戦車のお話その1

戦車の誕生と発展の自分的復習です。いろいろ偏ってたり間違ってたりするかもしれませんので、ご指摘いただけると幸いです。 とりあえず、第一次大戦から第二次大戦フランス戦まで、ということで。
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多足 @tasoku04

この頃海軍のお話ばっかりしてるので、いっちょ陸軍のお話をしてみようかと。自分、もともと陸から軍オタに入ってるので。 ということで戦車のお話。戦車がどのように誕生し、発展し、今後どうなるか、という話。偏り、誤りもあるだろうからご指摘いただければ幸いです。

2015-07-04 23:35:13
多足 @tasoku04

まず最初に、戦車は何のために誕生したのか? という点。 簡単に行ってしまえば歩兵の支援です。陸戦の主役はあくまでも歩兵。歩兵がいないと陣地の占領、維持ができないのです。「歩兵だけ」では出来ないことが多いですが、それはどの兵器にも言えることですので。

2015-07-04 23:35:26
多足 @tasoku04

20世紀初頭、極東で起こった日露戦争。ここで機関銃という兵器が大暴れします。旅順要塞外縁の固定陣地に据え付けられたロシア軍のマキシム重機関銃が、日本軍歩兵に大損害を与えます。ボルトアクションの単発小銃では止めきれない歩兵突撃を、機関銃なら止めきるわけです。

2015-07-04 23:35:57
多足 @tasoku04

機関銃だけではなく、鉄条網が大きな役割を果たします。鉄条網によって突撃ルートを制限され、特定の場所に誘導された歩兵が、機関銃によって殲滅されるわけです。これまでの密集陣形だとえらいことになるわけです。

2015-07-04 23:36:14
多足 @tasoku04

機関銃と鉄条網、そして機関銃から身を護る塹壕。この組み合わせが20世紀の初頭に、極東で生まれました。しかし、欧州各国の陸軍はこのことをあまり注目しませんでした。あくまでも極東の田舎軍隊の話。ウチらとは違うよ、と。

2015-07-04 23:37:00
多足 @tasoku04

伝統ある欧州各国の士気をもってすれば機関銃陣地なんてなんてことない、と。その誤りのツケは、15年後の戦争で前線の兵士たちの大出血で払われることになります。

2015-07-04 23:37:25
多足 @tasoku04

1914年に始まった第一次世界大戦。その初期の幾つかの戦いで、ドイツ軍がベルギー軍の機関銃の前に大損害を出します。そしてその様を見てたハズのイギリス軍、フランス軍も、ソンムの戦いでドイツ軍の機関銃により大損害を受けます。自分の身に起きないと教訓って得られないのね。

2015-07-04 23:38:10
多足 @tasoku04

機関銃陣地への歩兵突撃は割に合わない、ということが周知されていき、その結果お互い身を護るための塹壕がどんどん掘られます。塹壕は延々と伸びていき、ドイツ-フランス、ベルギー国境を埋め尽くします。土木工事は陸軍のお仕事の要。

2015-07-04 23:38:32
多足 @tasoku04

味方の塹壕と敵の塹壕の間には、味方の鉄条網-野砲弾の着弾跡だらけの荒地-敵の鉄条網、という幅3~400mほどの帯状の無人地帯が生まれます。双方、相手の陣地を奪うためには歩兵がこの無人地帯を突破しないといけないのですが… 機関銃に阻まれるわけです。

2015-07-04 23:39:00
多足 @tasoku04

実際のところ、鉄条網だけだったら切断されて終わりだし、機関銃だけでも突撃の阻止は難しいのです。だがこれが組み合わさったとき、攻撃側の歩兵は死ぬ。 野砲による砲撃も、塹壕に対して大きな効果が得られないのです。直接狙えないし、曲がりくねってるからね。

2015-07-04 23:39:30
多足 @tasoku04

鉄条網を踏み越え、機関銃弾をものともせず、敵の塹壕を制圧する兵器が欲しい。そこで生まれたのが戦車です。世界初の戦車、英軍のマークⅠ菱形戦車が戦場に登場しました。 pic.twitter.com/tM9QotyJTY

2015-07-04 23:40:09
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多足 @tasoku04

鉄条網を踏みつぶすキャタピラ、機関銃弾では貫通できない鋼鉄の装甲、敵陣地を破壊する砲と機銃。これらを併せ持つ兵器、それが戦車です。 「キャタピラ」ってのはメーカーの登録商標でして、正式には「無限軌道」「覆帯」って言うんですが、めんどいんでキャタピラで。それが一番通じるだろうからね

