【未来の予兆】

闇は常に自分の中に潜む
0
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

〜居酒屋「赤城」〜 赤城「お疲れ様でした」 鳳翔に倣い、居酒屋も始めたらしい。居酒屋赤城は古参艦娘達の心の拠り所だ 吹雪「艤装がすごく使いやすくて。今までのよりもサイズは大きいんですけど、体に合ってる感じがしますね」 瑠奈花「そうだろう。成長した身体に合わせてあるからな」

2015-05-13 20:34:17
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

瑠奈花「それで、何か見つかったか?」 吹雪「これといったものは特に…。ただ、私の知る仲間達がバラバラになってて、なんか寂しいなぁって」 瑠奈花「時間の流れとはそういうものだ。不変ではいけない。川を流れる船のように進む」 吹雪「…戻れなかったらどうしよう」

2015-05-13 20:35:22
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

瑠奈花「ん?」 吹雪「これが夢とかじゃなくて、このまま過ごすことになったら… 相変わらずいい雰囲気だし、とても楽しいですけど、私にはここ10数年間の雪花での記憶はないようなものだし…」 赤城「吹雪さん」

2015-05-13 20:36:45
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

吹雪「え?」 赤城はお猪口に酒を注ぎ、吹雪に差し出した 赤城「加賀さんがいつも贈ってくれる、彼女の地元のお酒です。心が暖まりますよ」 吹雪はゆっくりと酒を飲み干した。酒は飲んだことがないが、これは焼酎だろうか? ふと涙ぐんできた吹雪を、瑠奈花が優しく抱きしめる

2015-05-13 20:37:38
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

瑠奈花「心配はいらない。ここは今の君がいるべきところではない。君は君の時を生きるべきだ。きっとすぐに戻れる」 吹雪はすぐに安堵に包まれた。そういえば、瑠奈花にこうして抱きしめられたことは少ない気がする …身長的に難しいだけなのだが

2015-05-13 20:37:59
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

瑠奈花の抱擁がここまで自分を安心させてくれるものだったとは知らなかった 吹雪「司令官…私、夢の意味がわかった気がします」 瑠奈花「…そうか」 吹雪「赤城さんも…ありがとう」 赤城「いえ♪今日はそろそろ閉めますので、また明日…」

2015-05-13 20:38:27
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

〜寝室〜 瑠奈花「君は未来を見に来たのかもしれんな」 吹雪「未来を?」 瑠奈花「フォースを極めれば、未来を予見することも可能だ。私は未来より今を見ろと言ってきたがな 吹雪、君にもフォースの才能がある。未来視の力が夢という形で現れたのかもしれんぞ」

2015-05-13 20:39:05
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

吹雪「未来は…変わりますか?」 瑠奈花「もちろんだとも。未来は不変ではない。どんな未来が訪れるか…それは君次第だ」 吹雪「…。」 瑠奈花「…寝ようか」 吹雪「…はい」

2015-05-13 20:39:29
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

瑠奈花「寝て起きたら、今の君はいなくなってるかもしれない。だが明日はきっと、君が思い描いた理想の未来になる気がするよ」 吹雪「きっと、そうなります。私の理想の未来を、切り開いてみます」 吹雪は布団に入り、瑠奈花の背中に抱きついた

2015-05-13 20:40:10
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

吹雪「…いい匂い」 瑠奈花「昔の私ならいざ知らず、今はおじさんだぞ。加齢臭がしないか心配だな」 吹雪「変わりませんよ…あの時と。同じ匂いです」 瑠奈花「くすぐったいから程々にな。…おやすみ」 吹雪「おやすみなさい、司令官… …愛してます」

2015-05-13 20:40:56
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

--------------------------------------------------

2015-05-13 20:41:03
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

〜???〜 吹雪「!?」 爆音で目が覚めた。吹雪は海に立っていた。振り返るとそこには一隻の船が爆発し炎上している。吹雪はこの船に心当たりがあった 吹雪(…これ、宿毛湾の司令船…!)

