小説家・榊一郎氏、漫画家・松田未来氏の創作講座『読む側の思考の流れ』

物語の話をどう順序立てて組み立てるかについて。 ※関連 漫画家 松田未来@MacchiMC72氏も推薦!  小説家 榊一郎@ichiro_sakaki氏の、創作講座;『読み手のことを意識する』というのは、どういうことをいうのか http://togetter.com/li/87257 続きを読む
187
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

ですので、出来るだけ動きのある、人目をひくシーンを持ってきたほうがいいと思います。そしてそれをめくるとまた大きな見開きなどの広がりのある絵を持ってくるという風にするのが自分のよくやるパターンです。

2011-01-08 23:58:42
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

少し普通と違うやり方をする場合、やはりそれなりの工夫というか仕掛けが必要になります。エピソードの順番を変えたりして、都合の良いところに目立つシーンを持ってくるといった調整ですね。

2011-01-09 00:00:24
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

で、表紙なりアバンで読者の目を惹きつけたら、今度は主人公の見せ場を作ります。男か女か、年頃は、どんな職業について、どんなところに住んでいて、どんな話し方をするのか。このあたりは誰か別のキャラとの会話で進めるのが一番スムーズに読めます。

2011-01-09 00:03:35
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

キャラ自身が語るのは実は結構胡散臭く感じるんです。本人が「自分は〇〇なヤツだ」と自己申告するより友人や家族がその人となりを言う方が的を得ている場合が多いのと同じことです。ですから、ここはグッと押さえてなるべく第三者な気分で主人公を描写しましょう。

2011-01-09 00:06:38
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

その際気をつけたいのは、主人公にやたら願望を語らせないこと。自己申告よりも「特定の行動・言動に対して主人公がどのような対応を取るか」を描いたほうがその人となりが解りやすくなります。

2011-01-09 00:10:49
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

例えば…サッカーボールが大切だというキャラの場合、本人に言わせるよりもそうでない扱いをするキャラを出してそいつにくってかかったほうが大切にしているという気持ちが伝わりやすいです。ついでに言うと、それが本筋のドラマと結びついていると一石二鳥ですね。

2011-01-09 00:13:09
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

「起」で大切なのは、一つのシーンを一つの目的のために使わないこと。ページ数の余裕が無いので出来る限りシーンを無駄にしない使い方が重要になります。特に読み切りでは大切なところです。登校シーンや食事シーンが導入に使われるのは、それをするのに都合がいいからなんですね。

2011-01-09 00:17:39
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

ジブリアニメも導入部のお手本として分かりやすいですね。「紅の豚」でも、冒頭の5分ぐらいで「主人公は豚」「一人暮らし」「賞金稼ぎ」「飛行艇乗り」「自信家」みたいな情報が分かり、なおかつ発進→離水というアクションが楽しめます。

2011-01-09 00:25:38
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

さて、そこまで苦労して人となりを語ったあとに、やっと主人公の半径5メートル以上に視界を拡げることが許されます。主人公の置かれている状況・現状・世界観を語るということですね。コレも主人公のことを読者のほうが「大体わかった」と納得できたから次のステップに進めるわけです。

2011-01-09 00:34:00
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

主人公のことが全然理解出来ない場合、大変なんですよ(^^; その場合、二つのやり方が考えられます。一つはツッコミ役というか常識をわきまえたキャラをそばに置いておくこと。バディ(コンビ)物ではよくありますね。もうひとつはシチュエーションを緊迫させてそんな事考える余裕を無くす方法。

2011-01-09 00:37:56
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

だれにでも分かる「高いところから落っこちそう」みたいなシチュエーションで引っ張るという手もあります。そうやって少しづつ主人公を理解させるわけですが、その場合もやはり分かりやすい「なにか守らなければいけない対象」などを出してその状況を納得させる工夫は必要でしょう。

2011-01-09 00:40:01
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

なんにせよ描き手が気にするべきは「読者の納得」なんです。それがないとなかなか次をたぐる気になれません。読み切りや新連載ではそれは致命的です。いわゆる二次創作から入った人がオリジナルで苦しむのも似たような理由です。

2011-01-09 00:45:36
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

もう一つ気をつけるとしたら、できるだけまずは「絵」で語り、台詞はその補助という意識でしょうか。どうしても説明しないと理解してもらえるかどうか不安になるものですが、初見の相手が他人を判断するときにまず見た目を気にするように、まず絵で説明しようとすることが大切だと思います。

2011-01-09 00:49:11
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

会話で話を進めると書いたのもそれと関係しています。会話なら、テンポを重視する限り普通吹き出しに2~3行ぐらいですから読みやすいからです。ここで四角フキダシに「星暦2306年~」とかやるのは「承」に入ってからで十分です。

2011-01-09 00:52:14
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

キャラの行動原理や状況に読み手が納得していれば、多少の設定とかは語っても何とか聞いてもらえます。もちろんそれに溺れちゃ意味が無いんですが(^^;

2011-01-09 00:54:18
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

とまあ脈絡もなく思いつくままに書きましたが、これだけのことを全体の4分の1足らずで描かなければいけない「起」が大変だと言う事がお分かりいただけたでしょうか。そして、読み切り作品で2人以上のキャラをメインとして出すことがいかに大変であるかも。主人公一人でもこんなに大変なんです。

2011-01-09 00:57:52
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

それに比べると、「承」はいわゆる確認なので、「起」が出来ていればずいぶん楽です。この調子で承・転・結まで語ると仕事に響くので続きはまたの機会に(^^;ご静聴ありがとうございました。何人聞いておられたか怪しいですけど。こんな時間だし。

2011-01-09 01:02:14