『シャム双子の謎』と後期クイーン的問題
人工的手掛かりと自然的手掛かりとの対立軸から『シャム双子の謎』に込められたクイーンの意図を分析しました
- quantumspin
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琳
@quantumspin
法月以降、『ギリシア棺の謎』と『シャム双子の謎』を中心にした、いわゆる後期クイーン的問題をめぐる議論では、数学における〝ゲーデルの不完全性定理〟が中心的役割を果たしてきた。それは確かに現代思想との連関を鮮明にしミステリ評論の地平を切り開いたといえる、画期的な進歩である事は疑いない
2015-07-11 10:36:23
琳
@quantumspin
しかし、このような法月の画期的成果にもかかわらず、一連のクイーン作品に対しゲーデルの不完全性定理を当てはめて考察する事は、それが例え比喩であっても、いささか不自然な当てはめであると言わざるを得ない。法月の議論は柄谷のそれをクイーン作品に、半ば強引に当てはめたように見えるからだ。
2015-07-11 10:43:10
琳
@quantumspin
手掛かりが無矛盾であるという事実は、(その事実が本当である限り)その手掛かり自身の中では証明できない、という探偵小説のゲーデル的問題は、それ自身重要な問題系を形成する。しかし『ギリシア棺の謎』や『シャム双子の謎』の着想の背景には、法月の期待とは異なる問題系が存在するのではないか。
2015-07-11 19:38:54