日本の音階とか東方Projectの音階とかどうのこうの

白鷺ゆっきーさんのpostのいくつかが興味深かった →複数を個々にふぁぼるのめんどいので自分用にまとめることにした →せっかくなら一連の流れを全体的に網羅したくなった →ツイ廃の4月の投稿を7月にTogetter内機能で遡り発掘するのはムリがあるから一旦公式側でfrom&since&until検索かけて全部ふぁぼった →結局ふぁぼ量・ふぁぼ作業増えた 続きを読む
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白鷺ゆっきー @yuki_02010

こうして見ると、陰旋法においては、半音つまり短二度、及び長三度、一箇所だけ長二度という音程の種類を音階中に含み、特に短二度と長三度って関係は、かつての陽旋法や雅楽の呂律に含まれていなかったので特殊であり陰旋法の特徴です。

2015-04-17 00:26:18
白鷺ゆっきー @yuki_02010

ここで陰旋法について一旦まとめときますと、例えば日本の伝統的な箏曲のような音楽や、江戸時代っぽい空気を匂わせる楽曲を作るのであれば、陰旋法が持つ短二度と長三度の音程関係を活かしたメロディを持って来れば非常に効果的であると言えるわけです。

2015-04-17 00:32:02

1.3 全音も、半音も、あるんだよ

白鷺ゆっきー @yuki_02010

ここまでの大雑把なまとめ 日本音楽史上、古めの音楽を意識するなら 長二度と短三度江戸時代以降の日本!って感じの音楽なら 短二度と長三度、 この音程関係が大事。前者は半音がなく後者は半音を含む。そして江戸の半音は雅だとされた模様。

2015-04-17 00:34:14
白鷺ゆっきー @yuki_02010

ここからもうちょっと実践的なお話。

2015-04-17 00:35:02

2. 東方Projectの音階を考える

2.1 あんな音階使おうか、こんな音程使おうか

白鷺ゆっきー @yuki_02010

東方の楽曲は主に短調で、メロディラインはほっとんどニロ抜き短音階がベースと考えられる(別方向からの解釈も可能) とりわけ短調の第二音は例外的に使用しても第六音が使われることはほとんどない。

2015-04-17 00:36:27
白鷺ゆっきー @yuki_02010

第二音は例外的に使用してもよいというニロ抜き短音階のことを、便宜上“ロ抜き短音階”と定義する。 さて、実際にロ抜き短音階でメロディを書いてみても、果たしてそれが本当に東方風になるのか、もしくは日本風なメロディの響きがするのかというと、上手くいかないことがある。

2015-04-17 00:38:11
白鷺ゆっきー @yuki_02010

上手くいかないのには理由があって、それはさっきからしつこく言っている、その音階が持っている特有の“音程”が上手く活かせていないからと言える。ロ抜き短音階はニロ抜きに比べ音の選択肢が広い分少々ハードルが高い面も否めない。

2015-04-17 00:40:23
白鷺ゆっきー @yuki_02010

他に東方から外れて、日本風な音楽なんだけれど、メロディラインで使っている音は七音あり、ヨナ抜きでもニロ抜きでもなんでもなさそう、しかし日本風に聴こえるっていう理論的に見れば一見謎の音楽だってある。

2015-04-17 00:43:37
白鷺ゆっきー @yuki_02010

しかしこういった音楽でも何故日本風に聴こえるのかは、メロディの中でどういう音程が特徴的に魅力的に用いられているかによるのだ。使っている音を見ればオクターブ中の七音全部あったという結果はただのデータの寄せ集めでしかない。

2015-04-17 00:44:45

2.2 具体例

白鷺ゆっきー @yuki_02010

わしゃよくあきやまうに氏の『東方萃夢想』『砕月』のメロディをよく考える。萃夢想版の砕月で説明すると、あの曲はAのメロディとBのメロディがあって、前者はほとんどがニロ抜き短音階、俗楽の陽旋法にも近い響きを持っており、後者はロ抜き短音階の色が強くなる。

2015-04-17 00:48:27

   ZUN曲じゃねーじゃねーか!

白鷺ゆっきー @yuki_02010

ロ抜き短音階をA音から並べてみる。 A-H-C-D-E-G-A 音階の特徴を見てみる。 隣り合う音程は長二度が多く、E-Gは短三度で、この二点は陽旋法っぽい。 H-Cの短二度を含む点は陰旋法っぽいが、短二度とペアになる長三度は音を跳躍させたC-Eしかない。

2015-04-17 00:51:37
白鷺ゆっきー @yuki_02010

(a-mollで記譜) れみ|そらみれみー ってのは完全に陽旋法の音にも陽旋法の音程的特徴にも当てはまりますよね。 次に どれ|しどしそらー ってとこがポイント。

2015-04-17 01:02:15
白鷺ゆっきー @yuki_02010

シドシ ってとこで半音の揺れ、つまり短二度が印象的に使われてます。となるとここは陰旋法的な響きがあると予想出来るのですがなんと、シドシと来て次はシからソなんですわね。ソ-シと来ると長三度で、短二度と長三度ってペアリングが完全に成立しててここはモロ陰旋法的なんです

2015-04-17 01:03:42
白鷺ゆっきー @yuki_02010

シドシソラー の ソ-ラ は長二度でちょっと例外的なんですがもう今日の我々にとっては普通の自然短音階のごく一部の動きとして捉えられるでしょう。

2015-04-17 01:05:17
白鷺ゆっきー @yuki_02010

れみ|そらみれみーどれ|しどしそらー このたった二小節間、最初の一小節目は陽旋法的で、二小節目は陰旋法的と解釈出来ます。つまり転調ですよね。 西洋音楽理論で見ればずーっとただのイ短調と分析するが、日本音楽的に見ると、たった二小節の間で転調が起きていると考えられます。

2015-04-17 01:07:26

2.3 つまり日本っぽい音楽って?

白鷺ゆっきー @yuki_02010

“日本音楽は音楽の表現の幅を広げるため(=使える音数を一時的に増やすため)に、短い時間の中で何度も転調をする”ということを坊田寿真氏は『日本旋律と和声』で述べているのだけれど、東方の楽曲ではそれがもっとシンプルな形で理解が出来る。

2015-04-17 01:08:46
白鷺ゆっきー @yuki_02010

たった二小節の間で転調が起きている、しかも片方は陽旋法片方は陰旋法、短い時間の中で陰陽が近く対になってはいるものの、どちらも共通するのは日本音楽に馴染みの深い音階であるということで、どちらも日本的であることには間違いない。このように折衷すると2つの要素で日本を音楽的に表現できる

2015-04-17 01:11:51

   後日本人談:「転調っていうより転旋って表現すべきだったな。」

3(翌日). 日本音楽と西洋音楽