ハローキティと「越境」論

ユーフォニアム論の続きです
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It happens sometimes @ElementaryGard

ハローキティがおたく文化とは別文脈であることは否定しません。ほとんどのひとは驚くのですがサンリオはクールジャパンには前からずっと冷淡なのです。

2015-12-21 10:20:10
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おたく文化とは、おとな/子ども、プロ/マニア、送り手/受け手、男/女ほかいろいろの社会的二項対立の障壁を一時跳び越えあってまた元の鞘に戻ってくるゲームであり、プレイヤー(観客も含む)は二次元美少女をゲームの球に見立ててこの壮大なゲーム・プレイを楽しむのだと先日論じました。

2015-12-21 10:26:11
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職業まんが家がコミケに堂々と同人誌を売り出したり、企業がやはり堂々とブースを設けたりと、ほかの国ではおよそ考えられないことが日本のおたく文化ではデフォルトとなっています。非難してるのではありません。とても面白い現象であり体質であるといいたいのです。

2015-12-21 10:27:58
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二次元美少女は首から上は子どもで下はおとなという、ケンタウロスも素足で逃げ出す妖怪。 pic.twitter.com/HFiUyymdWL

2015-12-21 10:37:45
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先ほど述べたようにおたく文化は社会的二項対立構図を一時ちゃらにできるアジール(「アジる」ではない)空間。その象徴として、そしてゲームの球としてあるのが、人獣混交ならぬおとな子ども混交の二次元美少女なのです。

2015-12-21 10:40:11
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日本のコミケ文化について小田切博が『キャラクターとは何か』のなかで取り上げていました。強い違和感を覚えた理由が今はことばで説明できる。この越境ゲームを彼はわかっていない。わからないままアメリカ式のキャラクター・ライセンシング論をかぶせてくるからおかしくなる。

2015-12-21 10:45:49
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「ポップ」がわからない archive.wiredvision.co.jp/blog/odagiri/2… >私がこうした語りが苦手なのはそこにマジョリティーとしての「ポップなもの」に対する相対的な感覚が欠如しているからではないかと思った。 まさにそうだと思います。

2015-12-21 10:48:16
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>ニコニコ動画やTwitterやはてなダイアリーなどを通じて数万人規模の支持を集めていることも珍しくはないだろう。だが、そうした価値基準がそれらのコミュニティー外部にあるマスのレベルで共有されていなければ、それはやはりただのカルトな流行であってポップではないのだ 絶望的AHO。

2015-12-21 10:49:52
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今の彼がどう考えているかはわかりませんが、こう論じた2009年時点での小田切の限界がよくわかる文です。コミュニティ内部でしか共有されていないのが「キャラ萌え」だというのならば、その感性はまさにコミュニティの象徴なのですよ。そこになぜ目をつけて論じようとしなかったのか。

2015-12-21 10:51:57
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何度か触れた話題ですが、その昔坂本龍一が時計のCM用に作った曲があって、それを流用して Behind the mask という歌をYMO名義で発表。1979年。youtu.be/uGej2wP9_6Q これがマイケル・ジャクソンを痺れさせ『スリラー』用にカバーされた。

2015-12-21 10:57:28
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エリック・クラプトンもカバー。作った坂本本人は「なんでこんな平凡な曲がそんなにポップなの?」と不思議がった。YMOのほかのメンバーも同じ反応。アメリカ横断ライブでもこの曲だけとびぬけて反応が良かったのに戸惑った。

2015-12-21 10:58:57
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ずっと後になってNHKの音楽講座「スコラ」のなかで、ピーター・バラカンが「アメリカのロックンロールのイディオムにたまたま合致したんだと思う」と分析。つまりあの国の人間が共有する「ポップ」と偶然合致したのだと。

2015-12-21 11:00:44
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そういうのは外国人にはなかなかわからない。喩えるならば日本語の助詞「は」と「が」の違いが非ネイティヴにはなかなかわからないように。

2015-12-21 11:01:54
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そこを理論でしっかり語れるようにしたのが三上章による日本語文法、いわゆる三上文法でした。日本「国外」ではスタンダートとなっている日本語文法。国内つまり学校教育ではいまだに橋本文法が使われていますが。

2015-12-21 11:03:11
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「象は鼻が長い」。さあ主語は何でしょう?学校文法では「象」と「鼻」のどちらも主語になる、つまり二重主語だと教わります。私も中学のときそう習った覚えがあります。三上文法では違う。「そもそも日本語に主語なんかない」が回答。あえていえば「象」は「主題」で「鼻」は「主格」。

2015-12-21 11:05:59
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詳細は省きますがこの「主題」(topic)と「主格」(nomination)が同一のものを「主語」(subject)と考えるわけです。英語は「主語」で、日本語では「主題」と「主格」に分かれると考える。

2015-12-21 11:08:17
It happens sometimes @ElementaryGard

日本のおたく文化の一番の名物である二次元美少女の奇態それに需要の高さについても、こんな風に分析・言語化できると考えたのが私のユーフォニアム論です。

2015-12-21 11:09:41
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huffingtonpost.jp/kaoru-kumi/ota… >「おとな」向けと「子ども」向けの、二つの顔を使い分けることで日本のおたく文化は、本来この両者のあいだで分断されているはずの様々なモチーフを化学反応させ、奇想天外な、そして確かに面白い作品を生み出し続けている。

2015-12-21 11:10:58
It happens sometimes @ElementaryGard

>先日劇場版が公開されてファンのあいだで激賞が続く『ガールズ&パンツァー』のように、女子高生がまるでバスケか何かの部活動のように戦車を乗り回して他校の生徒たちと市街戦を繰り広げて観客に感動の涙を誘うという、ハリウッドではとても発想できないようなエンタテインメントが生まれてくるのだ

2015-12-21 11:11:27
It happens sometimes @ElementaryGard

>「子ども」でもあり「おとな」でもある――このダブルスタンダードを見逃すことで日本のおたく文化は世界にも類を見ない、マージナルでモラトリアムな欲望開放空間として進化した。

2015-12-21 11:12:36
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>そしてそのまさに申し子としてあるのが、童顔だがナイスバディの未成年設定(でないものもあるが)女子キャラクターたちだ。 pic.twitter.com/0MiJ9BYtr3

2015-12-21 11:13:07
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>首から上は「子ども」だが、首から下は「おとな」の身体という、キマイラもケンタウロスも素足で逃げ出す不可思議な仮想メス生物がこうして増殖する。

2015-12-21 11:13:46
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>仮想生物であるからこそ、外国人には冷静な判断ができなくなる。そしてこう判断される。「児童ポルノではないか!」と。

2015-12-21 11:14:12
It happens sometimes @ElementaryGard

>「おとな」と「子ども」を明確に分ける倫理観、人間観をもつ文化圏の人間の目に、「おとな」と「子ども」を使い分けるポップカルチャーは言語道断なものに映ってしまうのである。

2015-12-21 11:14:28
It happens sometimes @ElementaryGard

ハローキティに話を戻します。キティはこうした二次元美少女ではありません。そもそもキャラクターですらない。もともとは小銭入れ用に図案された「デザイン」でした。「キャラクター」ではなく「デザイン」。 pic.twitter.com/TLHm2cVCNq

2015-12-21 11:19:01
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