飯山幸伸著『弱小国の戦い 欧州の自由を求める被占領国の戦争』感想

知った気でいて全然知ってない、WWⅡに巻き込まれた中小国の戦いをまとめた本書。その概略と感想です。
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多足 @tasoku04

オランダにちょっと注目したい。 WWⅠでは、ドイツはベルギーに侵攻しフランス攻略を狙った。しかしオランダは攻撃されず、中立を維持したんだよね。通り道からちょっと外れてた、というなんとも判り易い流れではあるのだけども…

2016-02-19 08:55:36
多足 @tasoku04

WWⅠの前、オランダは海産物をドイツに輸出していた。で、ドイツから石炭を買い、国内の工場を動かしてた。 WWⅠが始まってもそれが出来るか、となると… ドイツとの貿易はドイツを利する行為だとして、英仏の反発を受ける。なもんで戦争中は貿易が成り立たない。中立国ってそういうものなの。

2016-02-19 08:57:31
多足 @tasoku04

中立宣言しとけば、周囲で戦争始まっても無関係で居られるよーって考えが大きな間違いであることは、スウェーデンやオランダが実証したということになるね。 WWⅠでオランダは参戦しなかったけども、国内経済は壊滅的打撃を受け、食糧自給率的にもえらいことになってたわけだ。

2016-02-19 09:01:47
多足 @tasoku04

で、WWⅡでは。 国際連盟や周辺各国との集団安全保障に期待してたけど実力行使の前には無力だったと見え、即効でドイツ軍の占領下に。結局終戦間際まで占領され続けることに。さらに海外領土も日本軍の侵攻受け消滅。立地が悪すぎるか!

2016-02-19 09:04:32
多足 @tasoku04

結局、低地諸国は単独で自立を維持するのはムリがあるんだろう。中立宣言は結局のところ相手の善意に期待するしか無い。それ以上のものにするなら「ウチに侵攻したらめっちゃ噛みつき返すで。しかも侵攻目的果たせんようにしたる。自爆してでも。」みたいな姿勢が中立維持には必要。スイスみたいに。

2016-02-19 09:08:13
多足 @tasoku04

さて、WWⅡの最初期まで話を戻して、バルト三国の場合。キーワードは「保障占領」。 ソ連はバルト三国に対し「ドイツが攻めてきたら大変でしょ? だからウチの軍隊置いて護ってあげるよ」と「中立国の安全を保障するために占領する」というもの。お前ドイツと同盟しとるやんけ!

2016-02-19 09:11:32
多足 @tasoku04

バルト三国の力を結集してもソ連軍の侵攻には対抗できない。なもんで「保障占領」を受け入れるしかない。領内にソ連軍が進駐し、行政官が送り込まれてきて軍政敷いてはい、無事に国家の主権を失うことになりましたとさ。

2016-02-19 09:13:16
多足 @tasoku04

フィンランドがそうならなかったのは、事前に備えて防衛線を構築していたから、ってのもあるけどじゃあバルト三国でそれが出来たかというと… 国家規模というか、領土の縦深性がなあ…

2016-02-19 09:14:44
多足 @tasoku04

この「保障占領」ってヤツは中立国のこと考える上で結構重要な要素かも。アイスランドもアメリカに保障占領されてWWⅡに参戦したからねえ。 結局、戦略的に重要な地勢ってのは確実に存在し、その国の意思は蔑にされてしまうって話。中立維持は楽じゃない。

2016-02-19 09:16:19
多足 @tasoku04

バルト三国はソ連に飲み込まれ、独ソ戦の開始とともにドイツ軍に飲み込まれ、戦後も50年間主権を回復できなかった。その間に弾圧や政策失敗の皺寄せでどれほどのものを喪ったか。戦って主権を維持できたフィンランドとしばしば対比されるお話。

2016-02-19 09:18:18
多足 @tasoku04

さてWWⅡ開戦の地、ポーランド。 これまた実像のよく判らん国の一つ。国民性ジョークでバカにされるのは何故だ? WWⅡ前に独立し、領土問題で周辺各国と結構軋轢を生んでいる。ドイツ軍好きの一部からはポーランドも大概なDQN国家よ、みたいな声を聞いたりもするが…

2016-02-19 09:23:19
多足 @tasoku04

独立前のポーランドって、ロシア帝国とドイツ帝国とオーストリア・ハンガリー帝国の一部よ? それがようやく独立し、けれどもその国境は周辺からの都合で東西にコロコロ動かされてるわけよ? ウクライナ人やユダヤ人も国内に多く、かなり面倒な連邦国家なわけですよ。そりゃ苦労もするわ。

2016-02-19 09:24:57
多足 @tasoku04

ダンチヒ回廊を巡ってドイツと対立し、独立時の国境地帯に関してチェコスロバキアと揉め、対ソ干渉戦争の都合でウクライナ、ソ連とも… 立地悪すぎじゃないですかね、ポーランド。

2016-02-19 09:27:00
多足 @tasoku04

改めて見ても、ポーランドって結構広い。そして民族も複数混ざってる。ついでに平野続きで、防衛拠点になるような地形に乏しい。そして両隣はドイツとロシア。一体何を頼って自立を護るのか。自主防衛するには条件が悪過ぎる!

