丹生谷貴志ツイートまとめ(2014年12月)

丹生谷貴志さんの2014年12月のツイートをまとめました。
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nibuya @cbfn

意味なくピンチョンなどを仏訳で読もうとなどしてるのは、要はここのところノルマ化でもしないと本を読む集中がないからだと感じ、まあ多少は「勉強」になるので、例えば『V.』の仏訳は女性なので、文体がが神経質で、どこかアンナ・カヴァンみたいな雰囲気になっているのが・・・いいのか悪いのか。

2014-12-03 01:24:31
nibuya @cbfn

『V.』の原文との正確性は邦訳の方が上だと思いますが、しかし邦訳(新潮社版)は少し剽軽過ぎるような気もし、例え「Whole Sick Crew」を「ヤンデルレン」なんてダジャレで訳されるのはどうなんだろうと思いもし、確かにピンチョンは訳文文体の選択が難しい人とは重々理解して・・。

2014-12-03 01:45:59
nibuya @cbfn

大体が『V.』という題は正確には何と読むのだろう? 「ブイ」なのか「ヴィー」なのか、「.」が付いているから「ブイ、コンマ」なのか「ヴィー、カンマ」なのか或いは・・・と確か最初の訳本の解説か何かに説明があったような記憶があるのですが・・・

2014-12-03 01:50:15
nibuya @cbfn

相変わらずトリヴィアルなお勉強。ワランズの『Infinite Jest』の「Jest」は言うまでもなく「冗談」転じて「暇つぶし」という意味だがこの単語は本来「英雄譚」という意味のラテン語であったのが、或る時期から「いい加減な話・冗談」という意味になったようで・・・でした。

2014-12-03 09:11:25
nibuya @cbfn

全くの偏見ですが、例えばナチス・ドイツの「内側」を対象にした「大小説」みたいなのを基本的に疑いの目で見ることにしています。これはカポーティの『冷血』のような小説を「疑う」のと似ています。小説は本質的に「愉しまれてしまう」という事実・・・まあ、カポーティはその自覚を逆用した訳ですが

2014-12-04 09:49:18
nibuya @cbfn

文学賞を目安にしていた時期があり、しかし例えばブッカー賞なら『イギリス人の患者』からゴンクール賞なら『ブレヒトの愛人』から全く信用しなくなりました。まあ文学賞なんてもとより目安以上ではないのですが、読んで時間の無駄に近い受賞というのはいつ頃からでしょう。どうでもいいことですが。

2014-12-07 23:24:46
nibuya @cbfn

ふと見た「ハロルド・ブルームは聖書以外の本に関しては大体正しいことを言う」という一行に、なるほどねと意味なく頷き、それはそうと、ブルームは現代アメリカ最高の作家としてデリーロ、ロス、マッカーシー、ピンチョンを挙げていて、相変わらず雑食的優等回答をしているが・・・どうでもいいこと。

2014-12-08 13:51:01
nibuya @cbfn

何故かボードリヤールなどが密かに(?)再読されているような気配があって、まあ、経済学と政治学と哲学を同時にやってるような気分になれるという「魅力」があるのでしょうか。或いは「ぼんやりした発情=色情」が巨大なマーケットとして充満している日本の現在の匂いの結果でしょうか。

2014-12-09 10:49:19
nibuya @cbfn

掲載された書評の短文に誤植、「ロケットマン」が「ケットマン」になっていたりする。まあ、いいか、いまさら。

2014-12-10 12:43:05
nibuya @cbfn

数年に一回SFを暫し漁り・飽きるを繰り返す。飽きる理由は単純に言えば読後の空疎感が鼻につき始めることが大方。イメージや発想の魅力に惹かれても、SF作家の癖なのか何かしら思想-哲学めいたものを盛り込む、その大部分がひどく陳腐な思想の出し殻の凡庸な応用である事に辟易することが要因。

2014-12-11 00:41:44
nibuya @cbfn

壮大巧緻なスペクタクルの果てに陳腐な精神分析主義やら古びた神秘宗教論、マルサス人口論、陳腐な歴史観、ペシミスティック・ヒューマニズム、サイバネティクスにポスト構造主義混ぜ込みの世界観、コンザーヴァティヴな終末論、インチキ・パンク趣味等々を置いてエンドマーク・・には脱力してしまう。

2014-12-11 08:22:48
nibuya @cbfn

「自分自身は小説をもはや一切読まない。読むのは歴史か自伝とか」と言うフィリップ・ロスにインタヴュアーは「それなのにあなたは読者にはご自分の小説を読ませるわけですね」と問いかける。まあ、深読みしなければなかなか小洒落た会話。自分は「自伝」しか書いたことはないとかロスは言うだろうか?

