アニメビジネスがわかる

・増田弘道『アニメビジネスがわかる』(2005年、NTT出版)の要約 ・本書で指摘される問題に同調した現場の声 のつぶやき集
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鳥山仁 @toriyamazine

(1)『アニメビジネスがわかる』読了。都条例問題で東京国際アニメフェアに参加する・しないが話題になったので読み始めたのだが、知らない業界の内情を理解するのに四苦八苦。特に前半部分の数字の羅列は何度も読み直した。ただし、本として出来が悪いというわけではない。

2011-01-28 12:56:11
鳥山仁 @toriyamazine

(2)個人的に面白かったのが、著者の増田氏が日本の漫画とハリウッドの脚本を同等の存在(映像製作のためのネタ元)と見なしている点で、この認識は非常に優れていると思われる。どの業界でもそうだが、創作系で常に不足するのは優れた原作者と山師的な勘を持つプロデューサーだ。

2011-01-28 12:59:43
鳥山仁 @toriyamazine

(3)ただし、そのマンガ作品が詰まらなくなったという説には同意できない。昨年は意識的に漫画を読む量を増やしてみたのだが、面白い作品がかなりあった。じゃあ、何で面白い作品が売れなくなったのかというと、刊行数が増えたのとそれに伴う細分化が悪い方向に働いているからだ。

2011-01-28 13:01:50
鳥山仁 @toriyamazine

(4)その背景にあるのが各出版社の営業力の低さで、面白い作品があったとしても、それをどうやって売ればいいのかというノウハウがない。そうなると、フェチに頼った商品展開をせざるを得なくなるので、半自動的にジャンルが細分化する=読者のパイが限られるという現象が起こる。

2011-01-28 13:04:20
鳥山仁 @toriyamazine

(5)この辺は、私が一般作もポルノも同時に作っているので良く事情を知っている。商業的創作物の理想は「誰もが楽しめる作品」=全年齢向けだが、出版社がこの手の作品を出す場合、必ず「どうやって売ったら良いんだ?」という営業サイドからのクレームが付く。これは当然だろう。

2011-01-28 13:13:54
鳥山仁 @toriyamazine

(6)出版物は書店であれネットであれ、特定のジャンル・またはそのジャンルが集まった書架に置かれなければ読者の目に触れる事がない。そして、全年齢向けという大きな枠は存在するものの、そこから更に個別のジャンルに分割されねば「売り場」が確保できない。

2011-01-28 13:16:38
鳥山仁 @toriyamazine

(7)これに対してポルノは非常に単純なジャンル分けが成されており、営業も読者も書店も迷う必要があまり無い。セックス嫌いはポルノを読まないし、ポルノの中でもブルセラ好きは熟女ものは読まない。これは性的強迫観念=フェティシズムで買う・買わないが半ば自動的に決定されているからだ。

2011-01-28 13:19:36
鳥山仁 @toriyamazine

(8)これが実は、ポルノ作品=低俗というイメージを決定づけている。つまり、フェチに頼った作品=面白くないという偏見があるのだ。もちろん、だからといって、こうした批判をしている人間が売れるポルノ作品を作れるわけではない。今度はフェティシズムに精通する必要が出てくるからだ。

2011-01-28 13:22:19
鳥山仁 @toriyamazine

(9)つまり、営業力の低い出版社では、作品の面白さが売り上げを決定づけるのではなく、フェティシズムが売り上げを決定する。そして、そのフェチに関心を持たない読者は、たとえその作品が面白かったとしても、わざわざお金を出してその商品を買ってくれないのだ。

2011-01-28 13:27:42
風切快夢 (:3)刀乙 @Caim_Kzkr

@toriyamazine あー、わかりますw これが地元を題材にした作品だと、入店してすぐ目の前に展開するだけで済むから助かります。逆に営業マンが興味を持たないマイナー作品は、それに興味がある店員に仕事を任せて貰えるかどうかで売り上げはAll or Nothing.

2011-01-28 13:51:02
鳥山仁 @toriyamazine

@Caim_Kzkrそうそう。そういう事なんですよ。そして、Nothingのケースが多いと営業の心が折れちゃうんですよね。

2011-01-28 13:56:09
風切快夢 (:3)刀乙 @Caim_Kzkr

残念ながら「本屋さん」というのはあくまで販売員であり、店の在庫は把握していても全ての商品内容を理解しているわけではないのです。営業さんも含め、多くの人々がイメージするであろう「本の事なら何でも知っている人」は極めて稀です。.@toriyamazine

2011-01-28 14:14:43
鳥山仁 @toriyamazine

@Caim_Kzkr 全くもって仰るとおりです。ただ、本屋さんを「本の専門家ではない」と単純に批判することは出来ませんよね。あの量の書籍をどうやって処理するんだって話ですから。近代~現代というのは情報量が飛躍的に上昇した時代なんですが、これに対する認識が低い人が多くてねぇ……。

2011-01-28 19:38:03
風切快夢 (:3)刀乙 @Caim_Kzkr

@toriyamazine そうなのです(^^; 小さな店舗でも五千~一万冊は抱えてますからねぇ。まあ、店の看板を背負っていた頃は、ハッタリでもプロの姿を演じてましたw アマチュア気分のままでは、どんなに経験を積んでもレベルの高いアマチュアのままで、プロにはなれないと思うのです。

2011-01-28 21:56:44
鳥山仁 @toriyamazine

@Caim_Kzkr 私の年間読書量が、資料精査のためのつまみ食いとマンガを除いて100~150冊ですから、小さな書店の本を全て読むだけでも33年以上かかります。全ての内容を把握するのは絶対に無理ですね。半可通がオタク論を一席ぶっても、片端から適切な反論で撃破される所以です(笑)

2011-01-29 03:01:21
鳥山仁 @toriyamazine

(10) このような偏見を払拭するためには、増田氏も指摘しているように、ハリウッドにおけるストーリーアナリストと同等の職種が必要となる。つまり、Aというマンガ作品のフェチを一般化すれば、全年齢向けとして通用するだけの面白さがある、というジャッジが出来る能力を持った人物だ。

2011-01-28 13:48:22
鳥山仁 @toriyamazine

(11)ただし、この能力を身につけるには「何が面白いのか?」を論理的に語るための思考形態が必要とされる。私が知る限りでは、評論系の文章を書いている人間で「何が面白いか?」を論理的に語れる人間は皆無で……まあ、後は言わずもがなだよね。

2011-01-28 13:51:05