2016-02-19 09:28:55
多足 @tasoku04

結局、頼りにしたのはイギリス、フランス。 ドイツ軍の侵攻により英仏も対独宣戦してくれたけど、準備がどうのでどうにもならず… 背景には軍事的なものだけでなく、政策的、外交的な失敗もあったようで。イギリスへの援助要請がちょっと曖昧だった部分があったそうな。

2016-02-19 09:31:28
多足 @tasoku04

ドイツとの交渉において、イギリスとも交渉してるけどその進捗具合によって対独の妥協ラインの設定を調整しないといけない。同時進行する外交交渉で、いい具合のラインを探るタイミングが合わなかった。その結果ドイツが硬化し、軍事侵攻って事態になったようだ。

2016-02-19 09:33:17
多足 @tasoku04

たしかに、ドイツからしてもポーランド侵攻は大きな賭けだった。英仏に後背を衝かれる可能性が大きいから、できるだけ英仏を刺激せず穏便に、けどもポーランドは欲しい。虫のいい話だな。 そんなわけで、チェコスロバキアみたいに、戦うことなく交渉でなんとかしたかったんだろう。

2016-02-19 09:35:14
多足 @tasoku04

ポーランド軍が強力な軍備と防衛線を持ち、英仏の対独侵攻まで粘ることができると示すことが出来たなら、ドイツはどう動いたか? 興味は尽きない話ではある。難易度むっちゃ高そうだけど。 同盟による安全保障の、「援軍が来るまで自力で粘れるだけの軍備」ってのはかなり重要なのだ。

2016-02-19 09:39:17
多足 @tasoku04

ポーランド政府はイギリスに亡命、対独抗戦を続けるけども、面倒なのが対ソ。ポーランドの半分を占領したソ連は、亡命政府にとって明らかに敵なんだけど… 1941年独ソ戦開始により事情が変わってしまう。イギリスはソ連を支援。ポーランドはもう、どいうしらいいものやら…

2016-02-19 09:41:04
多足 @tasoku04

結局、1944年夏のワルシャワ蜂起は、ポーランド国内に残ったレジスタンスにとって最後の希望だったんだろう。その時ポーランド人がどこを向いていたのか。英ソ双方から支援を望むもソ連軍は南に転進、英軍の支援は物理的に不十分。ポーランドの都合を一番に考えてくれる外国なんて無いってことだね

2016-02-19 09:43:48
多足 @tasoku04

ワルシャワ蜂起を無視して南に向かったソ連軍、その狙いはバルカン諸国への圧力による、連鎖反応的な枢軸陣営の切り崩しだったという。ルーマニア、ハンガリーを陥とせば、ソ連にとって戦争終結を早めるどころか戦後まで大きな意義がある。

2016-02-19 09:46:15
多足 @tasoku04

イギリスに亡命したポーランド政府の影響力を削ぎ、ソ連寄りの政権を作るためという説が強いけれど、その真偽はどうだったんだろう?

2016-02-19 09:47:41
多足 @tasoku04

で、最後にバルカン諸国。 この『弱小国の戦い』を買った一番の目的は、バルカン諸国がWWⅡでどうなっていたのか、って部分を知りたかったからなんだけど… その前史がホント厄介で、やはりちゃんと理解できたとは言い難い。まだまだ勉強しないと…

2016-02-19 09:51:06
多足 @tasoku04

今回この本を読んで、自分がバルカン諸国について強く認識するようになったことの一つは、オスマントルコ帝国などの、欧州外の勢力と欧州各国の戦いの最前線であり続けた、ということ。トルコ経由、またはトルコ発の軍勢、難民、異民族が侵入しまくってるんだよね。

2016-02-19 09:54:47
多足 @tasoku04

侵入ルートはトルコ方面だけでなく、黒海北岸ウクライナ・ロシア方面からも多い。 で、言語も宗教ももちろん風習も違う人達が、バルカン半島に住む場所を求め殺到し、混在し、特に南部では狭い耕作可能地を取り合うわけだ。山ひとつ越えたらまったく違う習慣の集落があるという状況。

2016-02-19 09:59:20