小説【パラレル☆ナイトメア】

小山慶一郎メイン。 ステージから落ちて意識を失って―。 目覚めたのは、車が空を飛ぶ平行世界≪パラレルワールド≫?! 続きを読む
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はんな□♡▽○妄想投下気味 @hanna_secret

#平行悪夢 075/172 「…リエ、ボートの操縦上手くなったな。」 車内の気まずい空気の中、沈黙を破ったのは、 まっすーの意外な言葉だった。 「え?」 「ギャングの集団、上手に避けて―。」 「…?」 「ま、最終的にビルに突っ込むのは危険だけど。」 「…兄貴、見てたの?」

2015-07-10 23:35:03
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#平行悪夢 076/172 ワゴンが急降下する。 「…こんな奴と一緒にいると、お前まで駄目になる。」 「そんなことっ…」 「だから、さっさとこいつ棄てなきゃ、って―」 ワゴンがゆっくり着地する。 乱暴に開かれるドア―そこにいたのは、 あの黒尽くめの男たちだった。

2015-07-10 23:35:10
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#平行悪夢 077/172 「…降りろ。」 「兄貴っ…」 俺は身を乗り出したリエを制止して、 黙って車を降りた。 一番前の男が、レーザー銃を構える。 「慶ちゃんっ!」 ワゴンから飛び降りて来たリエを、もう一度制止。 「来んな…こいつらの目的は、俺なんでしょ?」

2015-07-11 10:08:48
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#平行悪夢 078/172 どうする?どうすればいい? どうやったら、俺は戻れる? どうしたら俺は、この世界の俺とリエを、幸せにできる―? まっすーがリエを残して車を降りる。 「どっか奥に連れてってから殺れ。  …リエに汚いもの見せたくない。」 男の1人が俺の腕を掴む。

2015-07-11 10:08:59
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#平行悪夢 079/172 男は俺を目の前の倉庫に引き摺り込むと、 乱暴に地面に突き倒した。 「…っ!」 ぶつけた腕を押さえて身体を起こすと、 額にレーザー銃の先を突き付けられた。 まっすーは、倉庫の入り口の柱に寄り掛かり、 鋭い視線で俺を見る。 …どうすれば、いい?

2015-07-11 10:09:07
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#平行悪夢 080/172 ―その時。 パァァン! 乾いた爆発音と同時に、男たちをなぎ倒すように、 1台のボートが倉庫に飛び込んで来た。 「慶ちゃん、乗って!!」 彼は銀色の髪を風に揺らしながら、ゴーグルを上げる。 「手越!!」 「ほら、早く!」 手越が手を伸ばす。

2015-07-11 11:56:59
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#平行悪夢 081/172 それでも男の1人が、 俺の服の裾を掴もうと手を伸ばす。 パァン! 爆音の正体は、手越が手にしていた空気銃。 「リエちゃんと一緒に逃げる。いい?」 「もちろん!!」 リエは既にワゴン車から抜け出して、 自分のボートのエンジンを掛けていた。

2015-07-11 11:57:06
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#平行悪夢 082/172 目下でまっすーが慌ててワゴン車に乗り込み、 男たちも停めてあったボートのエンジンを掛ける。 「さ、本気出して逃げるから、  振り落とされないよーにね♡」 手越は俺にそう言いながら、並走するリエに目配せする。 リエは小さく親指を立てて応えた。

2015-07-11 11:57:14
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#平行悪夢 083/172 と、リエは急激に急降下して、 それと逆に、手越と俺のボートは急上昇する。 「別々に逃げて撒く作戦、オーケイ?♡」 上機嫌に手越はそう叫ぶと、 ふわっと90度角度を変える。 下の方で、リエが逆の方に飛んで行くのが見えた。 黒い集団もそれに続く。

2015-07-11 11:57:21
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#平行悪夢 084/172 キュィーン… またあの嫌な電子音が聞こえる。 「うぉっと…」 手越はそれを器用に避けながら、 「慶ちゃん、これっ!」 俺に空気銃を差し出した。 「へぇ?!」 「撃って撃って!平気、死なない銃だから☆」 俺は動揺しながらも、銃を受け取る。

2015-07-11 17:14:51
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#平行悪夢 085/172 こんなの、ドラマで持ったことしか… 「単純だよ、引き金引くだけ!  弾も充分入ってる!」 俺は意を決して、後を振り向き手を伸ばす。 パァン!パァン!! 弾はレーザー銃を構えていた男の手に命中し、 小さく弾んだ男の銃は、スモッグの中に消えた。

2015-07-11 17:14:58
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#平行悪夢 086/172 「やるじゃん!☆」 ボートは楼閣を避けながら、上下左右に大きく揺れた。 俺はその上でバランスを取りながら、 夢中で男たちに反撃を続ける。 やがて追っ手の数は減り、静かになった。 「…ね、何で分かったの?」 「へ?」 「俺達が追われてる、って。」

