『「立憲主義違反」と「憲法違反」の区別が理解されていない』~憲法学者・井上武史氏らのツイートから

「立憲主義」という言葉の使われ方に関して、井上武史氏が、異論のあるひとのツイートに対して返答し、説明しています。興味深いのでまとめました。
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井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

@shinjir7 統治者は授権の範囲内であれば、憲法に違反しない限りは行動することができるというのが憲法学の基本認識です。立法者が憲法に違反しない限りどのような法律でも制定できることを否定する人はいないと思います。

2015-09-28 20:07:30
α @snjiru7

@inotake77 そうしますと、井上先生の憲法学でいくと、憲法で徴兵制を禁止する明文規定はないのだから、為政者が法律で徴兵制を定めることも、憲法上問題なくできるのですよね?

2015-09-28 20:16:31
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

@shinjir7 それが憲法18条の解釈問題ではなかったでしょうか。憲法に違反する法律は制定できません(厳密には制定できるが裁判所が判断します)。論点整理はしたつもりですので、あとはご自分でご判断ください。特殊な呼び方でレッテル貼りをなされるようならば、今後はブロックします。

2015-09-28 20:37:02
α @snjiru7

@inotake77 18条を解釈すると言っても、先生の考えだと、「立憲主義精神」は憲法規範ではなく為政者を拘束しないのだから、為政者が「徴兵は国家に奉仕することで、こんなに素晴らしいことはない」と考えて、奴隷的拘束にも意に反する苦役にも当たらず合憲と解釈することもできるのでは?

2015-09-28 20:57:43
α @snjiru7

@inotake77 もちろん事後的に裁判所が違憲と判断することはありえるでしょうが、井上先生の憲法学だと、下級審ではダメで、最高裁判所が違憲判断を下すまでの間は為政者がどんなデタラメな憲法解釈をしても(内閣総辞職でもしない限り)憲法的統制を及ぼすことができないではありませんか

2015-09-28 21:11:10
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

@shinjir7 立法者がそう判断するかもしれませんが、裁判所が違憲と判断すればそれは無効ですね。それと立憲主義の精神とは何が関係するのでしょうか?

2015-09-28 21:34:37
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

@shinjir7 それをシステムの問題として引き受けるのが立憲主義論だと思います。立憲主義に違反するという曖昧な思考でとどまるのではなく、具体的な方策にまで考えを及ぼすことができる点で利点があると考えています。

2015-09-28 21:36:06
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

誰もが憲法9条に対してクリーンハンドではない、ということ ~今後の熟議のために(下の1)(楊井人文) - 個人 - Yahoo!ニュース bylines.news.yahoo.co.jp/yanaihitofumi/…

2015-09-28 22:09:12
α @snjiru7

@inotake77 「システムの問題として引き受ける」とは、憲法のシステム上、手の施しようがないので為政者がどのようなデタラメな違憲の憲法解釈をしようとも最高裁の違憲判決が確定するまでは放置しておく、ということですか?「具体的な方策」とはたとえばどのような方策ですか?

2015-09-28 22:23:49
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

@shinjir7 それを「立憲主義違反」と非難するだけでは法的には何の意味もなく、今回の安保法みたいになってしまいますね。むしろ、憲法保障のために違憲審査の介入を早めるなどの具体的な方策を検討した方が今後同じことが起こるのを防ぐには有益ではないですか、という話です。

2015-09-28 22:27:01
α @snjiru7

@inotake77 1「裁判所が違憲と判断すれば無効」と言ってみても、付随的違憲審査制と統治行為論のもとでは、国家統治の基本に関する高度な政治判断を含んだ法律に違憲判決が下りることはめったにありませんし、しかも違憲判決が出るまでにずいぶん時間もかかります。(2につづく)

2015-09-28 22:31:15
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

@shinjir7 もともと議会が強かった時代では憲法に関係なく法律が制定されており、それを克服するために新たな統治手段として違憲審査制が考案され発展してきたという歴史があるのですね。そして現在では違憲審査制こそが立憲主義の根幹であると考えられています。教科書でご確認ください。

