事実に基づいたフィクション書きまぁす!!!

事実に基づいたフィクションです!万が一似たようなことがあっても現実に存在する人物とは一切関係ございません。
0
れめ @jnvatatg

溜まりに溜まった不信感から来る、本当は浮気してるのではないかという疑いの気持ちを小出しにするのにも限界を感じていた女は、無視されてから5日目にそんなに浮気したいならバレないようにやれ、ドキドキハラハラ(笑)の恋愛ゲームを楽しむのならもう別れよう等、かなりきつめのメールを送った。

2016-02-25 06:03:15
れめ @jnvatatg

それ以降もメールが返ってこないので、ある休日の午前、直接話をしに男が住んでいる会社の寮へと向かった。そこで女は驚きの光景を目にする。寮にしてはかなり小さめ(中型バイク1台と普通乗用車が1台とめられる広さ)の駐車場、そしてポストには男と苗字が同じ別の男性の名前が書かれていた。

2016-02-25 06:23:33
れめ @jnvatatg

別の家ではないかと思う女だが、干してある洗濯物が男が着ていた衣服で、置いてあるバイクは男と同じ物。今女の前に建っている家で間違いないということを証拠付けるのに充分だった。中からバタバタと音がする。女は恐る恐る玄関のチャイムを鳴らした。出てきたのは5~60代の女性だった。

2016-02-25 06:28:01
れめ @jnvatatg

出てきた女性に、男さんのお宅ですか?と伺うとその女性は、私の息子ですが...と答えた。女はショックを隠しきれなかった。何故なら今まで実家は遠い所にあり、とある田舎には仕事の転勤で初めて来たとずっと言われていたから。つまり、女はずっと騙されていた。中絶した時も、男は騙していた。

2016-02-25 06:34:52
れめ @jnvatatg

なんとか平静を装い、男の母親には男の友達です、と伝え色々と話をした。今回家まで伺ったのはメールや電話をかけても全く返事等がなく事故等起こしていないか心配になった為と伝えた。妊娠中絶を行ったことは伝えなかった。男の母親からは、男は生まれも育ちも実家もとある田舎だと聞いた。

2016-02-25 06:41:42
れめ @jnvatatg

男の母親と軽い世間話をして、今日の事は男には秘密にしておきましょう、ということになり、女は家に帰った。しかし、ずっと騙されていたことと返事がないことがどうしても心に引っかかってしまい落ち着かなかった。時計の針が7時を回る頃、男実家へ再び向かった。女は再び玄関のチャイムを鳴らした。

2016-02-25 06:52:41
れめ @jnvatatg

出てきたのは男の母親だった。こんばんは、度々すみません。と挨拶し、朝には無かった男の車を指差し、○○さんいらっしゃいますよね?と言い男に取り次いでもらった。男はスウェット姿で現れた。女が話をしようとすると男は、あなたとはもう付き合えません。無理です。別れて下さい。と女に告げた。

2016-02-25 07:01:31
れめ @jnvatatg

一瞬にして女の血の気が引いた。え?なんで?どうして?と少しパニック気味に聞くと、男は5日目に送られたメールの内容でもう無理だって思った、と言った。男曰く、浮気していないし仕事しかしていないのにこんなこと言われると堪えるから、とのこと。色んな気持ちが犇き、女は涙が止まらなくなった。

2016-02-25 07:08:11
れめ @jnvatatg

外が寒い時期だったので男の車の中で話を続けることになった。どうしてももう恋人として付き合っていくのは無理なのか、恋人として無理でも友達として遊びに行ったりするのも無理なのかと。答えはどちらも考えておきますの一言だけだった。知り合ってから3年間ずっと騙していたのは何故かも聞いた。

2016-02-25 07:13:07
れめ @jnvatatg

理由は、とある田舎が嫌いだから。本当だったら遠いところにずっと住んでいたかったから。一緒に実家に帰った時も、本当は友人の家に泊めてもらって過ごしていた。実家で父親に結婚したい人がいると伝えたら、認められない、そんなに結婚したいなら見合いさせてやると言われた、という話も嘘だった。

2016-02-25 07:17:15
れめ @jnvatatg

女が最初から結婚する気はなかったんだね、と言うと男は、そんなことはないし、いつか実家がとある田舎だと言うことは話そうと思っていた、と言った。どうして子供が出来た時に本当のことを言ってくれなかったの?と尋ねると、そうだね、ごめん、としか言わなかった。車の中に女の泣き声が響いた。

