【冬E4篇:碧花絢爛】前篇

焼き鳥製造機の辛辣なお言葉と 女の子の部屋に不法侵入した提督。
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葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 龍鳳「…訂正…して下さい!!」 その龍鳳の怒号に甲板の上は騒然とする。 加賀「…その必要はありません。なんならもう一度言ってあげましょうか? "輸送艦"の娘にもわかりやすく」 その騒動に彼女達の周りにはいつの間にか人だかりが出来ていた

2015-03-21 02:19:13
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 蹠球「なんだなんだ?」 りべ「どうしたのさ?…龍鳳?」 人だかりを分け、二人の司令官が覗き込む 加賀「…貴方はそうね。"マリアナ"では二航戦だったようだけど… 一航戦二航戦…五航戦の娘達が現存の今はそれ以下…そう言ったのよ」

2015-03-21 02:20:03
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 表情を変えず冷たく言い放つ加賀に対し龍鳳は唇を噛み締め顔を真っ赤にし 瞳にはうっすら涙が浮かんでいた 加賀「わかったなら作戦を辞退しなさい。あなたでは…足手まといよ」 龍鳳はその言葉にも負けじと加賀に食ってかかる

2015-03-21 02:20:49
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 龍鳳「…私だって…頑張ればやれます!」 加賀「空母としての役目を果たせなかった貴方が?…無理ね」 何かを反論しようとする龍鳳だったが言葉が出てくる気配はない その手は強く握り拳を作っていた。

2015-03-21 02:21:34
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 しばらく睨み合う両者であったが 先ほどの加賀の言葉は…おそらくトドメになったのであろう 流れ出る涙を抑えられず手で拭いながら龍鳳は船内へと駆けて行った。 彼女の姿が見えなくなるのをその場にいた全員が見つめていた…

2015-03-21 02:22:17
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 走り去る龍鳳を見届け蹠球は加賀に話しかける 蹠球「…一体何があったんだ?」 蹠球の問いには答えず加賀はその隣にいる葛葵に目を向け口を開く 加賀「葛葵提督、聞いてのとおりよ。あの子は今回の作戦には向かないわ」

2015-03-21 02:23:12
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 りべ「(*‘ω‘ *)…」 蹠球「龍鳳を艦隊に組む予定だったのかい?」 蹠球がおそるおそる葛葵に問う。彼が懸念すること… 龍鳳は"あの大戦"において機動部隊として戦闘を行ったのはただの一度きり… 不安。その一言につきた

2015-03-21 02:23:51
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 対する加賀は一航戦として大戦初期を支えた。彼女がその懸念を龍鳳に対し指摘したであろうことが容易に想像出来た 蹠球「…加賀…さっきのは言い過ぎだ」 加賀「…」 それを確認した後、葛葵は気まずそうに話を始める

2015-03-21 02:24:32
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 りべ「…不安があるのはわかるさ(*‘ω‘ *)けどね…あの子は後方で練度を高めてきている だからこそ、今回起用を思いついた。 今までのことを踏まえてきっと艦隊に貢献してくれる。そう睨んでいるんだよ」

2015-03-21 02:25:43
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 りべ「だからさ… 葛葵が最後まで言おうとする前に加賀は大きくため息を吐く 加賀「不安要素を抱え、さらにはあの子…メンタルの訓練まで出来ていない。 あなたには失望したわ…」 目を逸らさずにこちらを睨んでくる

2015-03-21 02:26:42
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 思わず葛葵はたじろぐ。 それは「自分の言っていることは間違っているか?」と言わんばかりの剣幕だった。 りべ「…」 加賀「…これで失礼するわ」 そう言い、加賀もまた。船内のほうへと立ち去っていった

2015-03-21 02:27:16
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 あまりにもアッサリ…いやバッサリと切り捨てられるのはさすがの葛葵でも予想外だったのだろうか あからさまに頭をうなだれて落ち込む様子が周囲からも一目でわかるほどだった

