ア・ニンジャ・サドン・ライズ・アンド・スクイーズ#2

ニンジャが出て搾る!
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@nezumi_a

濃紺のニンジャ装束、身長は六フィート弱。メンポはフルフェイスタイプで、鼻から上の部分は大きくバイザー状になっている。昆虫の複眼めいたモールドが施されている為に顔を判別することは出来ない。左胸に「檸檬」とエンシェント・カンジのエンブレム。所属は読み取れず。25

2015-04-22 21:48:07
@nezumi_a

赤外線モードで確認。特殊な熱源なし、非サイバネと推定。武装は無し。ブレーサーやレガースは最低限に絞られ、加えて先ほどの逃走の手際や身のこなし。繰り出されるカラテは速度重視と推察。0コンマ1秒で分析された情報は、短距離IRC通信によってブルースティングへ送信された。26

2015-04-22 21:51:07
@nezumi_a

「キサマ、どこのニンジャだ」ブルースティングが問う。「所属などない」スクイーズは簡潔に答えた。「こちらも問おう。貴様らは何者だ。揃いエンブレム、まさかペアルックというわけでもあるまい」ブルースティングは無視を決め込もうとしたが、思い直した。27

2015-04-22 21:54:06
@nezumi_a

「教えてやろう。我々はソウカイ・シンジケート。ネオサイタマを支配するニンジャ組織だ」「ソウカイヤ……なるほど」スクイーズは軽く俯き、その名前を確認するように口の中で転がした。「スクイーズ=サン、キサマの目的は何だ」「聞きたいのならば教えてやろう。俺は、レモンを搾る」28

2015-04-22 21:57:15
@nezumi_a

「レモンを、搾るだと……?」ブルースティングは困惑した。言葉の意味は理解できるが、これから殺し合う相手から聞かされるにしては、些か衝撃的な内容だった。まさか、コイツは人の料理にレモンを搾る為に、ニンジャにケンカを吹っ掛けたのか?「キサマ、控えめに言ってもおかしいぞ……」29

2015-04-22 22:00:08
@nezumi_a

「そうだ。俺は狂っている。そしてお前達はその狂人に殺される」「話にならん。冗談でもソウカイヤに楯突いた事、ジゴクで後悔するがいい!」ブルースティングが叫ぶと同時、サイバーサングラス型ネオンサインが「ナムサン」と表示した。それが合図だった。「イヤーッ!」BLAM!30

2015-04-22 22:03:07
@nezumi_a

アイアンスタッグの先制射撃!オムラ製最新鋭ヤクザハンドキャノン「タネガシマMK9」は重サイバネ者でなければ抑えきれぬ猛烈な反動だ!「イヤーッ!」スクイーズはこれを軽々と側転回避、そこへブルースティングが突進!「イヤーッ!」ニンジャソードを袈裟懸けに切り下ろす!31

2015-04-22 22:06:08
@nezumi_a

スクイーズは素早いチョップでニンジャソードの腹を打ち、これを逸らした。「コシャク!」斬撃を流され、ブルースティングの体勢が僅かに乱れる。そこにスクイーズの中段ストレート!だが、効果的に装着されたチタン製リングジョイントプレートアーマーがこれを弾き返す!32

2015-04-22 22:09:11
@nezumi_a

スクイーズは打撃の手応えから相手の防御力を読み取り、咄嗟にバック転で後退。「イヤーッ!」「イヤーッ!」体勢を立て直したブルースティングの横薙ぎを流麗なブリッジで回避する。ブレードが通過した大気が焼かれオゾン臭を放つ。33

2015-04-22 22:12:30
@nezumi_a

ナムアミダブツ、ブルースティングの赤熱震動するニンジャソードはオムラ試作の高周波振動剣であり、超高温を発する刃は触れるだけでダメージを免れない。実際、チョップ防御したスクイーズの手は焼け爛れ、焦げたニンジャ装束が傷に張り付いている。34

2015-04-22 22:15:06
@nezumi_a

「ゆくぞ!イヤーッ!」肩口からソードを突き出すように構え、ブルースティングが再突進!スクイーズは迎撃のカラテを構えた。「イヤーッ!」BLAM!BLAM!BLAM!突撃するブルースティングの背後からアイアンスタッグが大口径銃を連続発射!血迷ったか!?35

2015-04-22 22:18:06
@nezumi_a

だが重金属弾頭はブルースティングに掠る事無くスクイーズ目掛けて飛ぶ!両者はIRCリンクによって連携を確立しており、このようなフレンドリーファイアじみた援護射撃はチャメシ・インシデントなのだ!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」スクイーズは連続側転で致命的弾丸を回避する!36