2015-09-28 22:31:43
α @snjiru7

@inotake77 2安保法案に基づいて海外で自衛隊員に死人が出るまえに、佐々木惣一氏的な「非立憲」の概念によって立憲主義の精神を憲法規範として為政者に及ぼし、為政者の違憲の憲法解釈行為に歯止めをかけることは立憲主義の精神にかなうと考えます。

2015-09-28 22:33:02
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

@shinjir7 「違憲」かどうかを誰が決定的に判断できるのかというのが、ここでの議論のポイントです。

2015-09-28 22:36:43
α @snjiru7

@inotake77 「憲法保障のために違憲審査の介入を早める」ということは、たとえば抽象的違憲審査制を導入するということでしょうか?それだと(説によっては)憲法改正も考えなければならないのではないでしょうか。時間がかかりそうですね。実現までに自衛隊員に死人が出たらどうしますか。

2015-09-28 22:40:01
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

@shinjir7 そういう備えをしてこなかった憲法学者や憲法改正をできたのにしなかった議員や国民のせいではないでしょうか。憲法学者や弁護士が安保法案の違憲訴訟を準備しているのはそれが現行制度でできる最善の方策だからでしょう。

2015-09-28 22:42:11
α @snjiru7

@inotake77 ありがとうございます。もう一度よく考えてみます。

2015-09-28 22:51:00
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

ありがとうございます! twitter.com/kettosee/statu…

2015-09-29 14:08:46
ケット・シー @kettosee

この方の議論は大変興味深く、全部さかのぼって読みたいくらい。あと、議論の仕方も一歩一歩論理を積み重ねていて、とても参考になる。 twitter.com/inotake77/stat…

2015-09-29 14:01:03
α @snjiru7

憲法9条について、自衛隊を合憲と解釈できる論理的な説があるにもかかわらず、法科大学院教授の肩書と権威を悪用して、あたかもそのような説が存在しないかのような虚偽の言説をネットで世間に吹聴し世論を誤導する法科大学院教授は、立憲主義の害虫だ。こういう害虫を一つ一つ駆除していくことが大事

2015-09-30 01:03:23
α @snjiru7

集団的自衛権行使容認、特定秘密保護法、マイナンバー、の3点セットがついにそろい、日本が再び軍国主義、全体主義国家への道を歩むための法的整備がほぼ整った。残るステージは「公益及び公の秩序」を理由に国民の権利自由を全面的に制限できる自民党憲法改正草案による憲法改正のみとなった。

2015-09-30 01:05:08
α @snjiru7

日本としては集団的自衛権を行使したつもりでも、後日、相手国から国際司法裁判所に提訴され、国際司法裁判所では日本の行為が集団的自衛権の行使とは認められず、違法な武力行使と判断されてしまった場合、日本が相手国に多額の損害賠償を負うことも充分にありえる。最悪の場合国家の破滅である。

2015-09-30 01:10:10
α @snjiru7

@abehiromi1 @kmuramatsu 憲法違反としか思えないデタラメな条文解釈を為政者が行っても、最高裁で違憲判決が確定するまでの間は、合憲かどうかは誰にも判断できない。私人が行う憲法の解釈についても同じです。憲法など、その程度のものです(=井上武史先生の憲法学理論)。

2015-09-30 13:39:51
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

@shinjir7 @abehiromi1 @kmuramatsu 他に手立てがないから弁護士や学者らが違憲訴訟を準備しているのでしょう。しかしそれでは時間がかかりその間に既成事実が積み重ねられてしまうので今後のためにも裁判所による照会や事前審査制を整備すればよいと思いませんか。

2015-09-30 15:46:35
井上武史 Takeshi INOUE @inotake77

@shinjir7 @abehiromi1 @kmuramatsu 憲法理論としても、法律は合憲性の推定を受け違憲と判断されない限り有効であるというのが大前提です(精神的自由規制立法は違憲性が推定されるというのが二重の基準論)。法律全部について違憲審査するわけではありませんね。

2015-09-30 16:04:39