2015-03-21 02:28:02
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 蹠球「…ひやちゅーさん。加賀が言うことも一理あるが…すまない。ああいう娘なんだ」 りべ「知ってます(;´∀`)お気になさらず。大丈夫…」 そう言いつつも葛葵も涙目になっているのを蹠球は確認し、不安をさらに募らせる

2015-03-21 02:29:04
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 りべ「…龍鳳のところに行ってきます(ヽ´ω`)」 とぼとぼと歩み出す葛葵の背に思わず彼はぽつりと漏らす 蹠球「…大丈夫かな…」 甲板から内部に降りる彼の背は哀愁に満ちていた…

2015-03-21 02:29:45
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 波の音のみが窓から聞こえてくる艦内、その個室。 龍鳳は枕に顔をうずめうつ伏せに物思いにふけっていた。 先ほどの加賀に突きつけられた"過去" その負の記憶が纏わりつく。考えてはいけないと躍起になってもそれは幾度となく頭の中に浮かんでくる

2015-03-21 02:32:20
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 (あんな言い方しなくっても…) そう考えていた中、部屋の扉をノックする音と共に葛葵の声がその外側から聞えてくる。 「龍鳳〜いる?」 普段いつものように顔を合わせている葛葵にさえ今は顔を見せたくない。 そんな気持ちでいっぱいだった

2015-03-21 02:33:00
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 龍鳳「…放っておいて下さい。」 鍵はかけてある…今は一人になりたい。そう願い返事をする。 … だが、龍鳳は次の瞬間驚愕する りべ「そういうわけにはいかない」 その声は自分のすぐ傍からした。

2015-03-21 02:33:34
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 龍鳳「!?!???!?」 鍵はかけてあったはず… それにも関わらず先ほどまで部屋の外にいたはずの声の主がベッドの脇に置いてあるスツールに腰をかけている りべ「…甘いな小娘(*‘ω‘ *)w私の前で鍵など無意味だ」

2015-03-21 02:34:22
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 龍鳳は大きく目を見開く…悲鳴でもあげることも出来たかもしれないが、 あまりの出来事に言葉すら失った。 やっとの思いで出てきた言葉も… 龍鳳「ふ、不法侵入ですよ!」 りべ「知ってる(*‘ω‘ *)」 …何の意味もなさなかった

2015-03-21 02:35:26
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 心配してここにきてくれたのはわかっていた(侵入はいささかやりすぎではあるが) 体を起こしベッドの上で正座をし、葛葵の方へ向く。 相対する葛葵は龍鳳の予想と異なり笑っている りべ「ひっどい顔だなw目も鼻も真っ赤だぞw」

2015-03-21 02:36:15
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 その言葉に龍鳳はついカッとなる 慰めにきたのではないのか?優しい言葉をかけにきたのでは… 考えるより先に突っ張った言葉が出てしまっていた 龍鳳「出ていって下さい!」 同時に両の手で葛葵の頭から胸にかけて軽く殴打を繰り返す

2015-03-21 02:37:23
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 しばらく拳を葛葵に叩きつけるも彼は防御する姿勢も見せない。 …ただ微笑み龍鳳の殴打を甘んじて受けていた。 やがてペースは落ちていき最後の一打を葛葵の胸板に打ち付け心の内を打ち明ける 龍鳳「…どうして…なんですかっ!」

2015-03-21 02:38:20
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 そのまま龍鳳は続ける… 龍鳳「…艦載機がなかったから…!だからっ!」 大粒の涙をボロボロと溢しながら語るそれはもう言葉としては成り立っていない。 それでも言わずにはいられなかったことだ 龍鳳「輸送任務に…だからってそこまで馬鹿にっ…!」

2015-03-21 02:39:07
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【冬E4篇:碧花絢爛】前篇 嗚咽を漏らし頭を垂れる。悔しさ、その感情を目の前の葛葵に全てぶつけた 今までもここまで感情を現にしたことはない。それに自分でも少し驚きはした 葛葵は何も言わず。ただその龍鳳の様子を見守っていた。

2015-03-21 02:39:44