安保法制の憲法論 大屋雄裕教授「集団的自衛権と個別的自衛権のあいだに憲法上境界線を設定することは非常に困難」

9月12日~14日にかけて大屋雄裕教授を中心に交わされたやりとりをまとめました。この問題に興味のある方には是非一度お読みいただけると参考になるかと思います。周辺ツイートもいつくか拾いました。
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Takehiro OHYA @takehiroohya

→立法の場合でも、私自身が不服であり違憲であると考える法令が成立したとして、当該法令の妥当性を否定できるわけではありませんし、遵法責務を肯定するなら当該法令を遵守する義務も発生するでしょう。その意味で受忍の必要は生じると考えます。 twitter.com/koli_san/statu…

2015-09-14 00:09:40
こりさん @koli_san

@takehiroohya しかし今回問題となっている「事案」とは、法律の設定であり、法令というのは変えない限り将来に向かって永続し、また設定時から直ちに将来に向かって常に変更の圧力に晒されるわけで、いかに短期的であれ「黙る」という規範と事実が成立するとはどうも納得がつきかねます

2015-09-13 23:59:41
こりさん @koli_san

@takehiroohya なるほど、つまり一応の結果の存在の承認としての「短期的に黙るしかない」と、将来に向かって政治的な意味のみを持つ批判の自由があるはずだという「長期的な批判の自由」の区分と見れば良いのでしょうか。

2015-09-14 00:17:57
Takehiro OHYA @takehiroohya

それで結構です。 なお言明の意味が根元的に不確定であるために批判の可能性が閉ざされることはないという主張を大屋雄裕『法解釈の言語哲学』でしておりますので、お暇なときにでもちょっと見ていただければ。【広告】 twitter.com/koli_san/statu…

2015-09-14 00:29:07
oz @ozakita

この議論は前にもされていたが、専門外の学者としての感想ですよね? 憲法は自衛権を前提にしてる。その自衛権は、自国の防衛であり、他国の防衛は前提としていない。これは憲法に書いていないから論理的に導かれる話では? twitter.com/takehiroohya/s…

2015-09-14 02:56:20
Takehiro OHYA @takehiroohya

ども。第一に、集団的自衛権と個別的自衛権のあいだに憲法上境界線を設定することは非常に困難だと思っています。論理的に整合するのは、ともにアウトとするか(自衛隊違憲論)、どちらもあり得るとするかでしょう。 twitter.com/discharge1980/…

2015-09-12 22:55:02
Takehiro OHYA @takehiroohya

①前者。確かに私は憲法学者を標榜してはいませんが「基礎だろうが医者なら『この傷の縫い方は2通りしかないねえ』」とわかる水準の話というのもあるわけですよ。なお法解釈方法論それ自体は法哲学の領域ですね。 twitter.com/ozakita/status…

2015-09-14 14:03:12
Takehiro OHYA @takehiroohya

②後者。「憲法に書いていない=自衛権はない」が第一のルート。これは全面違憲説に行きます。「憲法には書いていないが、自衛権はある」が第二のルート。すると自衛権の基礎は「国家の自然権」か「国際社会の相場」に置かれる。 twitter.com/ozakita/status…

2015-09-14 14:05:53
Takehiro OHYA @takehiroohya

②' (なお「国際社会の相場」は「国際法の法源としての確立した慣習」とか言っておくと多少格好がいいです。) twitter.com/ozakita/status…

2015-09-14 14:06:41
Takehiro OHYA @takehiroohya

③「自然権」ルートを取ると典型的には自己保存権ですから、直接に守るものが自己であれ他者であれ「自己の保存に有益と思われる行動を取れ」という準則になり、個別/集団を区別することは非常に困難です。 twitter.com/ozakita/status…

2015-09-14 14:08:27
Takehiro OHYA @takehiroohya

④「相場」ルートも集団的自衛権を宣言・行使している国が現に多数あり国連憲章にも基礎があるという状況で、集団的自衛権のみが許されないという主張はやはり困難です。どちらも自衛という目的で規制するので、手段を差異化するのは難しいのね。 twitter.com/ozakita/status…

2015-09-14 14:11:43
Takehiro OHYA @takehiroohya

⑤そこで可能なのは「国際法上は許されているが・憲法から許されない」というルート。以前の政府見解ですがその基礎は内閣法制局解釈なので、政府が解釈変更すれば変わるのではという話になる。まあ政府側はそう主張しているわけですな。 twitter.com/ozakita/status…

2015-09-14 14:16:15
Takehiro OHYA @takehiroohya

⑥以上から、個別的/集団的自衛権のあいだに境界線を引こうとするならば(A)個別的は《従前の》内閣法制局解釈に従って許されるとしつつ《今回の》解釈は許されないという議論を展開するか、(B)法制局解釈とは別の理由付けを展開するかになる。 twitter.com/ozakita/status…

