贈与の経済

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樋口耕太郎 @trinity_inc

私の直感では、(広義の)贈与が次世代社会・経済の鍵を握ると思うのだが、これはお金を稼ぐよりも相当難しい。宝くじに大当たりした人は、大概が身を持ち崩すというし、補助金で栄えた地域も産業もない。子供に若いうちから大金を与えると人生が崩壊する。お金持ちが幸福な結婚をすることは困難だ。

2011-01-10 09:51:49
樋口耕太郎 @trinity_inc

我々は好きなことをするためのお金と時間を得ようとして、人間が持つ唯一の「今」という時間を切り売りして人生を過ごすのだが、仮にお金と時間、双方を十分に手に入れたとしても、幸福な人生が保証されるどころか、その反対になることの方が多いのではないか。軍用地主は象徴的な存在かもしれない。

2011-01-10 10:00:26
樋口耕太郎 @trinity_inc

時間とお金を得るために、多大なエネルギーが使われながら、それが実現した瞬間に、最大の不幸がもたらされる可能性が高い。我々の社会はこの根源的なジレンマを抱えているのだが、誰もそれに言及せず、その解消方法を誰も知らず、そのことについての政治・経済学的な研究も殆ど存在しない。

2011-01-10 10:05:37
樋口耕太郎 @trinity_inc

一方僅か10年の社会的な傾向として、(1)資本家の質が、財閥のような大組織から、企業経営者、ファンドマネージャーのような超・個人へと大きく推移している。09年世界最高年収は、David Tepperの4000億円。資本家ということの意味がマルクスの時代とは根源的に異なっている。

2011-01-10 10:12:47
樋口耕太郎 @trinity_inc

ロックフェラーが自分の資産の半分を贈与することは、恐らく不可能に近いのだが、それと比較すれば(その意思さえあれば)、ファンドマネージャーが個人資産の半分を贈与することは破格に容易だ。すなわち、全世界的に多額の贈与が非常に起こりやすい環境が生まれていると言うことだ。

2011-01-10 10:15:56
樋口耕太郎 @trinity_inc

このよう背景によって、第二に、(2)ウォーレンバフェットの「ギビング・プレッジ」に見られるように、実際に超・個人が多額の寄付をする行為が社会的な動きとなって顕在化している。バフェットの呼びかけに応えて、現在までに50人、最終的には実に15兆円が寄付の対象になると見込まれている。

2011-01-10 10:18:29
樋口耕太郎 @trinity_inc

次世代社会の鍵を握るのが、贈与経済には違いない。しかしながら、多額の贈与が社会において正に生じようとしている反面、お金(劇薬)を使うノウハウは著しく乏しく、せいぜい寄付という曖昧な方法しか存在しない。寄付行為最大の問題は、より良い社会を作ることと殆ど相関性がないと言うことだ。

2011-01-10 10:24:26
樋口耕太郎 @trinity_inc

ハイチ大震災から約1年が経過。集まった約1400億円の寄付金がいかに使途されたかについてのレポート(http://p.tl/Kqtc)。正確・詳細な情報の多くはそもそも入手不可能かつ不明瞭。多くの組織は集めた資金を殆ど使っていないにもかかわらず未だに寄付金を募集している。

2011-01-13 06:11:34
樋口耕太郎 @trinity_inc

災害援助の名目で、殆ど実績も誠意もない「NPO」がいとも簡単に大金を入手し、好き放題している姿が透けて見えるようだ。・・・贈与のボトルネックは資本ではない。お金を活かして誠実かつ整然と使途するための「事業力」だ。今後この重要性は著しく高まるだろう。

2011-01-13 06:17:56
樋口耕太郎 @trinity_inc

寄付行為の問題は、それが必要としている人に殆ど(と言って差し支えないと思うが)届かないということであり、仮にそのお金が届いたとしても、少なからず受け取った人の自立を阻み、却って人や地域を弱くしてしまう可能性が高いのだ。・・・これが沖縄最大のジレンマでもある。

2011-01-10 10:27:05
樋口耕太郎 @trinity_inc

以上が意味することは二点である。第一に、お金という劇薬が贈与と言う形で大量に社会へ提供されつつある、第二に、その劇薬を薬として使うノウハウが社会に(全くと言っていいほど)存在しない。

2011-01-10 10:28:55
樋口耕太郎 @trinity_inc

すなわち、次世代社会のボトルネックはお金を使う(劇薬を扱う)ノウハウにあり、寄付行為そのものにはないのだ。社会を真の意味で良くするお金の使い方を実践した者・事業・地域が、次世代社会のコーナーを取得することになるだろう。

2011-01-10 10:31:14
樋口耕太郎 @trinity_inc

そして、それを実現するためには必要条件がある。社会の根源的な問題を特定すると言うことである。現代の社会と政治は、病名がわからないまま、病の原因がわからないまま、高価な対症療法を繰り返している。対症療法には必ず副作用が伴い、負債を増やしながら経済(の額)だけが成長している状況だ。

2011-01-10 10:34:36
樋口耕太郎 @trinity_inc

社会の根源的な問題を特定すること、そして、人を活かすお金の使い方を実践し、お金と幸福を両立する事業・社会モデルを生み出すこと、これが次世代社会のコーナーである。

2011-01-10 10:36:06