- terry_rice88
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リメイクという点では本作がここまでのリメイク作品の中で一番失点が少ない作品だということも非常にポイントが高い。その一因にさっきも話したように脚本担当の交代が大きくあるわけだけど、寺本監督の手腕も「新・魔界大冒険」から修整されていて、原作の筋をうまくアレンジしているのが利いている。
2016-09-21 20:19:18特にのび太にピッポ、しずかちゃんにリルルをあてがって、男女の側から「人間とロボットの対比」を上手く重ねていて、説得力を出している所やそこに「友情」や「信頼」を乗せている事でオリジナルでの不備を綺麗に補っているのはお見事というべきだろう。そこを強調することで犠牲になった部分もあるが
2016-09-21 20:22:59ミクロスの出番が激減したことや、挿入歌の多さは演出意図として理解するけど、挿入歌はやはりちょっと多すぎたかなとは思う。元がシリアスな分、子供にも楽しめるような配慮なんだと思うけど。あとそういった要素を詰めすぎたせいなのか、クライマックスの畳み掛けがちょっと性急だったようにも。
2016-09-21 20:27:08ここらへんはリルルやピッポたちをロボット社会の下層市民に設定したことでロボット社会とのび太たちの人間社会の対比を生み出そうとして、「友情」といった心の交流に尺を大きく取ったから、だと思いますし、どっちかというとそっちが主眼にしていた印象がある。
2016-09-21 20:32:13この辺りの描写の違いは86年版やマンガ版との違いに違いに直結してて「鉄人兵団」という作品の叩き台になっているだろう「ロボットアニメ」の違いが大きいかなと。86年版ではのび太がザンダクロスに乗り込んだとき「TVアニメみたい」というけどわさドラ版は「映画でしか見たことない」と言ってる
2016-09-21 20:36:4586年版は前年に「機動戦士Zガンダム」が放映されており、前後2、3年を見渡してもロボットアニメが何本も放映されている時代で、さらには冷戦末期という状況があって、どことなく緊張感の張り詰めた作品になっている。いつか襲い来る脅威という不安がまだあったのが作品にも滲み出ている。
2016-09-21 20:42:55対して「新・鉄人兵団」は07年から新劇場版が始まったエヴァンゲリオンシリーズの影響は少なからず出ていて、それがどこに出ているかと言うとザンダクロス(=ジュド=ピッポ)とリルルが当てはまる。と、いうよりこの二人を取り出してみるとセカイ系の物語に生きる男女二人にも見えなくはない。
2016-09-21 20:47:03ロボット社会では役に立たないものはゴミ扱い、生きる為には役に立たなければならないし、他者を信用してはならない、というようなディストピアのような社会になっていて、そこの下層市民であるリルルとピッポがのび太たちと交流して、思いやる心や「友情」を得ると言う形に収めているのが最大の肝。
2016-09-21 20:50:12まあ、ドラえもんが子供向け作品であるという事を考えれば、この結び付け方は理解できるし納得する反面、エヴァが後世に残した傷跡はあまりにも大きいと言わざるを得ないかなと。なのでクライマックスはピッポとリルルが未来を信じることでのび太たちを守り抜く事がある意味、ロボットアニメ的でもある
2016-09-21 20:54:25なので、「鉄人兵団」という題材の持つシリアスさや緊張感、あるいは時代の変遷による描写の変化を考慮すれば、新要素を上手く取り入れて、リメイクらしいリメイク作品になっていると言うのが再視聴で持った印象。反面、のび太とリルルのボーイ・ミーツ・ガールな感覚はあんまりないのは残念だけど。
2016-09-21 20:57:42痒いところには手が届いてるし、作画はかなりぐりぐり動いているので、オリジナルにあった不満な箇所は補われてるから、満足感はありますね。リルルの最期辺りは漫画版から拾ってきてくれるし(86年版はけっこう「天使」を連呼してて辟易w)。あと再視聴して気付いたのがラストシーン。