2015-09-14 14:18:53
Takehiro OHYA @takehiroohya

⑦(A)を試みている論者が一定数いるものの論理的には相当の無理筋であり(この点は『法の理論33』井上達夫論文に言及あり)、(B)で頑張るべきところまあ傍目から難しそうやなという状況なわけですね。 twitter.com/ozakita/status…

2015-09-14 14:24:29
Takehiro OHYA @takehiroohya

⑧なお木村君がやろうとしているのは(B)ルートで、そこに注目するのは慧眼なのですが、基礎となっている憲法理論がbizarreなので私自身はあかんやろと評価しています。ここは「区別できる」と主張する側に立証責任のあるところ。(終) twitter.com/ozakita/status…

2015-09-14 14:26:40
Takehiro OHYA @takehiroohya

②〜④では区別していません。現在の政府の主張は、⑤における憲法解釈で「国際法上は限定なしの集団的自衛権が認められているが、憲法から限定的な範囲に制約される」というものだと理解しています。→ twitter.com/ozakita/status…

2015-09-14 14:40:38
oz @ozakita

ありがとうございます。前提ですが、ご回答中の「集団的」は、限定・非限定を区別してますか?先生のご回答からは限定を前提とされてるように読めましたが。 twitter.com/takehiroohya/s…

2015-09-14 14:33:55
Takehiro OHYA @takehiroohya

→(「非限定的な集団的自衛権」と言っても「自衛権」である以上自己(国家)の存続に無関係な武力行使まですべて認められるわけではないという意味では限定的なんですけどね、というのを一応補足。) twitter.com/ozakita/status…

2015-09-14 14:42:17
Masahiro Kozuka @Masahiro_Kozuka

木村説について「基礎となっている憲法理論がbizarre」とおおや先生が考えられるのは,憲法に明文で規定がない限り国家は何もできないという主張の部分ですか? twitter.com/takehiroohya/s…

2015-09-14 14:31:37
Masahiro Kozuka @Masahiro_Kozuka

授権規定必須とすると,地方自治体(地方政府)固有の課税権が認めがたい気がしますので,同じく変な感じがしています。 ただ,国家が当然もつ自衛権が9条1・2項で一旦否定された後,13条で個別的自衛権として復活という線はあり得ませんか? twitter.com/takehiroohya/s…

2015-09-14 14:52:07
Takehiro OHYA @takehiroohya

ご承知の通り13条から出てくるのは「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」の尊重義務ですから、「目的として自衛を超えることはできない」という主張には親和的でも、その手段である個別的/集団的自衛権の境界線を導くには不適切かと。 twitter.com/masa_koz/statu…

2015-09-14 14:57:15
Takehiro OHYA @takehiroohya

逆の言い方をすると、13条根拠なら「集団的自衛権を行使した方が国民の生命安全がより確実に守られることが明白な場合には、行使すべきである」という結論にしかならんよなと。 twitter.com/masa_koz/statu…

2015-09-14 14:59:54
Masahiro Kozuka @Masahiro_Kozuka

なるほど。昨年の閣議決定そのものですね。 長谷部先生あたりから,国際法的にみて,個別的自衛権と集団的自衛権とは本質的に違うという議論がでてくるのは,その関係なんでしょうね。 twitter.com/takehiroohya/s…

2015-09-14 15:01:44
Masahiro Kozuka @Masahiro_Kozuka

(木村説は違うと思いますが)当然ある自衛権を9条は禁止するが,禁止を13条が緩和と考えれば,(形式的には)13条で導出ではないなくなるので,という反論はあり得るかと思います。 但し,集団的排除は自明ではない,という問題は残ります。 twitter.com/H_Nobunaga/sta…

2015-09-14 15:05:45
林 信長 @H_Nobunaga

13条って「公共の福祉に反しない限り」と「最大の尊重」っていう二重の「縛り」があるわけで、自衛権みたいな最重要な権利をそこから導き出すのはムリがあると僕は思います。 twitter.com/masa_koz/statu…

2015-09-14 15:00:50
玉井克哉(Katsuya TAMAI) @tamai1961

13条を根拠に両者の区別が出てくるというのは無理よ。目的の規定で手段を制約するのは、無理筋。

2015-09-14 16:12:11
高橋雄一郎 @kamatatylaw

自衛隊合憲、集団的自衛権行使違憲を憲法の文言で基礎づけるのはネッシーを探すよりむつかしいよ。ネッシーがいると信じている人はすぐに見つかるけど。憲法の文言による限り決定打はないのなら投票箱と民主政の過程によるしかないんじゃないかな。

2015-09-14 16:16:52