運命の少女

恐怖を乗り越え、人は気高さを得る
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雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

〜宿毛湾〜 ユー「潜水艦…主砲…電探…」 瑠奈花「ふむ…」 瑠奈花はタブレットを見つめ、ユーはぶつぶつと単語を呟く

2015-04-26 08:30:58
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菊月「何をしている?」 瑠奈花「ちょっとしたテストだ。このタブレットに表示されたシルエットがなんなのかを当てるのさ」 菊月「…種類だけ答えればいいのか?簡単だな」 瑠奈花「いや、回答者は画面を見てはいけないんだ」

2015-04-26 08:31:40
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菊月「画面を見ないで当てろ、だと?そんなことができるのか」 瑠奈花「彼女はできた」 菊月と瑠奈花はテーブルを挟んで対面に座るユーを見つめた。視線を感じたユーは戸惑っているようだ

2015-04-26 08:32:10
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菊月「…どういうことだ?」 瑠奈花「フォースだ」 瑠奈花は確信を持って答えた 瑠奈花「彼女はフォースに選ばれた、運命の子だ」

2015-04-26 08:33:12
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〜北方海域〜 瑠奈花の司令船が極寒の海を航行していた ここの気温は非常に低く、凍てつく大地が太陽の光を反射させ視界を奪わんとする ユー「…なにをすればいいの?」 瑠奈花「これを見てくれ」

2015-04-26 08:34:33
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瑠奈花は小さな透明の袋を取り出した 袋の中には更に小さな、神秘的な輝きを放つ結晶が入っていた ユー「キレイ…」 瑠奈花「これはフォース・クリスタルと言ってね、所有者の心を落ち着かせ、感覚を研ぎ澄ます力がある特別なクリスタルなんだ」

2015-04-26 08:35:13
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瑠奈花「私の掴んだ情報によると、キス島近辺に氷に覆われた洞窟があって、そこがこのフォース・クリスタルの産地であるらしいんだ」 ユー「…ふぅん」 ユーはまじまじとクリスタルを眺めた。この神秘的な輝きに心を奪われたようだ

2015-04-26 08:36:42
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大井「まさかその石を取ってこい、なんて言うつもりじゃないでしょうね」 瑠奈花「お、よくわかったな。その通りだ」 呆れた。まさか石集めに目覚めたとでもいうのだろうか 特別なクリスタルだとは言うが大井の目にはただの石にしか見えない

2015-04-26 08:37:17
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司令船が目的地に到着した 瑠奈花「ここからも見えるかな、あそこにあるのが件の洞窟だ」 瑠奈花の指差す先には確かに洞窟が見える ユー「…あの中に入ってクリスタルを取ってくればいいのね」 瑠奈花「そうだ、ただし気をつけなけれはならないことがある」

2015-04-26 08:37:48
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瑠奈花「あの洞窟の入口は夜になると氷で閉ざされてしまう。日没までにクリスタルを手に入れて、脱出しないといけない」 ユー「…うん、わかった」 瑠奈花「それから、洞窟には一人で行くこと」

2015-04-26 08:38:49
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大井「なるほど…って、まさかユーちゃん一人で危険な洞窟に向かわせるつもり!?」 さすがに声を張り上げた。下手すると閉じ込められるかもしれない洞窟を一人で探索しろだなんて 瑠奈花「そのつもりだが」 大井「ダメです。断固反対。そんな危険なこと私は認めませんよ」

2015-04-26 08:39:27
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瑠奈花「これはあの子の試練なんだ」 大井「それでもし死んじゃったりでもしたら?その程度だった、とでも言うつもりですか?」 瑠奈花「む…わかった。君も行くといい」 ひとまずは安心した。大井はもちろん瑠奈花の考えも汲んでいるつもりだ。ユーの命が危なくなったら助けてあげればいい

2015-04-26 08:40:59
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ユー「それじゃ、行ってきます…」 瑠奈花「ああ、武器は持ち込むな」 大井「…それも試練?」 瑠奈花「そうだ。大丈夫、武器なんてものは必要ない」 大井とユーは艤装を置いて司令船を出ていった 瑠奈花「…これは心を試す試練だ」

