黄昏町(柊)二十一日目

犬笛! 初日/一日目→http://togetter.com/li/849906 前日/二十日目→http://togetter.com/li/861044 翌日/二十二日目→http://togetter.com/li/862748
0
@hiiragi_r_t_d

【二十一日目】 【魂8/力14/探索3】 【異形】複口(力+2、探索+1)、長指(力+1、探索+2)、石肌(火耐性、力+1)、鬼腕(力+5)、竜尾(力+5) #hollytk

2015-08-15 19:31:39
@hiiragi_r_t_d

目を覚ました私は、早速夕焼け空を眺めながら呻く羽目になった。 「あー…肩が…背中が…」 硬く冷たいアスファルトの上で硬化も使わずに寝ていたのだ。当然の結果である。 01 #hollytk

2015-08-15 19:33:01
@hiiragi_r_t_d

「あー、いてててて」 私は肩を揉みほぐしながら、背中と腰を同時にトントンと軽く叩いてほぐす。 …………うん?何か違和感がある。 一つ一つ、確認してみよう。 02 #hollytk

2015-08-15 19:35:03
@hiiragi_r_t_d

まず肩を揉みほぐしているのは右手だ。 指が長くない分、力強く揉むことができる。 次に腰を軽く叩いているのは左手だ。 長い指はウェイトもあるので、軽く振るだけで十分にマッサージできる。 最後に背中をグイグイと押しているコレは……………コレはなんだ? 03 #hollytk

2015-08-15 19:37:02
@hiiragi_r_t_d

私は思わず後ろを振り向く。 しかしそこには誰の姿もなく、校門と荒れ放題の運動場、そして竜によって大きく破壊された校舎だけが夕陽に照らされていた。 私は背中に手を回すと「それ」を掴み、目の前に持ってきた。 04 #hollytk

2015-08-15 19:39:44
@hiiragi_r_t_d

「それ」は明らかに、竜の尾だった。 しかも私の背中、尾てい骨のあたりから生えている。 「え?……………え?」 05 #hollytk

2015-08-15 19:41:03
@hiiragi_r_t_d

何故?何故あの竜の尾が私に生えている? 私はあの竜に殺されていない。 異形は、殺されることで得られるのでは無かったのか? ふらふらと所在なさげに目の前を揺れる尻尾を見ながら、私は昨日あった事を順に思い出していった。 06 #hollytk

2015-08-15 19:43:04
@hiiragi_r_t_d

竜に掴まれて雲の上まで連行され、そのまま急降下、教室に投げ込まれて喰われそうになり、殴って逃げたら尾で縄跳びをさせられ、受け止めたら掴み取られて…… 「よく生きてるな、私……」 しかしここまでの流れで尻尾が生えそうな要素は……いや、一つある。 07 #hollytk

2015-08-15 19:45:02
@hiiragi_r_t_d

竜の尾を受け止めた瞬間、私は反射的に右腕の口で噛み付いた。 そして肉を削ぎ、生き血を飲んだのだ。 「考えられるとすれば、あれくらいか」 古来より竜の生き血には不思議な力があると言うし… 08 #hollytk

2015-08-15 19:47:01
@hiiragi_r_t_d

とりあえず原因が判明したところで、私は尾を観察することにした。 表面はヤモリの尾を思わせる、ビロードのような独特の肌触り。 基本の太さは腕と同じくらいで、先端に近づくにつれて細くなっている。 関節はなく、意思のままにかなり自由に動く。 力は右腕と同等。 09 #hollytk

2015-08-15 19:49:06
@hiiragi_r_t_d

この尾が竜のそれと同じものなら同じ能力、すなわち伸びたり縮んだり、太くなったり細くなったり、傷を治したりする事ができるだろう。 傷を治す……は、あまり試したくはない。 とりあえずは変化させてみよう。 10 #hollytk

2015-08-15 19:51:13
@hiiragi_r_t_d

私は尾に軽く力を込めた。すると尾が急速に成長し、元の三倍程の太さに変化した。長さも三倍程に変化し、私の身長を軽く超えている。 本体である私の大きさの関係か、大きくするのはこれが限界のようだ。 次は限界まで長く伸ばしてみよう。 11 #hollytk