2016-09-21 21:02:33リルルがやってくるのは当然としてピッポが「もっとカッコいい鳥になりたかった」ってのをちゃんと拾ってきてるのですね、いまさら気付きました。だからサブタイが「はばたけ天使たち」と複数形なのは意味があったのだと。改めて。
2016-09-21 21:05:08まあ、オミットされた部分、追加された新要素を上手くバランスとって、原作を見事にアレンジできたと言うところに「新・鉄人兵団」の評価の高さがあるのかなと。実際、ここまでのわさドラの中では一番作品の出来と安定感がずば抜けていると思います。わさドラ映画でお勧めするならこれかなと言う所。
2016-09-21 21:08:58「点」で見た時より「線」で見た今回の方が「新鉄人兵団」がスコーンと抜けた出来だったと言うことが非常に理解できてとても良かったと思えました。自分の中ではいろんな意味で11年時点でのわさドラの集大成的作品に感じました。次作からまた新たなフェイズなのだろうなと思いつつ。良い作品でした。
2016-09-21 21:15:26のび太と奇跡の島 〜アニマル アドベンチャー〜(2012年)
のび太と奇跡の島 〜アニマル アドベンチャー〜、鑑賞。 今も映画わさドラの中でも名作の部類とされる「新鉄人兵団」の翌年公開の本作は原作(というよりアニメ?)の名エピソード「モアよ、ドードーよ、永遠に」を翻案した作品。脚本は前作に続き、清水東さん、監督は「人魚大海戦」の楠葉宏三さん。
2020-03-02 20:57:02結論から言うと、面白くもなければつまらなくもない凡庸な作品という感じか。なかなか語るに困る作品なんだけど、そうなってしまった理由はいくつかある。作画については、金子志津枝さんが去った後、キャラクターデザインに着任した大城勝さんのタッチは癖があるものの、手描き感の強いタッチが魅力的
2020-03-02 20:57:03その点で言えば、画面作りは既に堂に入ったものとなっていて、映画ならではのアニメーションの感触はとてもいいんだけど…。問題なのは物語の方だなあ。とりあえず大まかに三つ挙げる。 1.物語展開の起伏のなさ 2.作品テーマの迷走感 3.物語進行に関係ない登場人物の多さ この三点かな
2020-03-02 20:57:03順を追って、見ていく。 1。 この作品の一番大きな問題点だと思う。とにかく平坦なまま、盛り上がりもなく、話が繰り広げられていく。魅力的な設定は配置されている(絶滅動物を保護する奇跡の島・黄金のカブトムシ・島の原住民族)のに、それが上手く物語に絡み合わず、割と平行線のまま進んでいく。
2020-03-02 20:57:04とりあえず設定を見る限りは、22世紀の島に思えるベレーガモンド島なんだけど、22世紀にしては原住民族であるロッコロ族の垢抜けなさがちょっと説得力があるように思えず、同様にベレーガモンド島の管理責任者であるケリー博士とロッコロ族の絡みがないのも不自然といえば不自然。
2020-03-02 20:57:04漫画の方で何か説明があるのかもしれないけど、舞台となっているベレーガモンド島の成り立ち設定が要領を得ないまま、存在だけはしているから、「絶滅動物たちを保護する島」以上の情報がなくて、そのシチュエーションを使って起こる出来事がまったくなくのが難しい。何か組み立てはできたはず。
2020-03-02 20:57:05そんなもんだからドラえもんとのび太たちは冒険するわけでもなく、まるで観光名所を回るような感覚で接しているから、なんだか「冒険している感」が皆無で、敵役のシャーマン一味との戦いは緊迫感がなくて、単調な印象。なんか遊園地のアトラクションのような、安全性を担保された感じ。
2020-03-02 20:57:05良くも悪くも予定調和的な展開が仕掛けも何もなく、ただ機械的に寄り道なくまっすぐ進んでいくので、シンプルな構成な分だけ、返って「遊び」の無さが悪目立ちしてしまっているんだよね。もうちょっとハラハラドキドキさせてもいいんじゃないかっていう。そう思うくらいには平板な物語運びだったかと。
2020-03-02 20:57:062。 やりたい事はわかるんだけど、結局この作品としてテーマは一番何がやりたかったのか、見えてこない感じが作品の焦点をぼやけさせてる感じ。個人的にはもっと絶滅動物たちとのび太たちの交流があるものかと思っていた分、かなり肩透かしを食らった、かな。
2020-03-02 21:19:37