2014-12-11 10:05:37
nibuya @cbfn

「大衆小説」という分類がどこまで有効かはともあれ、大衆小説と呼ばれるものの特性はそれが根本的に「思想小説」であろうとすることにあるようだ。『大菩薩峠』『八犬伝』・・・推理小説やらホラーやらSFやらの大半は基本的に思想小説であるだろう。多分「大衆」は「思想」のないものを好まない。

2014-12-11 10:29:34
nibuya @cbfn

神康明さんの写真集『くぐもる幕のなかで』が届いていました。簡素だけれどいい写真集。子供が見つける「空虚」は僕のオプセッションでもあります。神康明さんは80年代末に東京の予備校の頃の僕の生徒だった・・・ということで会って話せば思い出せると思いますが、鮮明な記憶ではなくて申し訳ない。

2014-12-11 18:17:53
nibuya @cbfn

「大衆小説は思想小説である」という規定は如何にも曖昧模糊のいい加減ですがしかし、『蒼き狼』『孔子』は思想小説だが『境港攘夷始末』『天誅組』は思想小説ではない、とか使うと意外に便利・・・・

2014-12-11 18:26:19
nibuya @cbfn

『V.』を仏訳で遅々と読んでいると、女性訳者・仏語が米語の何を避けたり訳し変えたりするか、面白いというほどでもないが興味深くはある。例えば「ブス女」みたいな言葉が脱落するのは御愛嬌、「ジャイムズ朝風」を「17世紀風」とするのは訳として疑問だが歴史知識度のズレの問題なんでしょう。

2014-12-12 08:37:10
nibuya @cbfn

今日はバイク上ずっとなぜか『マイ・スウィート・ロード』が脳内に流れ、苦しく多幸症的なつまんない曲だと思いもするけれど、嫌いにはなれない。それはそれとして、初期のビートルズだけ欲しいのに変に高い。他はアンソロジーばかり。大嫌いな『レットイットビー』が入っているというだけで憂鬱になる

2014-12-13 00:33:17
nibuya @cbfn

とりわけ80年代以降(!)の」日本ポップ」は大方多幸症的かつ神経症的に空疎な粘着する感じの根の暗さが染み込んでいる感じがして長く聴けないのですが、それをイヤホンやら結構な音量で聞きながら過ぎてゆく「お子達」を見ているとむしろ不気味な気がしてしまう。

2014-12-13 00:43:20
nibuya @cbfn

結構面白いのに翻訳の古さと古い訳者たちの思い入れの古くささで完全に遠景になってしまった哲学者にショーペンハウワーがいますが、ともかく例えば仏教投射で「哲学」を飲み込む悪癖はやめられないものか。どっちのためにもならない。

2014-12-13 00:51:30
nibuya @cbfn

もはや古臭い土蔵陰影感性(?)の人間ですので菌類的品格-風味なんて空疎な言葉を使わせてもらえば、現時点の日本語の文章のあらかたは干からびて苛々してしまうというのが本当のところ。昔大江さんは谷崎さんに「新しい生きた日本文が生まれているのだ」と勇ましく食ってかかったことがありますがね

2014-12-13 12:42:18
nibuya @cbfn

そんなことは書いている人たち自身が一番痛感していることだと思うので、上から目線の批判のつもりは全くありません。絵画や音楽に描画描音退廃期があるように文章にも不可避的にそんな期間がある。例えば翻訳家たちはどうしてこんな貧素な日本文でしか訳し得ないのか苦しみながら訳しているはずです。

2014-12-13 12:51:32
nibuya @cbfn

誤解なきように、今の日本文の干からびは新生に向けての中間期の特性というよりも逆に、妙な古臭さにあると僕は感じて、しかしじゃあ証拠・根拠を示せと言われてもできないので、いい加減な放言ですがね。

2014-12-13 13:07:45
nibuya @cbfn

非常に漠然と言うしかないのですが、僕の世代は多かれ少なかれ一度「言葉」さしあたりは「書く日本語」を見失ったことのある世代で、ですから他人の文章にも何よりその「見失い」の痕跡を感受しようとし、その痕跡のないものを「幸福なマヌケ」と断定してしまう悪癖があります。自重しているのですが。

2014-12-13 13:43:39
nibuya @cbfn

もうだいぶ前になってしまうのか『ドクター・ハウス』というなかなかよくできたアメリカのテレビドラマがありましたが、一番興味深かったのは第二シリーズだったか、脚本家組合のストでクールが終わらざるを得なくなったという時期で、アメリカに於ける脚本家たちの存在居場所が見えて面白かった訳です

2014-12-13 14:10:11
nibuya @cbfn

「一脚本家の芸」を未だ云々する日本と違って現在のアメリカのドラマ脚本は複数の脚本家が組んで膨大なエピソードを出し合い組み合わせて作り出してゆく一種の「集団製作」制をとっているようで、結果、一時間程度のドラマでもエピソードが非常に高度に錯綜するというマニエラが形成されているようだ。

2014-12-13 14:16:07
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