赤血球に感染します ~マラリア原虫~
と言う感じでマラリア原虫や原生生物について調べていたんですが、この原虫がヒトの身体に入ってから、なんだかすごく色々な形に変化しつつ動き回っているのに気が付きました。
@y_tambe あのー、マラリア原虫、なんかヒトの体内ですっごい変化しません? 変態?
2015-10-06 19:21:32@Butayama3 @y_tambe 話はそれますが、マラリア病原虫はミドリムシに近い仲間なのですよ。寄生性を獲得して光合成能を失った藻類。
2015-10-06 19:25:58@ucchy_v3 @Poison_R @Butayama3 はい。そっちが近いはず。ここらへん、原生生物の分類はややこしい……綱とかまたいで、葉緑体ある/なしがあったりするし。 マラリア原虫に近い原生生物でヒトに感染するのは、他にトキソプラズマなんかがいる。TORCH症候群のT
2015-10-06 21:08:08@Butayama3 んで、肝細胞に潜り込む形態がスポロゾイド、赤血球に潜り込む形態がメロゾイド。もう一つ、マラリアの種類によっては肝細胞で休眠する形態もある(ヒプノゾイド)
2015-10-06 21:26:09@Butayama3 あと、メロゾイドが赤血球に潜り込んだら、その中で発育するにしたがって見た目が変わる。メロゾイド→輪状体→アメーバ体→分裂体となり、最終的に赤血球を破壊(溶血)して大量のメロゾイドが放出される。で、それがまた赤血球に感染して……の繰り返し。
2015-10-06 21:30:35@Butayama3 まぁ途中で見た目が随分変わるけど、基本は「赤血球に潜り込んで、大量に増えて、やがて突き破って大量に外に出る」の繰り返し。このせいで、がんがん赤血球が壊されてくので、ものすごい貧血になる。それから赤血球破壊されるときに出てくる成分で、発熱する。
2015-10-06 21:36:44@Butayama3 なのでマラリア原虫のライフサイクルに伴って、周期的に発熱する。これが48時間周期(三日熱、卵熱、熱帯熱:やや不規則)と72時間周期(四日熱)のがいる。
2015-10-06 21:38:58@Butayama3 「最初に発熱したのを1日目としたとき、次の発熱が3日目」だから「三日熱」。周期は丸二日なのがややこしいが。
2015-10-06 21:41:23@Butayama3 マラリア原虫には、三日熱、四日熱、熱帯熱、卵形の4種類がいるのだけど、このうちいちばん怖いのが熱帯熱マラリア。他のは貧血、発熱、脾腫が主な症状だけど、熱帯熱は、脳の毛細血管に詰まって「脳マラリア」ってのを起こして、これでよく人が死ぬ。
2015-10-06 21:49:30@Butayama3 あ、熱帯熱も貧血、発熱、脾腫が主な症状ね。それに加えて脳マラリアも起こす。じつは、熱帯熱マラリアが感染した赤血球にはノブ(knob)ってよばれる瘤(こぶ)みたいなのができる。この部分、血管の内壁にくっつきやすくなってるので、毛細血管とかに詰まる。
2015-10-06 21:52:45@Butayama3 じつは「赤血球への感染」って、結構面倒な性質というか。赤血球て、成熟すると核とか全部なくなるので、タンパク合成とか行わない(だからウイルスは感染しても増殖できない)。けど、MHCクラスIも持ってないから、キラーT細胞の細胞免疫による排除を受けない。
2015-10-06 21:59:27@Butayama3 で普段、体の中では脾臓が、回ってきた血液の中の古い赤血球とかを分解する役割を担ってる。マラリアが感染した赤血球も、成熟前に脾臓で一部分解されたりするのだけど、熱帯熱マラリアは他所の血管にくっついて、脾臓に行かずに、それを免れようとしてるのだと考えられてる。
2015-10-06 22:03:53あ、そうか、赤血球に入り込むということはそういうことですね。
内側からの抗原提示がないから、キラーT細胞が認識しない。