禁忌や適応の判断根拠を得る問診は診察の一種であり、医行為である。
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生理上危険を生ずるおそれのある断食療法の日数の判断根拠を得る問診は診察の一種であり、医行為である。 そんな裁判の解説を。
2015-07-20 00:00:18最高裁第一小法廷決定 昭和48年(あ)85号 昭和48年9月27日 courts.go.jp/app/hanrei_jp/… 東京高裁判決 昭和47年(う)1260号 昭和47年12月6日 東京簡裁判決 昭和45年(ろ)665号 昭和47年4月19日 最高裁決定文はウェブで。
2015-07-20 00:00:54東京簡易裁判所の判決
第一 医師でない被告人はM(事務員)と共謀の上、断食道場において、7名の者に対し、診察(問診)、下剤ミルマグの投与などの診療行為を行った。 第二 医薬品販売業許可などが無いにもかかわらず、道場において12名の者に対し、下剤ミルマグ合計14瓶を一瓶あたり200円で販売した。
2015-07-20 00:02:24他5名に対する診療行為、医業については証拠が十分でないので無罪。 結論としては簡裁では医師法違反、薬事法違反で有罪です。
2015-07-20 00:02:41控訴棄却、上告棄却
そんなわけで被告人は東京高裁に控訴。 そして控訴棄却され、最高裁に上告。 またも棄却されて有罪確定。 この事件で最高裁、東京高裁は東京簡裁の判決を支持しているわけです。
2015-07-20 00:03:14最高裁の決定文は読んでも事実関係がわかりにくいので、東京高裁の判決文を見ながら解説をする。 判決文はまとめに手打ちのを載せるので、先にそちらを読みたい方はどうぞ。
2015-07-20 00:03:32東京高裁の判決文は一番最後です。
この裁判、医師法違反と薬事法違反に問われている裁判だが、薬事法は私にはあまり関わりがない(知識がない)ので流します。
2015-07-20 00:03:50被告人は入寮者に対し断食道場への入寮目的等を尋ね、これによって入寮日数を取り決めたにとどまり、これ以外に被告人が問診をしたと目さるべき事実がない。 またその事実が問診に当たらないことは明らかである。 #弁護人の主張
2015-07-20 00:04:20医業をなすとは、人の疾病の治療、予防を目的とし、医学の専門的知識を必要とする診断、薬剤の処方、投与または外科的手術を行うことを内容とするいわゆる医行為に従事することを業とすることを意味する。 #裁判所の解釈
2015-07-20 00:04:55現在の医行為の定義
現在は美容整形などもあり、医行為の目的から「人の疾病の治療、予防」は外されている。 現在では「医師が行うのでなければ保健衛生上危害の生じるおそれのある行為」(東京高裁平成6年(う)646号)とされる。 courts.go.jp/app/hanrei_jp/…
2015-07-20 00:05:15なお医師法第17条に関する最高裁判例はこの断食療法以後では ・柔道整復師によるX線撮影及び読影(診断) ・無資格従業員に行わせたコンタクトレンズ処方 ぐらいしか載っていない(第一法規の判例データベース)。 よって問診が医行為であることは否定されてないはず。
2015-07-20 00:05:45入寮者はいずれとも疾病の治療、予防を目的として被告人のもとを訪れた。 被告人もまた入寮者に対し疾病の治療と予防を目的とする断食療法を行わせる前提として、断食道場への入寮目的、入寮当時の症状、病歴等を尋ね、入寮日数、捕食および断食の日数を指示していた事実が認められる。
2015-07-20 00:06:24入寮者の病歴入寮当時の症状等から当該疾病の治療又は予防に要する期間を教示して入寮者の判断に資し、それに従って入寮日数をきめさせていたことがうかがわれる。
2015-07-20 00:06:40被告人が入寮者に対して入寮当時の症状、病歴等を尋ねた行為は、当該相手の求めに応じてそれらの者の疾病の治療、予防を目的として、 本来医学の専門的知識に基づいて認定するのでなければ生理上危険を生ずるおそれのある断食日数等の判断に資するための診察方法というほかないのであって、
2015-07-20 00:07:34これに加えて、被告人は入寮者に対し生理的影響を及ぼす医薬品である下剤ミルマグを投与していることも明らかである。 したがって、被告人の問診、薬剤投与は、前記説示の医行為を業として行ったものというべきである。
2015-07-20 00:08:12