新聞屋まとめ1

主にアダムとリズの会話。「ハロウィン砒素騒動」~「立ちんぼの少女との遭遇」 ※青猫堂様・黒火薬様との会話を含んでいないため不自然な節が多々あります。※誤字が酷いです。
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新聞屋 @gossip_n_p

@gossip_n_p 「いいか?俺はこんなふざけた物を着けたまま外に出たことは無い。にも関わらず俺宛てに送ってくるってことは……"お前を見ているぞ"ってメッセージだ」 「……なるほど」 (言われてみればそうだ。確かに男は新聞屋の中でのみファンシーなピンを着けている。)

2014-12-06 21:30:43
新聞屋 @gossip_n_p

@gossip_n_p 「しかし、どうやって知ったんだ?……まさか、お前か?」 「ち!が!い!ま!す!私はそんな、ヤから始まる自由業の人みたいな真似はしません!」 (それもそうだ、等と言いながら未だ不審そうな顔のまま、男は手に持っていた髪留めを前髪に取り付けた。)

2014-12-06 21:35:19
新聞屋 @gossip_n_p

@gossip_n_p 「結局着けるんですか。……!何ですかね?この音、」 (大して真剣に捉えていないであろう男を白い目で見た女は、地鳴りのように大きな音を聞いた) 「……さあな。今日はもう、外に出るなよ」 (当然だが、前髪にウサギが笑っている男が何を言っても締まらない。)

2014-12-06 21:40:34

(ただの)会話

新聞屋 @gossip_n_p

「う、わ!どうしたんですかその顔!前より酷くなってますよ!」 (女は目を丸くして、顔に痣の出来た男を迎え入れた。男はうるさい、と罵倒の言葉を煙たそうに払い、硬い椅子に腰掛ける。) 「ある程度人通りのある場所でも危険は山ほどあった。お前、もう外に出ないほうが良いかもな」

2014-12-08 23:16:07
新聞屋 @gossip_n_p

@gossip_n_p 「何を馬鹿なことを。私は新聞記者ですよ」 (記者、を強調しつつ救急箱の中から消毒液を取り出し、そのまま男の頰に吹きかける) 「当たり屋に殴られるぞ、鳩尾とか………って痛ぇ、馬鹿、そんな雑な消毒の仕方があるか!」

2014-12-08 23:21:03
新聞屋 @gossip_n_p

@gossip_n_p 「文句があるならご自分でどうぞ、」 「言われなくてもそのつもりだ、」 (いつにも増して反抗的な女を睨み付けると、女は小さく丸めた脱脂綿を男に渡した) 「これでも一応、心配しましたから」 (取って付けたような心配だな、と思いつつ男は溜息を吐いた。)

2014-12-08 23:27:10

苛立ち

新聞屋 @gossip_n_p

(男はぱちぱちと瞬きを繰り返す。そうする度に、ただでさえ少ない眼球の水分が減って不快感は顕著になるのに、男はしきりに瞬きを繰り返すだけだ。目の前の原稿も肩の凝りも全て消えて、制御出来ない瞬きが鳴らないはずの音を立てているとしか思えなくなってくる。どうしようもなく苦しい。)

2014-12-15 23:24:51
新聞屋 @gossip_n_p

(まただ。疲れていると時折この感覚に襲われる。瞬きなんて自然の現象を意識してしまう。呑気に欠伸を漏らす女に、俺の目の前から消えてくれお前なんか嫌いだ、とたった今生まれた感情を考えなしにぶつけてしまいたくなる。我が儘だ。間違ってもそんなことを言わないよう、男は固く口を結んだ。)

2014-12-15 23:30:23
新聞屋 @gossip_n_p

(ありったけの言葉で女を罵ったなら、どんな顔を見せるのだろうか。男は自棄になっている。女が「出掛けてきます」と言ったならば男は間違いなく「俺も」と言い、すぐに「行かない」と言う。女の注目を浴びてお互いに苛立ちが募り、女が一人で出て行ったならば、そこは完全に空虚な空間となるだろう)

2014-12-15 23:35:39
新聞屋 @gossip_n_p

(子供の頃にもこういった我が儘を言ったものだ。と男は己を落ち着かせるために煙草を吸おうと引き出しを開ける。……そういえば禁煙したんだっけ。ああ畜生、苛々する。一体どこの誰のせいで俺は煙草を止め、て。女の顔が目に入ったが、何を言うわけでもなかったし何を考えるわけでもなかった。)

