だった。 17
劉度 @arther456
「制御コンピューターか。解析してみたいものだな。大鯨、お前ならできるか?」「……これだけの船を動かすためのコンピューターとなると、私だけでは……」言い淀む大鯨。しかし武蔵は気にしなかった。「そうか、なら横須賀に着いてからだな。今は艦首に行く道を探そう」 18
劉度 @arther456
今回はあくまでも、曳航中に沈没した場合に備えての先行調査だ。本格的な調査ではない。幸い、この大和が沈没する危険はなさそうなので、無事に横須賀に持ち込んで本格的な解析を行うことができるだろう。「妙な気は起こすなよ、大鯨」「……何の話ですか?」 19
劉度 @arther456
「修理中の宇宙船を動かしてまでミミー星人の母艦を倒したのには感謝している。だが、この大和が沈んで、あらぬ疑いをかけられても、私は庇いきれんぞ?」「……どうぞお好きな様に。そもそもミミー星人の宇宙船ごときを恐れるベルサーではありませんから」 20
劉度 @arther456
不穏な火花を散らしながらも、ひとまずは並んで歩く武蔵と大鯨。その後ろを、あきつ丸は黙々とついていっている。探しものはまだ見つかっていない。時折視線を周囲に巡らせるが、彼女がこの神話じみた戦艦に送り込まれてきた原因は、まだ見当たらなかった。 21
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