鳥に纏わる掌編・籠屋・曳舟荘～空想の街にて／ハンツピィの宴2015

うらはら @ura_saraha

@Ne2_co @_kumoyuki_ カウンターにやわらかな光と影が落ちている。占いに夢中になっている隙に、新たなお客が来ていたらしかった。とても綺麗な造形の人で、思わずぽかんと見惚れる。「あ、失礼。こんばんは」 #空想の街　#籠屋　#曳舟荘　#BAR330　#時計坂の占い師

雲行き＠空想の街 @_kumoyuki_

「はい、ホンフウルウ。豆腐を紅麹に漬けて発酵させたものなの。チーズみたいって言う人が多いかしら？あとヒーちゃんの"いつもの"、白身魚のセビッチェ・レモンタマネギ抜き。あと、お飲み物は？」@Ne2_co #空想の街 #BAR330 #籠屋 #曳舟荘

こみや@空想の街 @Ne2_co

@ura_saraha @_kumoyuki_ 「あら今晩は。今日は見慣れないお兄さんによく声を掛けられるねえ」占い師、という青年に笑いかける。周りにあまりいなかった職種だ…ラジオで謎の占いを流すこともある顔見知り以外は。 #空想の街 #BAR330 #曳舟荘 #時計坂の占い師

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「豆腐…？」あまりにも自分の知っているそれと違う何かに瞬きをした籠屋は箸をつけてみてまた瞬きした。うん、珍味だこれ…悪くない。 @_kumoyuki_ #空想の街 #BAR300 #籠屋 #曳舟荘 「こういうところがたまんない店だねえ。あ、吟醸冷やで。こちらには温かいのをお願い」

雲行き＠空想の街 @_kumoyuki_

「臭いきつそうだけど意外とそうでもないのよね。はいはい、吟醸冷と温燗どうぞ。ポムの実ジャムもあるけど、食べる？」 @Ne2_co #空想の街 #BAR300 #籠屋 #曳舟荘

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そう言えばポムの実、というやつがあったのだと籠屋は思い至る。動物になる…とかなんとかいう話だったような。一瞬迷ったが、いかんせん籠屋は面白いことには乗らずにはいられない性分だった。 @_kumoyuki_ #空想の街 #BAR330 #籠屋 #曳舟荘 「いただきます！」

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ヒーちゃんの悪戯なアイコンタクトを感じたので少し多めにジャムを盛ってお出しする。「さあさあどうぞ」気持ち少し多めなだけよ？ホントよ？ @Ne2_co #空想の街 #BAR330 #籠屋 #曳舟荘

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籠屋がいただきまーす！と元気よく言ったあたりからもうヒキフネは直視できなかった。 @_kumoyuki_ #空想の街 #BAR330 #籠屋 #曳舟荘 「…で、一中年としてはですね…中々辛いもんがあるんですがね、これ」ふさり、と首のあたりまで垂れた長い耳を震える手でぎゅっと握る。

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よりにもよって、兎て。 しかもなまじっか黒い毛の兎であるために、籠屋の色の薄い髪の毛の中でそれはどうしようもないほどに存在感を放っていた。 @_kumoyuki_ #空想の街 #BAR330 #籠屋 #曳舟荘

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「んもう！ロップイヤーちゃん！可愛いじゃないの！アタシは好きよう！これで明日の宴も楽しめるわね！」 @Ne2_co #空想の街 #BAR330 #籠屋 #曳舟荘

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「あ…ハイ…ありがとです…」こういうのを予想の斜め上、と言うのだろう。とりあえずあの外面だけはいい知人に見られなくてよかったとそう籠屋は思った。 @_kumoyuki_ #空想の街 #BAR330 #籠屋 #曳舟荘 横の席からこぼれ落ちて爆笑している大家のことは見ないふりをした。

雲行き＠空想の街 @_kumoyuki_

「あら、お引越し考え中なの？この街で？だったらここにヒーちゃんがいるわ！」ぽんと手を打ち曳舟の前で手をヒラヒラさせる。「ヒーちゃんヒーちゃん、曳舟荘って空き部屋まだある？？」@ura_saraha #空想の街　#BAR330　#時計坂の占い師 #曳舟荘 @Ne2_co

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「ふくくくく…失礼。あー涙出てきた。ミミオちゃんお水ちょうだいお水くくくく」 @_kumoyuki_ @ura_saraha #空想の街 #BAR330 #時計坂の占い師 #曳舟荘 「…ああ、部屋ね、空いてるよ。蓮根橋の袂、森側。かなりマルケーから離れてるし、古いけどネ」