2015-07-04 23:40:38
多足 @tasoku04

マークⅠ菱形戦車は見事ドイツ軍陣地を突破し、戦線に穴をあけることに成功しました。が、初陣の戦果はここまで。ショックから立ち直ったドイツ軍予備戦力がすぐに穴埋めをし、再び戦場は膠着状態になります。

2015-07-04 23:40:54
多足 @tasoku04

その後、改良型のマークⅣ菱形戦車が量産され、戦術も確立していき、塹壕陣地を突破できる兵器として戦車の有効性が証明されていきました。 ただし、戦車が塹壕陣地を突破する度、予備兵力がそこを埋めるので戦況への影響は限定的です。決定打にはならんかったの。

2015-07-04 23:41:15
多足 @tasoku04

あ、マークⅠの話でいきなりマークⅣの画像貼ってもーたw まあ外見はほぼ同じです。 ってかこのレベルの絵だとホント同じですw

2015-07-04 23:42:01
多足 @tasoku04

せっかく戦線を突破しても、マークⅣ菱形戦車の速度、航続距離だとすぐに止まってしまう。これじゃ意味が無いということでより高速の戦車が開発されます。イギリスの革新的な新戦車、マークAホイペットの登場です。その最高速度は従来の戦車の約3倍! pic.twitter.com/AR4zRMe3zm

2015-07-04 23:42:39
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多足 @tasoku04

で、実際どんだけ速かったかって? 最高速度13.4km/hだよ! 歩兵と一緒に攻撃するんだからさ、歩兵よりあんまし速くても意味ないやん? ってかこの頃のエンジンの限界です。

2015-07-04 23:42:55
多足 @tasoku04

ホイペットはドイツ軍戦線を突破後、後背陣地まで突撃しドイツ軍の輸送部隊などの後方部隊を脅かし… 燃料切れを起こし擱座していきました。 やっぱ歩兵が着いてきてくれないと戦果拡大できても維持ができないの。

2015-07-04 23:43:31
多足 @tasoku04

第一次世界大戦での戦車の活躍はこんな具合でして、「塹壕を突破できるステキ兵器」としての存在感は確立されましたが、それ以上には成りきれてなかった感じです。 ここで第一次世界大戦の戦車をもう二つ紹介。フランス製のルノーFT17と、ドイツ製のA7Vです。

2015-07-04 23:44:11
多足 @tasoku04

まずA7Vですが、これ、18人乗りだそうです。乗組員だけで野球の対戦ができます。なんでこんなに乗ってるかというと、機関銃が多いからです。6丁。機関銃1丁につき2人乗ってると考えれば目安かと。 pic.twitter.com/GgRcpV561i

2015-07-04 23:44:29
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多足 @tasoku04

戦車の役割の一つが、移動式の機関銃陣地だってことを示す例ですね。因みに一次大戦でドイツが実戦配備した戦車はこれだけです。後の戦車王国、スタートダッシュには乗り遅れてますね。

2015-07-04 23:44:49
多足 @tasoku04

で、フランス戦車ルノーFT17。これは戦車開発史で必ず名の出る戦車の一つです。これまでの戦車は一つの部屋の中に操縦機器、火器、エンジンが収まっていました。FT17は、乗員とエンジンを壁で隔てた構造になっています。 pic.twitter.com/A3W0pvtpRy

2015-07-04 23:45:16
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多足 @tasoku04

さらに火砲を搭載したブロックを車体上部に設置。このブロックは360°旋回できます。「砲塔」の誕生です。このルノーFT17こそが、近代的な戦車の始祖と言えます。フランスの技術は侮れない。

2015-07-04 23:45:28
多足 @tasoku04

ホイペットやA7V見てるとどっちが前かわからなくてアレですが、FT17ならそれが判り易くて安心ですね!w

2015-07-04 23:46:07
多足 @tasoku04

さて、第一次大戦の戦車の役割は、塹壕地帯の突破です。これには成功しましたが、問題も見えてきました。戦車が突破しても、歩兵がついてきてくれないと孤立して撃破されてしまう、という点です。陣地の占領、戦果の確保には歩兵が必須なのです。結局、陸戦の主役は歩兵というわけですね。

2015-07-04 23:46:22