2015-05-13 20:41:42
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

やがて、燃え盛る司令船の方から近づいてくる人影を見つけた 吹雪は虚ろな瞳でそれを見つめていた 曙…天龍…清霜…そして、瑠奈花 吹雪(司令官!無事だったのね!) 吹雪は叫ぼうとするが、声が出ない。それどころか、身体も動かない

2015-05-13 20:42:11
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

曙「吹雪…あんた…」 吹雪(曙ちゃん?なんでそんな怖い顔…) 曙だけではなかった。天龍も同じくこちらを睨み、清霜は怯えた表情をしている。瑠奈花の顔は帽子で隠れてよく見えない 天龍「…油断すんなよ曙。あいつはもう…」

2015-05-13 20:42:45
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

吹雪(何を言ってるの?) 瑠奈花「吹雪…」 吹雪(司令官!) 瑠奈花「…お前を信じていたのに!愛していたのに!」 吹雪(司令官?何を…)

2015-05-13 20:42:58
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

吹雪「…これが私の選んだ道です」 吹雪(何で?私は何を言って…) 吹雪「あなたを殺したくない…けど、このままでは敵とみなすしかない」 吹雪(殺す?敵?誰を?まさか…司令官?)

2015-05-13 20:43:17
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

清霜「そんな…!」 曙「あんた!目を覚まして…」 瑠奈花「…いい、下がって。君の考えはよくわかった。私の責務を果たす」 吹雪(司令官?どうして私に剣を向けるの?) 吹雪「やれるものなら…」 天龍「…クソッ!なんでこうなっちまうんだよ!」

2015-05-13 20:43:51
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

吹雪「…やってみればいい!」 吹雪(これ…深海の艤装!?なんで私が…) 瑠奈花「…せめて私の手で、君を眠らせてやる」 吹雪(やめて…待って…司令官…!)

2015-05-13 20:44:05
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

-------------------------------------------------

2015-05-13 20:45:18
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

吹雪「いやぁああ!!!」 瑠奈花「うわっ!?」 吹雪は瑠奈花の寝室で目が覚めた すぐに自分の腕を確認した。深海の艤装などついていない 瑠奈花「びっくりした…うなされてたぞ。汗びっしょりじゃないか」

2015-05-13 20:45:44
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

目の前にいる瑠奈花は…いつもの見慣れた姿だ 瑠奈花「…そんな怖い夢でも見たのか?」 吹雪「…はい」 吹雪は夢の内容を瑠奈花に話した 未来の夢、赤城が居酒屋をやっていたこと、長良が陸上選手になったこと、レディになった暁のこと… だが二つ目の夢だけは、どうしても言い出せなかった

2015-05-13 20:46:04
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

吹雪「もう一つ…怖い夢を見て…怖い…未来で…」 『どんな未来が訪れるか…それは君次第だ』 もしかしたら、自分の選択が引き起こす、とある未来の一つなのかもしれない。そう考えると怖くて仕方がなかった 瑠奈花「…そうか、そんな夢を見たのか」 吹雪「司令官…」

2015-05-13 20:46:35
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

吹雪「未来は…変わりますか?」 瑠奈花「…もちろんだ。未来は不変ではない。君が正しい選択をすれば、正しい未来が訪れる だから心配するな。私がついてる」 吹雪「司令官…」 瑠奈花「落ち着いたか?」

2015-05-13 20:47:16
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

吹雪「…はい」 瑠奈花「何を見たのか、詳しくは聞かない。だけど、破滅の未来は必ず回避できる。清霜がそうだったように、ね?」 吹雪「…はい。私、この未来は決して実現させません。必ず、変えてみせますから…」 瑠奈花「…それでいい」

2015-05-13 20:47:31
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

吹雪は瑠奈花に強く抱きつき、瑠奈花も吹雪を優しく抱き締めた 瑠奈花の抱擁は夢で見たのと同じように、吹雪を安堵に包むのだった 【おしまい】

2015-05-13 20:47:43