rsbs日誌#41

レズボス日誌。第四一巻 ツイ鎮SS
1
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「提督は何故、こんな所でお食事を?」白雪の言葉も尤もであろう。艦内に入れば落ち着いてテーブルで食事が取れると言うのじゃから…「深い意味は無いのじゃ。強いて言えば…此処に座っておればお主らを見守ってやれるじゃろう?その程度じゃよ」白身魚のフライをサクリ、と齧る。

2015-01-26 00:15:37
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「成程…失礼致しました」「よいよい。お前さんも程々に飯を食うのじゃよ?」「お心遣い感謝します。失礼します」ピシ、と切れの良い敬礼を受けわしは頷き返した「提督、お茶入ったで~」入れ違いにやってきた黒潮の柔らかな声にわしは微笑んだ「すまんのう黒潮。雑用をさせてもうて」

2015-01-26 00:20:04
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「此れ位どうって事あらへんて。それにしても軽食でいいん?もうちっと確りした物かて作れるねんで?」「何となくサンドイッチとフライが食いたい気分だったのじゃよ。何…どうせまた後で腹が減る。その時ゆっくりと頂くのじゃ」「ふーん…まぁええねんけど…何かあったら呼んでなー」

2015-01-26 00:22:03
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 黒潮の後姿を見送り、わしはポテトを齧りながら眼下を見下ろす。作業もほぼ大詰めと言った所かや…「のう、ヴァールガイストや?この度の海は…腹一杯鉄の魚が食えそうじゃのう?」わしが呟き、艦橋の縁を撫でると何処かからかクルル…と動物の様な唸りが上がった。そうか…嬉しいかや

2015-01-26 00:30:41
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 では参ろうか…鋼鉄の魔女と、潜水戦艦がお相手する。

2015-01-26 00:31:48
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 …彼らが獲物に接触したのは…夜の帳がとっぷりと落ちた深夜であった…月明りが水面の細波を照らし、静かに時を刻む… 大型の貨物船が、数隻の古臭い護衛船と共に海を進んでいた。船名はEl Dorado…黄金郷とは何とも皮肉たっぷりの船名では無かろうか…?彼らは牙を剥いた…

2015-01-26 00:58:11
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 発射管が注水され、圧搾空気で魚雷が放たれる。多数の魚雷が、護衛船の横腹を食い破り、瞬く間に水底へと鋼の体を沈めてゆく…残るは、古臭い貨物船…しかし、速度を緩めない。水飛沫を上げて、『黄金郷』は増速した。魚雷、第二射…次々に、水柱が立ち上る。されど船足は止まらない…

2015-01-26 01:36:19
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 苛立つ海賊達。終には第三射の魚雷を放ち…『黄金郷』は足を止めた…其れが己らの終焉の狼煙と成るとも知らず…果たして、何処に隠れていたのか…全長500は有りそうな、潜水艦タンカーが海中よりゆうるりと現れた。ハッチを展開し、クレーンを起立させようとする。黄金を求めて…

2015-01-26 01:42:33
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 ずるりと…暗い暗い海中から静かに浮き上がる巨大な影。距離にして10キロはあろうか…?されども『彼女』には他愛の無い間合い。砲門が開け放たれ砲塔は旋回し、仰角を付ける「喰え。」魔女の囁きが、化物鯨の理性を取り払った。38センチ4連装砲が咆哮し、砲弾を彼方に飛ばした…

2015-01-26 01:48:28
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 16発の禍々しい鋼鉄の牙が、初弾ながらも巨大な海獣の体を食い破った…時限信管を取り付けられた徹甲榴弾が、海獣のはらわたの中で炸裂する。阿鼻叫喚…巨大な潜水タンカーは瞬く間に燃え上がり船体を軋ませ、竜骨をへし折り近くに佇んでいた潜水艦諸共暗い海の底へと沈んでいった…

2015-01-26 01:51:03
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 慌しく、潜行する海賊達。無理も無い…途方にもない化物を呼び来んでしまったのだから…「第二射。放て」散布界を広く取った狙いが放たれる。尻に帆を掛けて逃げんとする海賊らの頭上に悪魔が微笑んだ。砲弾、炸裂拡散…多数の対潜水艦砲弾がばら撒かれ、逃げ出した彼らを蹂躙した…