2014-12-15 23:39:41

爆弾低気圧

新聞屋 @gossip_n_p

【爆弾低気圧 外出避けて】 上空の低気圧は948hPaまでの発達が予想され、昨夜から明日にかけて天候が荒れている。 不要な外出は避けたほうが無難だ。

2014-12-17 18:04:28
新聞屋 @gossip_n_p

@gossip_n_p 「これを届けに外出するのは私たちなんですけどね」 「しっかり着込めよ、新聞屋が行き倒れなんて記事にもならないからな」

2014-12-17 18:06:44

帰らない話

新聞屋 @gossip_n_p

(女が雪だるまになって帰ってくると、郵便受けに女宛の手紙が入っていた。差出人は書いていないが、封蝋に下手くそなブドウの絵が書いてあることから故郷の両親からのものであろう) 「それで、何て?」 (男が内容を話すよう催促するが、女は口を閉ざしたままだ)

2014-12-17 21:18:57
新聞屋 @gossip_n_p

「クリスマスくらい戻って来い、って。それだけですよ」 「戻らないのか?」 (女は男を一度も見ずに素っ気なく答えると、手紙を封筒にしまい込んだ。男が尋ねても、女は「ええ」と頷くだけだ。)

2014-12-17 21:26:59
新聞屋 @gossip_n_p

(そそくさと逃げるように女が印刷に向かった後、男は暫く考えた。手紙が来ると言うことは、今までの女にとって、クリスマスは家族で心静かに過ごすものだったのだろう。休みなく働いている女……いや、後輩にプレゼントとして休暇をやるのはどうか。良いアイディアだ、とひとり頷いた。)

2014-12-17 21:33:58
新聞屋 @gossip_n_p

(男は取材のメモと睨めっこをしつつ、女が居ない場合の日程を考えていた。そうしてようやく目処が立ち、部屋に戻ってきたばかりの女の顔を見る) 「リズ、24日は帰れ。仕事は俺一人で何とかするから、心配するな」 (女はいっぱいに目を見開き、次にきつく下唇を噛んだ)

2014-12-17 21:39:45
新聞屋 @gossip_n_p

「リズは、……私は、もう親に合わせる顔なんてありませんよ」 (一人称に女の名前が出てきたのは、昔の癖だ。素のままの自己が出てきてしまう程に、女はゆっくりと、ひとつひとつ言葉を吐く。その顔は強張り、いつもの豊かな表情はない。男にはその言葉が呪詛のように聞こえた。)

2014-12-17 21:46:06
新聞屋 @gossip_n_p

「先輩。何とかするから、って何ですか?」 「だから、俺がお前の代わりに、」 「私が居なくても同じってことですか?」 (女の目には明らかに怒りの色が浮かんでおり、矢継ぎ早に噛み付く。詰め寄られた男は、そこでようやく女の表情に焦りが混じっていることに気が付いた。)

2014-12-17 21:53:35
新聞屋 @gossip_n_p

「そうじゃない。ただ、こんな所でクリスマスを過ごすよりは、」 「私は!」 (男の言葉を遮って、女が叫ぶ。この女だけではない、ヒステリーの気がある女性達が切羽詰まった時に絞り出す甲高い声だった。今にも泣き出すのではないかと思うような女の様子に、男は呆気に取られていた。)

2014-12-17 21:58:43
新聞屋 @gossip_n_p

「私は、私にはもう、ここしかないんです。他に選択肢が無いんです。そんなの先輩も、わかってるじゃないですか!なのに、よくも、そんな酷いことを言えますね!」 (堰を切ったようにぼろぼろと涙が溢れる女の瞳を、黙って見ているしかなかった。その口は心からの感情を思い切り吐き出した。)

2014-12-17 22:03:59
新聞屋 @gossip_n_p

「俺は、」 (男はその瞬間、黙って見ていた女の感情の変化とその言葉の意味に気が付き、帰郷を進めた己を恥じた。女性としての尊厳を踏み躙られた女に、お前は不必要だと告げて家族にそれを報告しろと言ったようなものだ。さっと全身から血の気が引いた男は、とうとう二の句が継げなかった。)

2014-12-17 22:09:17
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