雲行き＠空想の街 @_kumoyuki_

「ヒーちゃんたら笑いすぎっ！お冷どうぞ。ロップンもどうぞ」親しみを込めてロップンに呼びかけてみる。ロップイヤーのロップン。 @Ne2_co @ura_saraha #空想の街 #BAR330 #時計坂の占い師 #曳舟

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「ろっ…」もういいや、という気分もしてきたが一応の抵抗はしておくことにする。「どっちかってーと、籠屋って呼んでもらえた方がありがたいかなあ…うん…」 @_kumoyuki_ @ura_saraha #空想の街 #BAR330 #時計坂の占い師 #籠屋 呑んで忘れよ。そうしよ。

うらはら @ura_saraha

「本当かい！」あっさりと返って来た返事に目を丸くする。「もし貴方の都合が良ければ、ぜひ見学に伺いたいのだけれど。二日後、なんて空いていないだろうか？」思わず身を乗り出した。　@Ne2_co @_kumoyuki_ #空想の街　#曳舟荘　#BAR330　#時計坂の占い師

こみや@空想の街 @Ne2_co

「いいよ、入居希望者なんて滅多にないからネ。三つ指ついて待っとくさ…あんまり期待しないどくれよ」 @ura_saraha @_kumoyuki_ #空想の街 #時計坂の占い師 #BAR330 #曳舟荘 ついでに付け加える。「一応お聞きしとくけど、空飛ぶ類のお方じゃないだろうね？」

うらはら @ura_saraha

「空飛ぶ？」きょとんと繰り返してから真意に気付く。「ああ、いや。僕は人間だよ」飛べたら楽しそうだけど、と笑う。そういえばさっきまで普通だった奥の男性にいつの間にか何か生えているような？　@Ne2_co @_kumoyuki_ #空想の街　#時計坂の占い師　#BAR330　#曳舟荘

こみや@空想の街 @Ne2_co

「ん、じゃあ屋根裏はなし、だネ。ちょっと身軽じゃないと難しい部屋だから」 @ura_saraha @_kumoyuki_ #空想の街 #時計坂の占い師 #BAR330 #曳舟荘 ヒキフネは青年の視線が自分の向こう側へと注がれているのに気づく。「…お兄さんはもう食べてみたかい？」

雲行き＠空想の街 @_kumoyuki_

「いけない、お兄さんに出し忘れてたわ。はい、ポムの星ジャム。平たく言えばロップンみたいになるけどいかが？」@Ne2_co @ura_saraha #空想の街 #時計坂の占い師 #BAR330 #曳舟荘

うらはら @ura_saraha

「ポムの星ジャム」わくわくや仕事に押し流されてすっかり忘れていた情報が蘇る。「動物の宴か！」クラッカーに乗せたジャムを食べれば、獣人の姿を手に入れるのだろう。…よし。「いただきます」　@_kumoyuki_ @Ne2_co #空想の街　#時計坂の占い師　#曳舟荘　#BAR330

うらはら @ura_saraha

齧ったクラッカーはサクサク、ジャムは甘酸っぱくてとても美味しかった。美味しい、と口に出して言おうとして、ふいに頭が重くなったことに気が付く。「あれ？」触った先には複雑な形の角。「鹿だ」　@_kumoyuki_ @Ne2_co #空想の街　#時計坂の占い師　#曳舟荘　#BAR330

雲行き＠空想の街 @_kumoyuki_

「お兄さんは鹿さんなのね。ここ客席狭いから引っ掛けないように注意してねん」@ura_saraha @Ne2_co #空想の街　#時計坂の占い師　#曳舟荘　#BAR330

こみや@空想の街 @Ne2_co

「おや、なかなか御立派」素直な感嘆の声を上げると、じとっとした視線がどこからか向けられた。が、気にするようなヒキフネではない。 @_kumoyuki_ @ura_saraha #空想の街 #時計坂の占い師 #BAR330 #曳舟荘 「これでひとまず宴の準備は整ったってとこかしら」

雲行き＠空想の街 @_kumoyuki_

「そう！ロップンは籠屋さんなのね。分かった、覚えておくわロップン！くれぐれもアタシのこと忘れないでねロップン！」カウンター越しにロップンの手を取りにこにこ微笑みながら。@Ne2_co @ura_saraha #空想の街 #BAR330 #時計坂の占い師 #籠屋