2016-02-25 07:23:23
れめ @jnvatatg

結局女に残ったものは、深く抉られた心の傷と、永遠に子宮に残る中絶手術の傷跡だった。楽しかった思い出ももちろんあった。けれども、これだけ深い傷をつけられると全てが血に塗れて汚れて見えてしまう。何があっても食欲だけは常にあった女だったが、その日から食事を摂る事すらままならなくなった。

2016-02-25 07:28:57
れめ @jnvatatg

女の心の中には、随分忘れていた自殺願望が再び芽生え始めていた。丁度その話をした翌日が精神科の診察日だったので、病院のスタッフに協力を求め、スタッフ、女、主治医の3者面談で起きた出来事をまとめて主治医に話した。その結果、女は就職活動を止めることを余儀なくされ、2度目の入院となった。

2016-02-25 07:33:59
れめ @jnvatatg

どうしても男のことが諦めきれない女は、喧嘩する前からずっと編んでいた毛糸のマフラーと、考えておきますの返事を求める手紙を紙袋に入れ、男の実家に置いてあるバイクに置いた。男に紙袋の場所を伝えなんとか返事をもらったが、恋人も友達も無理の一言のみだった。女は諦めることにした。

2016-02-25 07:40:10
れめ @jnvatatg

女は最後に一言、死んだ子供が居た事は忘れないでね、と送った。それ以来、返事も何もかもなくなった。入院し膨大な時間を持て余すようになった女は、この出来事を何度も何度も反芻して自分を苦しめた。何度も思い返しているうちに、また少しずつ女は自分を追い詰めるようになった。

2016-02-25 07:47:03
れめ @jnvatatg

女は考えた。どうして子供は死ななければならなかったのか。何故無理にでも一人で産んで育てるという選択肢を選ばなかったのか。正直怪しいと思ったことは何度もある。別居の親族なのにノンフリート等級が引き継げている、本籍地がとある田舎の市内、絶対に家に近づけない、友人に紹介しない、等々。

2016-02-25 07:52:18
れめ @jnvatatg

本籍地と等級は怪しさ満点だったが、真剣に付き合ってるから嘘をつくはずがないと思い込み、深く詮索する事も、真実を確かめることもしなかった。女は思い込みによって大事なことを見失ったことを後悔した。そして日が経ち、女はある疑問点に辿り着いた。何故男の都合で自分の子供が殺されたのか、と。

2016-02-25 08:01:13
れめ @jnvatatg

子供を亡くしてからも、男と別れてからも、疑問点に辿り着いてからも随分時間が経った。温めたフリクションペンで書いてあるような女の記憶の中には未だに子供を殺した手術のことや男の身勝手な行動が絶対に落ちないペンで鮮明に書かれている。思い出すとより鮮明になるし、動悸がし呼吸が苦しくなる。

2016-02-25 08:09:28
れめ @jnvatatg

疑問点に辿り着いてからは、好きだった感情は憎悪へと変わっていった。極極自然なことだろう。女は一生、許すことは出来ない。お金も精液も出したら全部終わりだと考えているであろう自分勝手な欲望に塗れた男の事を。女の疑問点は更に分岐していく。

2016-02-25 08:20:41
れめ @jnvatatg

何故、嘘偽りを平然と並べ責任から逃れ、新しく産まれる1つの生命をなかったことにした男はたった11万円程度の負担だけでのうのうと暮らしていられるのか。女は体(子宮)に傷まで付けられた上に、一人だけでこんなに苦しい思いをしているというのに。騙されるほうが悪いと言われればそれまでだが。

2016-02-25 08:34:12
れめ @jnvatatg

女は今でも少し気を抜くと苦しみという蟻地獄のような底なし沼に戻される。溺れ死んでしまわないように必死にもがいている。時折、明るい気分のUFOキャッチャーのクレーンに掴まれて底なし沼から抜け出すこともあるが衝撃やずり落ちですぐに底なし沼に再び入ってしまうこともある。

2016-02-25 08:47:59
れめ @jnvatatg

底なし沼の埋立工事が終わるまで、辛く苦しい憎悪の世界から抜け出すことはできないだろう。寧ろ抵抗せず溺死する選択肢もある。どのような選択をし、どのような結末になるかは誰にも分からない。 ~終わり~ ※この話は事実に基づいたフィクションです。実際の人物や出来事とは一切関係ありません。

2016-02-25 09:15:46