小説【HARD MIRACLE ~私が彼の3日間~】

増田貴久メイン。 三文小説みたいな、あり得ない奇跡が運んだもの―それは…?! 2015.6.29~2015.7.4 続きを読む
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はんな□♡▽○妄想投下気味 @hanna_secret

#HM3D 050/162 「何“終わりました”みたいな顔してんの?」 「…え?」 小山さんが、私の肩を叩く。 「あのね、なななちゃん…今から雑誌の撮影、  今日は4誌分。で、その後打ち合わせと…」 「ふぇぇっ?!」 どうしよ…今のに全力使った… ペース配分間違えた…。

2015-06-30 18:53:09
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#HM3D 051/162 結局全ての仕事が終わったのは、 午後9時過ぎだった。 「ま、よかったんじゃない、4人の仕事の日で。」 TV局を出ながら、シゲさんが呟く。 「だねー。サッカー関連の仕事の日だったら、  俺ら全くフォロー出来ないからね。」 小山さんが微笑む。

2015-06-30 20:53:19
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#HM3D 052/162 「てかさぁ…」 増田さんが、空を見上げながら言う。 「手越、そのコントのオチ、どこ?」 「え?」 「女の子になっちゃったコントの、オチ。」 私とシゲさんと小山さんは、 一時停止して増田さんを見詰める。 「?」 「まっすー…まだ信じてなかったの?」

2015-06-30 20:53:26
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#HM3D 053/162 「えっ、信じてんの小山?!」 「ん…有り得ないけど…これ手越じゃないもん。」 「メンバー“さん”付で敬う手越なんか、  俺、見た事ないわ。」 増田さんは、丸い目で私を見る。 …やっぱ苦手だ、この視線。 と、また増田さんの顔が近付く。

2015-06-30 20:53:35
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#HM3D 054/162 朝よりもゆっくり…静かに。 また動けない私は、目を瞑った。 と。 ぷくっとした唇の感覚が頬に触れた。 「えっ」 多分、恐ろしく赤面してる、今// 「…ホントだ、手越じゃない。」 増田さんは、少し唇を尖らせて呟く。 「手越なら逃げるもん。」

2015-06-30 20:53:44
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#HM3D 055/162 「てか!中身女子大生なんだから、  キスで確認すんの止めてやれよ。」 シゲさんが、笑いを堪えながら言う。 「そっか…ごめんね?七菜ちゃん。」 ふわっと微笑む増田さん。 …こんな顔、今日1日一緒にいて初めて見た。 「今日は、よく頑張りました。」

2015-06-30 20:53:51
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#HM3D 056/162 「女の子に素直じゃないよね、まっすーは。」 小山さんが笑う。 「え?」 「だからまっすーはね…」 「黙れ小山。」 少し早足になる増田さんを、 小山さんと加藤さんが笑いながら見てる。 私は、その一連のくだりを、 きょとんとして見ていた。

2015-06-30 22:16:05
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#HM3D 057/162 「明日オフだから、ゆっくり休め。」 手越さんのマンションの前で車を降りる時、 シゲさんが、私の頭を撫でながら言った。 うわぁ…生の加藤シゲアキだぁ♡ …って今頃。 1日怒涛過ぎて、余裕なかった。 「ありがとうございました!  お疲れ様でした!」

2015-06-30 22:16:14
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#HM3D 058/162 「あれだけ動いて、身体のどこも痛くない…。」 私なんて、ひと駅歩いてヒーヒー言うのに。 ふと、携帯に手を伸ばす。 使い慣れない手越さんの携帯に、 自分の番号を入力した。 呼び出し音…応答は無い。 「大丈夫かな…」 試験どうだったんだろ。

2015-06-30 22:16:23
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#HM3D 059/162 「ま、そうだよねぇ…」 慣れない女性の身体で過ごして、 手越さんだって疲れてるに決ま …待て。 足元で、スカルくんが、 少し警戒しながら、私の様子を窺っている。 洗面所の前。 パンツに掛けた手が止まる。 初歩的な問題発生。 ってことは…。

2015-06-30 22:16:30
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#HM3D 060/162 急いでリビングに駆け戻り、 もう一度電話を掛けた。 「私の身体っ!//」 やっぱり応答はない。 その後何度か電話したけど、 手越さんは出なかった。 …仕方ない、覚悟しよう。 私はもう一度洗面所に戻ると、 ギュッと目を瞑って、パンツを脱いだ。

2015-06-30 22:16:43
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#HM3D 061/162 ふかふかのベッド…凄くいい匂い。 頬にカーテン越しの朝日の気配。 顔の周りにさわさわ違和感を感じる。 「んー…おはよ、スカル。」 くぅん、と鳴くと、 スカルはどこかへ行ってしまった。 …だよね、やっぱりイメージで似せても、 違うよね、ご主人とは。