2015-04-26 08:41:42
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〜洞窟〜 洞窟に入ると凍てつく冷気が二人を襲った。防寒着を着用しているとはいえこの寒さはさすがに堪える 大井「それにしても、どういうつもりなのかしらね。いきなり石を取ってこいだなんて」 大井は愚痴を漏らす。瑠奈花のことは尊敬している。が、あの人の考えていることは正直読めない

2015-04-26 08:42:49
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ユー「ユーにはなんとなくわかります…。これにはきっと意味があるんだと思います」 大井「そりゃそうでしょうけど…あの人は無意味なことはしないし」 ユーは澄ました顔で歩き続ける 大井「ユーちゃん…寒くないの?」 ユー「…はい。一応慣れてるので…」

2015-04-26 08:43:32
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U-511は潜水艦。冷たい水中を主な戦場とする艦娘だ。多少の寒さには慣れっこなのだろう ユー「…オオイさんは寒いのは苦手ですか?」 大井「嫌いじゃないわね…。出来のいいおと…妹のおかげかしら」 大井は自分が寒がっているとよく外套をかけてくれた妹のことを思い出した

2015-04-26 08:44:41
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ユー「…あれ」 二人の歩みが止まった。そこは行き止まりになっており、巨大な氷柱がそびえ立っている 大井「行き止まり…?」 ユー「…いえ、きっとどこかに道が…」 大井は懐中電灯で辺りを照らすが、道のようなものは見当たらない

2015-04-26 08:45:36
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ユー「ここまででしょうか…」 大井「いえ、これは…」 大井は目の前の氷柱に違和感を感じていた。この氷柱、最近動かしたような形跡がある 大井はユーに懐中電灯を持たせ、氷柱を押してみた

2015-04-26 08:46:34
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ゴゴゴゴ…と鈍い音を立てて、氷柱が動く。その後ろには更なる道が続いていた ユー「…すごい。力持ちだね」 大井「違うわ。この氷柱、大きさの割に意外なほど軽かった。見た目に惑わされて何もしないでいたら、手ぶらで帰ることになっていたでしょうね」

2015-04-26 08:47:14
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大井とユーは再び探索を続ける 大井「…あら」 今度は二手に別れた道のある小部屋にたどり着いた ユー「…どっちかな」 どちらの部屋も奥は見えない。何があるかは到底わからなかった

2015-04-26 08:48:08
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

今のところ、この洞窟に危険な要素は見当たらない。勿論この先にも危険がないとは言い切れないのだが ユー「…二手に別れよう」 注意深く考察を続ける大井にユーは提案した 大井「でも、一人で大丈夫?」 ユー「…悩んでいるだけじゃ始まりません。とにかく、動かないと…」

2015-04-26 08:48:53
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そうだった。自分もかつて瑠奈花にそう教わったはず。できるかできないか、ではなく「する」のだ 大井「わかったわ。何かあったらコムリンクで伝えて頂戴。すぐに助けにいくわ。探索が終わったらここで落ち合いましょう」 ユー「…うん、わかった」 そうして二人はそれぞれの道を進んでいった

2015-04-26 08:49:18
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〜大井side〜 大井は小部屋の右側の道を進んだ。やがて、彼女は狭い通路を抜け、大きく開けた空間へ辿り着いた 大井「これは…地底湖かしら」 地底湖と思わしき空間の中心に光った何かが見える。大井はそれを件のクリスタルだと解釈した

2015-04-26 08:50:18
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大井「あれがクリスタルかしら…」 大井は凍った地底湖に足を踏み入れる…が、地底湖に張った氷は砕けちってしまった 大井「冷たっ!この氷、案外薄いのかしら…」 水は潜水艦娘であっても凍えるであろうほど冷たい 体重を気にしつつ大井は冷静に分析した

2015-04-26 08:51:27