死刑廃止論議には文化的な背景があるのかも

死刑について、廃止した国と、しない国、文化的な背景の違いもあるのかな、と。廃止の是非論を離れて考えてみました。
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kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

ちょっと「死刑」について。12月29日の「ビートたけしのガチバトル」での死刑議論は、「被害者家族の心情+殺人犯罪抑止力vs加害者の人権」というあたりに収斂していましたが、では、世界の主流がどうして死刑廃止に傾いているかあたりが論じられていませんでした。

2010-12-31 00:54:11
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

僕のふだん住んでいる豪州は死刑を廃止した国ですが、その根底にあるのは、加害者の人権というようなものよりも、キリスト教的な生死観にあるような気がしています。つまり、被害者の家族の意識が日本とは全く違うんですね。

2010-12-31 00:54:13
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

豪州では、家族の一人が殺された場合、残された家族は、当然事件の解決を望みます。事件の解決とは、事件の真相解明と犯人逮捕です。しかし、家族を殺した犯人に死んでほしいとまでは思わないようです。

2010-12-31 00:54:15
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

豪州の殺人事件遺族の多くに見られる感情は、家族を殺した犯人を殺しても、死んだ家族が帰ってくるわけではないという諦めと、自分たちが誰かの死を願うことに対する罪悪感です。それは、生死は神が決める物で人間が決めるものではないという宗教観と無関係ではなさそうです。

2010-12-31 00:54:17
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

「目には目を、歯には歯を」という言葉が旧約聖書にあるので、キリスト教徒がそういう考え方をするかと思うとさにあらず、それは旧約聖書を信奉するユダヤ教までで、新約聖書以後のキリスト教はその考えを否定しているんですね。しかも、ユダヤ教のイスラエルでも通常犯罪の死刑は廃止しています。

2010-12-31 00:54:19
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

死刑が殺人犯罪を減らせるかどうかは、微妙な問題だと思います。殺意を持つほどのいさかいのさなかに「怪我はさせてもいいが、死刑になるのはいやだから、殺すのだけは思いとどまる」というような余裕があるかどうか。多くは、殺すつもりはなかったのに気がついたら…というようなことじゃないかと。

2010-12-31 00:54:20
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

そもそも豪州では、死刑が殺人犯罪抑止力になっているかどうかという議論はあまり見かけません。おそらく、死刑のあるなしより、武器所有への強い制限とか、富の再分配とをうまくやるとか、揉め事の対応を強化するとか、別の方法で現実的に殺人犯罪は減らせると考えているんだろうと思います。

2010-12-31 00:54:22
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

豪州のような国で死刑廃止が簡単だったのは、日本の死刑維持論の中心になっている「被害者家族の心情」と「殺人犯罪抑止力」のふたつが、あまり問題にならなかったためかもしれません。逆に「人権」が一種の「正義」と認識されているため、死刑は単に「人権問題」という側面しかありません。

2010-12-31 00:54:24
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

死刑問題が人権問題に過ぎないという視点に立つと、豪州のような「人権」が「正義」であるような国から見れば、死刑を維持している国は野蛮な人権無視の国ということになります。中国は当然そうだとしても、豪州人にはアメリカや日本のような文明国で死刑が維持されているのが不思議でしょうがない。

2010-12-31 00:54:25
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

まあ、日本は、キリスト教国じゃないからしょうがないわけですが。では、アメリカは……? 僕の知り合いの豪州人は、あれはキリスト教じゃなくてカウボーイ教の国だからと。

2010-12-31 00:54:29