2015-07-01 08:18:42
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#HM3D 062/162 ベッドに座ってボーッとしてると、 インターホンが鳴る。 時間は朝7時過ぎ。 …今日、オフ、だよな? インターホンの画面をONにする。 「…え?!」 『そろそろコント、終わる気になった?!』 ま、増田さん? 『明日の準備、出来てんのー?』

2015-07-01 08:18:52
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#HM3D 063/162 急いでドアを開ける。 「寝てる場合じゃないでしょー?」 増田さんは、そのまま部屋に上がり込む。 「あの…増田さん?」 「だから、その気持ち悪い呼び方止めろってば。」 「いや…あの」 「明日のオーディションの準備、出来てんの?」

2015-07-01 08:19:03
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#HM3D 064/162 「…オーディション?」 昨夜の笑顔が嘘みたいに、 増田さんの眼は鋭い。 「…オーディション。」 オーディション?何の? 私が首を傾げると、 増田さんは大きな溜息を吐いた。 「…俺、許さないから。」 「え?」 「入れ替わりか何か知らないけど」

2015-07-01 13:44:38
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#HM3D 065/162 「今までの手越の頑張り不意にしたら、  誰であろうと、許さねーから。」 増田さんは、手越さんが昨日持ってた鞄から、 ボロボロの台本を出して机に置いた。 「…ハリウッド。」 「えっ?!」 「明日、ハリウッド映画のオーディション。」 …はい?

2015-07-01 13:44:45
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#HM3D 066/162 「本人の顔目の前に言うのも何だけど」 と前置きして、少し赤い顔で増田さんが言う。 「何も分かんないとこから、  いきなりデビューして、活動休止して…  そんでも踏ん張って、必死で前向いて走って。  その頑張りが、また1つ実を結びそうで…。」

2015-07-01 13:44:52
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#HM3D 067/162 「それを、訳分かんないアクシデントで、  ダメにしちゃダメだって…思わない?」 「…思います。」 私だって見てきたんだから分かってる。 末っ子の手越さんが、黒髪の“芋手越”が、 頑張って踏ん張って王子様になってったこと。 「私に何が出来ますか?」

2015-07-01 13:44:58
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#HM3D 068/162 「知り合いにお願いして、  レッスンスタジオ借りてある。」 増田さんの運転で、スタジオへ向かう。 審査項目は、英語とカンフーアクション。 「3ヶ月前から猛特訓してたんだ、手越。」 増田さんが唇を噛む。 「だからきっと、身体が憶えてる…筈。」

2015-07-01 18:38:18
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#HM3D 069/162 「その身体の使い方、  昨日だいぶ慣れたでしょ?」 「はい…え?」 もしかして、あのスパルタは…。 「明日までに手越に戻れる希望は薄そうだし、  七菜ちゃんに手越の身体、  使いこなして貰わないと。」 明日のオーディションの為、だったんだ。

2015-07-01 18:38:25
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#HM3D 070/162 レッスンスタジオは、 屈強なカンフーの先生付きだった。 基本の型、剣や槍を使った型、 実践的に技を魅せる動き―。 増田さんの言う通り、 手越さんの身体は、その全てを憶えていた。 手越さんの努力、不意にしちゃいけない。 私は、夢中で稽古した。

2015-07-01 18:38:31
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#HM3D 071/162 「好きな食べ物は?」 少し休憩してた私に、増田さんが訊く。 「えっと…プリン。」 「ん。」 無愛想に返事すると、 増田さんはスタジオを出て行った。 数分後。 「ん。」 増田さんは相変わらずの膨れ面で、 私にコンビニの袋を差し出す。 「…プリン?」

2015-07-01 20:08:58
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#HM3D 072/162 「そんなもん食うと身体がびっくりするぞ。」 増田さんは、可笑しそうに笑った。 「えっ…じゃあ止めます!」 「何で?」 「身体変になっちゃうと困るし…」 「いや、そんな意味じゃない。  手越の身体、そんな脆くないから。」

2015-07-01 20:09:05
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#HM3D 073/162 プリンを頬張る私を、 増田さんはずっとニコニコ笑って見ている。 「増田さん…」 「ん?」 「好きなんですね、手越さんのこと。」 「…好きだよ。すっげー大事。」 照れ笑いする増田さんは、 何だかちょっと可愛い。 増田さんを、がっかりさせたくない。

2015-07-01 20:09:11
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#HM3D 074/162 「じゃ、次で最後かな。」 窓の外は、夕暮れのオレンジ。 結局1日中、動きっぱなしだった。 少し乱れた息を整えて、 小さく礼をする。 構え。 受け身から蹴り、身体を翻す。 …次の瞬間。 パリッ、と変な痛みが足首に響いた。 身体は動き続ける。

2015-07-01 20:09:18
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