2015-07-11 17:15:05
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#平行悪夢 087/172 「だって変だと思ったんだよ。  双眼鏡で見てたらさ、5分も飛ばないうちに、  自警団の車に回収されてたから。」 追っ手のいない静かなフライト。 「逆に…どうして俺の苗字知ってたの?」 「えっと…信じて、くれる?」 俺は今までの経緯を説明した。

2015-07-11 17:15:14
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#平行悪夢 088/172 「いいな!俺、その世界の俺に会いたい!」 手越は興奮気味に言う。 「だって、何万人に俺の歌聴いて貰えるんでしょ?!  何万人を幸せに出来るんだよ?!すっげー!!」 やっぱ、手越は手越で…安心した。 「戻ったら、その世界の俺に宜しく伝えてね!」

2015-07-11 19:47:10
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#平行悪夢 089/172 目下には、真っ黒な海が広がっている。 「さ、リエちゃんとの待ち合わせはここ☆」 ボートはゆっくりと、海辺の灯台の下に着地した。 「遅い!どこでデートしてたのっ?」 リエが灯台の壁に寄り掛かり、頬を膨らます。 「ごめーん、許してリエちゃん♡」

2015-07-11 19:47:17
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#平行悪夢 090/172 ツナギにゴーグル姿の手越は、郭にいた時とは別人。 それでも微笑むと、不思議な色気が漂う。 「機嫌直して?子猫ちゃん♡」 手越が、ふわり、リエの身体に腕を回す。 「ちょ、ちょっ!!」 「え?」 「お前離れろバカっ!!」 一応…俺のフィアンセっ!

2015-07-11 19:47:23
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#平行悪夢 091/172 「もー、慶ちゃんって嫉妬しぃだね。」 「普通止めるよ!人の女に勝手にハグしてっ!」 「知ってるよ、ボートで俺が彼女と目配せして、  それで通じてる感じにも、嫉妬したでしょ?」 「や、それは…」 ん…図星だよっ。 手越は俺とリエを交互に見て笑った。

2015-07-11 19:47:31
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#平行悪夢 092/172 「大丈夫、両思いだから♡」 「え///」 リエの頬が赤くなる。 「そんなラブラブな2人を邪魔するのは、  粋じゃないから、俺は行く☆」 ボートのエンジンを掛ける。 「ふふっ、お幸せに♡」 手越はウインクすると、一気に上昇して空に消えた。

2015-07-11 19:47:39
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#平行悪夢 093/172 暗い空と、波音。 ちょっと気まずい沈黙。 「ちょっと…休む?」 「え?」 「結構な距離逃げたでしょ?  俺も慣れない銃なんて扱って、疲れたし。」 灯台のドアを開けると、 小さなキッチンとベッドがあった。 リエが、またキャラメルを差し出す。

2015-07-11 20:51:12
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#平行悪夢 094/172 「ありがと。」 とろける甘さが舌の上に広がる。 「…早く戻んなきゃね。」 俺から沈黙を破る。 「だって…リエちゃんが好きな小山慶一郎を返さないと。」 「…」 「…で、ちゃんと告白してさ、本当のフィアンセになんなよ。」 「えっ?!」

2015-07-11 20:51:20
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#平行悪夢 095/172 俺はふふっと笑う。 「分かるよそんなの。」 本当はただの幼馴染で、一線を越えられない。 俺が混乱してるのをいいことに、 フィアンセだってことにした。 「…ごめん。」 「謝んないで?俺は…可愛いと思うよ、リエのこと。」 俯いたリエの髪を撫でる。

2015-07-11 20:51:37
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#平行悪夢 096/172 「俺のこと、いっぱい助けてくれてありがとう。」 リエは俯いたまま。 「俺、早く元の世界に戻ってさ…お前にちゃんと、  この世界の小山慶一郎を、返してあげるから。」 リエの頬を、小さな滴が濡らした。 「いっぱい怖い目に遭わせて、ごめん。」

2015-07-11 20:51:48
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#平行悪夢 097/172 「嫌な目にも遭わせて、ごめんね?」 俺はリエの頭を抱き寄せる。 「まっすーもさ、リエのこと心配なんだよ。  愛されてるんだよ、リエは…だから、  きっとこの世界の俺も、リエのことが好きだよ?」 だって、こんな短時間だけど、 俺も、リエのこと―。

2015-07-11 20:51:56
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#平行悪夢 098/172 「…よし!」 「?!」 リエが俺の腕を解いて、立ち上がる。 「じゃ、早く行こう!」 「えっ」 「早く返してくれるんでしょ?元の慶ちゃん!」 「…うん。」 俺も立ち上がる。 「ここから研究所までどのくらい?」 「約30秒。」 「ん…えぇっ?!」

2015-07-12 10:33:25
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#平行悪夢 099/172 「30秒?!」 「うん…あれ。」 リエは海の向こう、小さな島を指さす。 「その科学者さん、人に会うのが好きじゃないから、  あの島を研究所として使ってる、って。」 「へぇ…」 ん? 人に会うのが苦手な…秀才? リエがボートのエンジンを掛けた。

2015-07-12 10:33:34
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