2015-04-22 22:21:06
@nezumi_a

「イヤーッ!」それを追うブルースティング!連続して繰り出される灼熱のブレードが重金属酸性雨を受け、ジュウジュウと音を立てる。「イヤーッ!」ブレード回避!BLAM!その隙を狙う銃弾!開脚ジャンプで回避!そこにブルースティングのカラタケ割り斬撃!側転回避!37

2015-04-22 22:24:06
@nezumi_a

「おのれチョコマカと!イヤーッ」ブルースティングは殺人バイオカブトムシめいて突進し、激しく剣を振り回す!恐るべき破壊力を秘めた攻撃だが隙も大きい。スクイーズは軽快なステップで回避し、カウンターの拳を見舞った。「イヤーッ!」ガキン!アーマー部で弾く!「ハッ、効かぬわ!」38

2015-04-22 22:27:30
@nezumi_a

ナムサン、ブルースティングのアーマーは実際堅固。更にはアイアンスタッグの的確な射撃。アイアンスタッグはブルースティングの突進力を盾にすることで有利なポジションをキープし、ブルースティングは援護射撃を受けることで、一方的な攻撃を維持できるのだ。モチツ・モタレツ!39

2015-04-22 22:30:08
@nezumi_a

息をつかせぬ連携により、スクイーズは反撃を封じられ、屋上のコーナーへと追い詰められていく!「俺達のコンビネーションは無敵よーッ!」BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!アイアンスタッグが勝ち誇り、連続射撃!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」連続側転回避!40

2015-04-22 22:33:05
@nezumi_a

しかし回避コースの先にはブルースティングが待ち構えていた。アイアンスタッグの連射はこれを狙ったものだ!「ショーグン・チェックメイトだぞ!スクイーズ=サン!イヤーッ!」野球のフルスイングめいた渾身の一撃が退路諸共スクイーズを切り裂く!41

2015-04-22 22:36:08
@nezumi_a

アイアンスタッグは素早くリロードしながら相棒の一撃を見送った。(奴はまだジツもカラテも見せていない、ムテキで弾くか、跳んで逃げるか?いずれにせよ逃がしはしないが)「イヤーッ!」スクイーズが叫んだ。次の瞬間、スクイーズの左胸のカンジエンブレムが金色の輝きを放った。フシギ!42

2015-04-22 22:39:08
@nezumi_a

「やはりジツか!」BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!アイアンスタッグは冷静に連射を叩き込む!追撃の手を緩めない!スクイーズの胸の輝きは、一瞬にして左胸から両腕へと鮮やかな蛍光イエローのラインを描いた。掌に金色の光が宿る!43

2015-04-22 22:42:03
@nezumi_a

「イヤーッ!」右手をブルースティングのニンジャソードに叩きつける!ZAP!焦音、そして柑橘系の匂いと共に灼熱の刃が軌道を逸らした!左手はアイアンスタッグ目掛けてスリケンを投擲!い、否!スリケンではない!?アイアンスタッグのニンジャ動体視力は信じ難い光景を捉えていた!44

2015-04-22 22:45:13
@nezumi_a

スクイーズが投じたのはハーフカットされたレモンだ!レモンである!ニンジャ筋力で投じられたレモンは、ヘタを中心とした高速回転をしながら飛翔!タネガシマMK9の弾丸と接触すると、その軌道を逸らした!タネガシマの銃弾はスクイーズではなくブルースティングの脇腹に命中!45

2015-04-22 22:48:10
@nezumi_a

「グワーッ!」ヤクザ前蹴り三十人分に相当する破壊力にチタンアーマーが陥没破損!「レモンナンデ!?」予想外の事態にアイアンスタッグ驚愕。その隙は僅かな時間だったが、ニンジャ同士のイクサにおいては致命的な隙!そしてスクイーズはその隙を見逃すような不心得者ではなかった!46

2015-04-22 22:51:12
@nezumi_a

「イヤーッ!」スクイーズの槍めいたサイドキックが、ブルースティングの脇腹の銃創を抉る!インパクトの瞬間、またしてもスクイーズの装束を超自然の光が走る!「グワーッ!?ア、アバーッ!」吹き飛んだブルースティングは屋上の落下防止フェンスに激突し悶絶!47

2015-04-22 22:54:16
@nezumi_a

「アバーッ!」おお見よ!蹴られた傷口にハーフカットされたレモンが捻じ込まれているではないか!ナムアミダブツ!「ブルースティング!イヤーッ!」BLAM!BLAM!「イヤーッ!」アイアンスタッグはアクシデントから立ち直り、相棒の窮地を救うべく援護射撃!だが遅い!KBAM!48

2015-04-22 22:57:11
@nezumi_a

「グワーッ!?」タネガシマ自慢の大口径弾が暴発し、アイアンスタッグの右手首はケジメされた!暴発の原因はまたしてもレモン!アイアンスタッグがトリガーを引く瞬間にレモン投擲し、銃口を狙い打ったのだ!なんたる恐るべきレモンか!49

2015-04-22 23:00:07