- Keiryo_tan
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国際原子時、協定世界時、うるう秒
「秒は、セシウム133の原子の基底状態の二つの超微細準位の間の遷移に対応する放射の周期の9192631770倍の継続時間である」(SI文書)
2015-06-08 23:18:05秒はもともと地球の自転(その後一時期公転)に基づいて決めていたんだけど、1967年から、より精度の高い(不確かさの小さい)セシウム原子時計で再現できるように原子の遷移周波数を使って決めることにしたんだ。
2015-07-01 21:21:01秒の定義から、セシウム133原子(0ケルビン、静止)の基底状態における超微細遷移周波数の値は、9192631770ヘルツ。
2015-07-01 21:24:37セシウム原子時計より高精度な光時計の研究が進められているよ。次世代の標準器として有望視されてるのが光格子時計。いずれは新しい標準器に合わせて、秒が再定義されることになるんだろうね。
2015-07-01 21:28:12ああ、脱線してる。 原子時は原子時計によって刻まれる時刻系(時系)。世界400台以上の原子時計のデータを総合(加重平均)して作る自由原子時EALを一次周波数標準器で校正し、SI秒の定義に合うように調整したものが国際原子時TAIなんだ。
2015-07-01 21:33:38私たちの生活にとって世界時は重要。なのに、国際原子時は地球の運行におかまいなしに進む。そこで、1秒の長さは国際原子時に従うけれど、世界時とのずれが0.9秒以上にならないように1秒を挿入・削除して調整する時刻系、協定世界時UTCが作られたんだよ。
2015-07-01 21:44:46少し訂正…。この説明は現在の「新」協定世界時についての話。1971年末までの「旧」協定世界時は運営ルールが違ったみたい。1972年1月1日、「新」協定世界時は国際原子時よりちょうど10秒遅れに調整されて運営開始。 twitter.com/keiryo_tan/sta…
2015-07-01 23:59:58協定世界時の調整のために挿入・削除する1秒が「うるう秒」なんだよ。うるう秒調整は今回(2015年7月1日の直前、協定世界時)ので26回目。今回も含めて、これまでの調整は全部挿入だから、協定世界時は国際原子時より36秒遅れになったんだ。
2015-07-02 00:02:24これまでのうるう秒調整→jjy.nict.go.jp/QandA/data/lea… このページの下の方にあるPDFを見ると、世界時が一様でないのがよく分かるね。地球の自転速度が不規則に変動するから、うるう秒調整はその観測データをもとに行われるよ。
2015-07-02 00:06:44うるう秒の廃止が議論されてるみたいだけど、先行きは不透明かな。今年後半に多国間の会議があって、そこで方向性が決まるかもしれないとか…。
2015-07-02 00:26:34世界時(UT1)とDUT1
協定世界時はうるう秒調整のおかげで、世界時(UT1)とのずれはいつでも1秒未満と考えて大丈夫。UT1は極運動を補正した世界時で、VLBIなどの観測から分かるんだけど、協定世界時との差(UT1 − UTC)の予測値はDUT1として公表されてるんだ。
2015-07-02 22:45:16DUT1の値→jjy.nict.go.jp/QandA/data/dut… きのうのうるう秒挿入で協定世界時が1秒遅れて、DUT1の値は+0.3秒になった。UT1(予測値)を求めたいときには、協定世界時にDUT1の値を足せばいいね!
2015-07-02 22:48:18念のため、日本標準時JSTは協定世界時を9時間早めたもの。日本標準時から協定世界時を求めるには9時間マイナスするよ。これは一般常識の範囲内だと思うけど…。
2015-07-02 22:51:25理科年表、情報通信研究機構サイト内「日本標準時をつくる」などを参考にしました。
天文学の時刻系は後編へ…。
ここからは後日追加した内容です。宇宙物理たんとエレキたんの標準時に関するやりとりと、「中央標準時」の呼び方について。