2015-01-26 02:02:34
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 やがて化物鯨はゆうるりと砲門を閉じ、砲塔を待機位置へと戻すと緩やかに、しかし素早く潜行した。熱の冷めやらぬ砲身は蒸気を立て、海水に沈んでゆく…そう。此れからが本番だと云わんばかりに。「キャタピラードライブ始動。殲滅戦に移る」魔女の冷ややかな号令に艦内は沸き立った…

2015-01-26 02:08:22
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「くそぉ!罠だった!残存艦艇は幾つだ!?」海賊の一人がブリッジで吠えた。IFFが示す数はそうは多くない。残り、僅かに10隻…それは余りにも少ない戦力であった。此れだけの潜水艦で、あの凶鯨に叶う訳がない…「お頭ァ!敵が急速に接近中だ!」彼の背筋に冷や汗が流れた。

2015-01-26 14:15:26
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 10キロもの間合いを、あの巨大な潜水艦は瞬く間に詰めてきた。どんな艦で、どんな精神をしているのだ。あの潜水艦の艦長と、クルーは…頭が狂っているとしか思えない。詳細な海図と詳細な自己の位置が無くては潜水航行等不可能だ。何処に岩礁や山があるかも分からないと言うのに

2015-01-26 14:20:55
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 …わしには恐れ慄く賊の様子がありありと伝わってきた。さぞ肝を冷やしておる事じゃろう「一つ、手向けの音楽でも流してやろうか?」わしが一言ポソリと呟くと副長の元五十鈴が苦笑を溢した。「相も変わらず、意地悪なお人だ事」「魔女は魔女らしく振る舞わねばならないだけじゃよ」

2015-01-26 14:30:56
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「じゃぁそんな魔女様にお似合いのレコードをかけましょうか?提督」傍らに設けられたレコードプレイヤに近付きながら五十鈴はわしに話し掛けた。「うむ…そうじゃな…Dの5番のレコードを流しておくれ」わしはそっとレコードのナンバを呟く。其れはわしのお気に入りの一つであった…

2015-01-26 14:38:36

…―――――――…

﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 余りにも唐突に、鋭い音がソナー員の耳を吹き飛ばした「何が起きた!」と叱責する副長に、強烈な音を聞いて頭がグラグラになってしまったソナー員は震える手で集音マイクをスピーカに繋ぐ。其処から流れ出すメロディは、繊細にして重厚…幾重にも音が連なり、軍勢を思い起こさせた…

2015-01-26 18:32:22
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「何なんだこの曲は…」艦長の愚痴に、インテリらしい航海士が怯えた声で呟く「ドヴォルザーク交響曲第9番『新世界より』第3楽章…こんな派手な曲を流すなんて…お頭…魔女は、相当にお冠か…さもなくば殺す気で満々だ。宣戦布告も同じだ!潜水艦でシンフォニーを垂れ流すなんざ!」

2015-01-26 18:40:43
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「そんな事分かってる!雷撃用意、囮も装填しておけ!」「お頭、開口音だ!攻撃が来る!」代理のソナー員の叫びは、死刑宣告にも程近い意味を含んでいた「機関全速!何かに捕まってろ!航海士!海図を確り睨め!」圧搾空気が、重い物を吐き出す音がソナーの耳に届く。数は…2つ。

2015-01-26 18:49:22
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「ああ、くそっ何てこった!お頭!魚雷はアクティブと音響、両方だ!」「ブルジョワめ!何て使い方をしやがる!」音響誘導魚雷を回避しようと足を止めればアクティブ誘導魚雷が襲いかかる。アクティブ誘導魚雷から逃げれば今度は音を聞いて音響誘導魚雷が噛み付いてくると言う。

2015-01-26 18:55:47
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「囮とカウンター魚雷を放て!相殺しろ!」しかし、海賊の奮闘も虚しく…  「もう遅い」わしはディスプレイに表示された光点を眺めておった。先程放った魚雷とは違うその光点は瞬く間に海賊の頭上に到着し…牙を向く。「アスロック、着水を確認。並びに魚雷の航行を確認しました」

2015-01-26 19:04:45
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 予想だにしなかった短魚雷による攻撃に、海賊の艦長は思考が鈍る。回避と叫んだ所でもうどうにもならないのだ。チェックメイトは既に着いている。魚雷、直撃…信管が作動し、弾頭に点火。炸薬が激しく爆発し、衝撃波が外殻を、耐圧殻を喰い破る…最早救いの道は何も残されては居ない。

2015-01-26 19:13:02