2015-08-15 19:53:07
@hiiragi_r_t_d

しゅるしゅると尾が伸びて、伸びて、伸びて……こちらは元の十倍、15m程はあるだろう。 これだけ伸ばしても自由に動かせるのは非常に便利だ。 ただ、伸びると同時に細くなってしまった。勿論、力も落ちている。 結局、実用に足る長さは平常時の四倍が限界のようだ。 12 #hollytk

2015-08-15 19:55:32
@hiiragi_r_t_d

生えている本体のサイズ差のせいか、オリジナルの竜の尾と比べると色々と劣化しているがかなり強力な異形だ。 しかしそれは、人間との一層の断絶を意味する。 これからは、人間から命を狙われている事をより意識して行動する必要があるだろう。 13 #hollytk

2015-08-15 19:57:21
@hiiragi_r_t_d

さしあたっては、逃げる方法を模索する必要がある。 走って逃げる以外の逃走経路があれば、生存率もグッと上がるはずだ。 やはり鍵となるのは新しく得た竜の尾だろう……… そう思って尾を伸ばしたり縮めたりしていた私は、ある方法を思いついた。 14 #hollytk

2015-08-15 19:59:19
@hiiragi_r_t_d

力を込められる限界、10m程まで伸ばした尾の先端を目に付いた電柱に巻き付ける。 尾がピンと張るように後ろに下がり、狙いを定めた私は、尾を一気に縮める。 15 #hollytk

2015-08-15 20:01:12
@hiiragi_r_t_d

尾の先端はしっかりと電柱に巻き付いていて、そう簡単には離さない。 私より電柱の方が当然重いので…… 私はパチンコで発射される石のように、猛スピードで宙を舞った。 16 #hollytk

2015-08-15 20:03:08
@hiiragi_r_t_d

家々の屋根より高い位置を、私が跳び渡っていく。 電柱の先端に次々と尾を巻き付け、ヒョイヒョイと飛ぶのはとても気持ちがいい。 電柱が無い場所では、家の壁に尾の先端を突き立てることで同じ事ができそうだ。 17 #hollytk

2015-08-15 20:05:09
@hiiragi_r_t_d

「おや………?」 練習がてら、気の向くままに跳んでいた私は、ある工場の上で立ち止まった。 工場の隣には広いゴミ置き場がある。 このゴミ置き場を、私は知っている。 不思議な笛を拾った、あのゴミ置き場だ。 私はガラクタの山の上に降り立った。 18 #hollytk

2015-08-15 20:07:27
@hiiragi_r_t_d

あの笛はあの後色々な事があって失くしてしまったが、同じものがまだ捨てられているかもしれない。 私は両手と尾を使って器用にガラクタの山を解体し始めた。 19 #hollytk

2015-08-15 20:09:07
@hiiragi_r_t_d

レコード、ジュークボックス、壊れたオルゴール。 二槽式洗濯機、瓦斯灯、その他用途の分からない器械類……… 「笛は、無いですね…」 デザインが気に入っていただけに残念でならない。 20 #hollytk

2015-08-15 20:11:02
@hiiragi_r_t_d

諦めようかと思ったその時、指先に革紐が触れた。 急いで引っ張り出してみると、それは確かに犬笛だった。………前回のものとは別のブランドのようだが。 今度の犬笛には、翼を広げて飛ぶ竜のような生物の焼印が施されていた。 21 #hollytk

2015-08-15 20:13:13
@hiiragi_r_t_d

焼印は違うが、質感やサイズ、形状はさして変わらない。前回のように不思議な力があるかどうかは、吹いてみない事には分からないが…… とにかく、私はこれを持っていくことにした。 22 #hollytk

2015-08-15 20:15:09
@hiiragi_r_t_d

犬笛を眺めていると、ふとあの時の記憶が蘇った。 颯爽と現れ、謎めいた言葉と笑みを残して去っていった彼女。 「今頃、どうしているのかな…」 そんな事を考えながら、私はゴミ置き場を後にした。 23 #hollytk

2015-08-15 20:17:14
@hiiragi_r_t_d

──────── 【二十一日目】 【生存】 【魂±0/犬笛を入手】 【魂8/力14/探索3】 【異形】複口(力+2、探索+1)、長指(力+1、探索+2)、石肌(火耐性、力+1)、鬼腕(力+5)、竜尾(力+5) 24 #hollytk

2015-08-15 20:19:31