ニンジャスレイヤー二次創作【ジャスト・レップウ・ブロウイング】#6&エピローグ
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レップウは顔をしかめた。何か言ってやろうと口を開きかける。その時。「失礼いたします」訓練場に響いた第三者の声に、二人のニンジャは振り返った。視線の先には、執事めいたアトモスフィアを持つニンジャ。レップウが眉をひそめる。「ドーモ、オルトロス=サン」18 #4215tk
2015-01-11 21:22:13「ドーモ、レップウ=サン。ソフトマインド=サン」オルトロスが丁寧なアイサツを返す。彼はメフィストフェレス付きの執事ニンジャだ。彼の配下の中でも、一番古くから仕えている。しかし、普段はここに顔を出すことはない。彼の仕事はあくまで執事であり、カラテではない。19 #4215tk
2015-01-11 21:24:04「何かあったのか」ソフトマインドが低い声で尋ねる。オルトロスは頷いた。「緊急指令です。至急、オミコシ・ディストリクトへ急行してください」「何のために」レップウの問いかけに、オルトロスが答える。「ニンジャスレイヤーが出現中」二人は思わず顔を見合わせた。20 #4215tk
2015-01-11 21:26:06ネオサイタマ郊外からオミコシ・ディストリクトまではかなりの距離がある。よってレップウとソフトマインドはアマクダリ所有のヘリで現場へと向かうこととなった。レップウはヘリを操縦するオルトロスに尋ねる。「もう一度、状況の確認をしたいのだがな。オルトロス=サン」22 #4215tk
2015-01-11 21:28:04「ハイ。ニンジャスレイヤーは現在ネオサイタマ市内を暴走中であり…」「そこではない。そうなった経緯だ」「ああ」珍しく、オルトロスが躊躇したようだった。「サムライヘルム・オブ・デス・ヤクザクランが死神に爆破装置を取り付けたというあれですか」23 #4215tk
2015-01-11 21:30:03「それよ」レップウは己が微妙な表情となっているのに気づいていた。が、やめられない。ソフトマインドは会話に参加せず、下に広がるネオサイタマの夜景を眺めている。「こう言ってはなんだが、それは事実か?話に聞くニンジャスレイヤー=サンとは思えぬブザマだ」24 #4215tk
2015-01-11 21:32:04「同感です」オルトロスが同意する。「しかし、ニンジャスレイヤーの疾走は多くのディストリクトで視認されています。発端はともかく、奴がそういう状況にあるのは間違いない」「…それで、足止めさえすれば彼につけられた爆破装置が作動すると」「ハイ」25 #4215tk
2015-01-11 21:34:10「ままならぬものだ」口を挟んだのはソフトマインドだ。虚無的な笑いとともに、彼は言う。「せっかくの機会だというに、まともなイクサはできそうにない」「そうさなあ」レップウは顎に手をやる。なんでもニンジャスレイヤーはほぼ時速100kmで走行しているらしい。26 #4215tk
2015-01-11 21:36:14「…並走してカラテでも仕掛けるか」「ハ!」ソフトマインドが鼻を鳴らす。「気持ちはわかるが無意味だ。最小労力で最大利益。ガンバロ」「貴方はそれでよかろうが…」「シツレイですが」オルトロスが口を開く。「オミコシ・ディストリクト上空に到達」27 #4215tk
2015-01-11 21:38:07レップウたちは口を噤む。「行くか」「行こう」ヘリのドアが開かれる。風が舞い込む。「オルトロス=サン!」レップウが風の音に負けぬよう叫んだ。「ハイ」「俺が帰らなんだら、あのハイクをメフィストフェレス=サンに頼む」「ハイ。そうならぬことを願います」28 #4215tk
2015-01-11 21:40:07「では、オタッシャデー」オルトロスの声を受け、二人のニンジャは夜空に身を躍らせた。全身に風を受け、レップウは眼を細める。ネオンの光が…どんどんと…近づいてくる!「イヤーッ!」「イヤーッ!」二人のニンジャはビル屋上に着地、前転して衝撃拡散!タツジン!29 #4215tk
2015-01-11 21:42:06周囲にはすでにアマクダリ・アクシスの精鋭達が潜んでいる。姿こそないが、気配はある。レップウもまた彼らに習い、姿勢を低くし、気配を抑える。「ニンジャスレイヤー=サンは」「10秒後にここを通過する計算」ソフトマインドが声を抑えて答える。30 #4215tk
2015-01-11 21:44:02「方角は」「あちらだ」ソフトマインドの示す方向に、レップウは目を凝らし、意識を集中。まずは捉える。5…4…接敵時刻が迫る…3…2…1…0!31 #4215tk
2015-01-11 21:46:02「…来ないな」レップウが低くつぶやいた。ソフトマインドも怪訝な表情を隠せない様子だ。接敵時刻を過ぎても、ニンジャスレイヤーの姿はおろか、気配すらない。ソフトマインドの持つIRCに着信。オルトロスからだ。『ドーモ、ソフトマインド=サン。撤退命令が出ました』32 #4215tk
2015-01-11 21:48:07「なんだと?」ソフトマインドが憮然とした声を上げる。「どういうことだ?」『ニンジャスレイヤー座標情報の正確性に疑問が出たため、現在出撃中のアクシスの半数を待機状態に戻すと』それほどの規模のミッションとは。レップウは思わず舌を巻く。死神はそれほどに恐ろしいか!33 #4215tk
2015-01-11 21:50:04「…だ、そうだ。レップウ=サン」IRC通信を終了したソフトマインドはうんざりとした様子で言う。「どうするかね」「どうすると言われてもな」レップウも困ったように唸る。周囲からはいくつかの影が離れていく。指令を受けたアクシスたちだろう。34 #4215tk
2015-01-11 21:52:20レップウは思案する。もちろんこのまま帰還してもいい。だが、ニンジャスレイヤーが付近に潜伏していることは事実。それをみすみす逃すのは…「ソフトマインド=サン。件のヤクザクランの場所はわかるか」不意にレップウは言った。ソフトマインドが眼を細める。35 #4215tk
2015-01-11 21:54:25「少し待て」ソフトマインドがオルトロスとIRC通信を開始。短いやりとりの後、彼はレップウに顔を向ける。「…位置情報が来た。このディストリクトからは4区画離れた場所にある」レップウはソフトマインドが示したヤクザクラン事務所位置を確認し、立ち上がる。36 #4215tk
2015-01-11 21:56:04「そちらに向かう気か?」「遠目から視覚的に確認するだけだ。それくらいの自由はあろう。貴方はどうする」「無駄な労力を割きたくはない。が」一瞬、ソフトマインドの体がブレる。訝しむレップウに、彼は言った。「もしもの時に備えることくらいはするとしよう」37 #4215tk
2015-01-11 21:58:06「何をした」「ヒズキ・ジツだ、レップウ=サン。お前のニューロンに相乗りさせてもらった…安心しろ、イクサの邪魔はすまい」ソフトマインドは立ち上がると、ヤクザ事務所とは反対の方向に歩き出す。「もしお前がニンジャスレイヤーを発見したら、キンボシ・オオキイだからな」38 #4215tk
2015-01-11 22:00:07レップウは苦笑し、走り出す。サムライヘルム・オブ・デス・ヤクザクランに向けて!(単なるインセクツ・オーメンかもしれぬ)レップウは駆けながら考える。(しかし、こうした勘は往々にしてよく当たる!あわよくば貴方とイクサができるな、ニンジャスレイヤー=サン)39 #4215tk
2015-01-11 22:02:07