000:人物紹介
■シャオ
シャオイー・アンジュ・マーティン(16)
髪も肌も服も雪のような白を纏うアルビノの少女。
わがままでツンデレで単純。やかましい。
■クリス
クリスチャン(16)
シャオが奴隷売りから買った半ヴァンパイアの少年。
シャオの執事をしている。
明るい茶髪に赤眼。
000:プロローグ
「おい、掃除をしたそばから歩くんじゃない」 綺麗に拭き取られたガラステーブルの上を白い猫が歩くとその後ろに点々と足跡が残っていく。素知らぬ顔で悠々と体を伸ばす猫を店主が床にはたき落とすと、猫は恨みがましそうな眼で店主を睨めつけた。
2015-07-26 17:23:42「なんだ、言いたいことがあるなら言ってみろ。おっと…喋れないんだったな。忘れていたよ、悪いな」 動物相手に大人気ない冗談をかましつつ忙しなく鳥籠や水槽を動かして店内の掃除を進める店主。それを見つめていた猫は、「にゃあ」と一声をあげるとそのままふらりと何処かへ姿を消してしまった。
2015-07-26 17:25:51日が傾き、街の建物が茜色に染まり始めた頃。『あれ、にゃんこ籠にでも入れたんすか?』顔面に無数のピアスを刺した筋肉質の男が、店内にいつも見える白い姿を探して辺りを見回した。「調教師……。いや、朝はその辺にいたぞ」帳簿をつけていた店主は適当にテーブルの方を指した。
2015-07-26 17:41:08調教師と呼ばれた男は身を屈めてガラステーブルの下を覗き込む。が、そこに猫の姿は見えなかった。『…外出ちゃったんじゃないすかね?掃除でばたばたしてたし』「かもな」再び帳簿に視線を落としていた店主は興味の薄い返事を返す。『探しに行かなくて良いんですか?』
2015-07-26 17:50:09「猫は規制本能が強いから大丈夫だろう」『あのにゃんこ、ほとんど店から出たことないでしょうに』「……お前、わたしに行けと言っているのか?」ようやく顔を上げた店主に調教師はやれやれと首を振った。『他に誰がいるんすか…』「お前がいるだろう」
2015-07-26 17:58:50『え、マジで?行っていいんすか?』ぱぁ、と声の調子を上げた調教師の男に店主はあからさまに眉を寄せた。調教師の日頃のサボり癖を思えば猫探しなどに外へ繰り出したが最後、いつ帰ってくるかわかったものではない。「……くそ、煙草を買ってくるッ」『あいあいー、お気をつけてー』
2015-07-26 18:05:18「やっと見つけたぞ、クソ猫」どうせ店の近くにでもいるのだろうと高を括っていたものの、いざ探してみればどこにもその姿は見当たらない。猫のいきそうな場所など皆目検討のつけようがない為に虱潰しに街を練り歩けば、目当ての白い毛玉はこちらの気も知らずに広場の草陰からのんびりと姿を現した。
2015-07-26 19:27:50「ほら、帰るぞ」捕まえようと伸ばした店主の手をしなやかな白い四肢がすり抜けたかと思うと、猫はそのまま近くの木へと駆け上がった。手の届かない高さで猫はにゃぁ、と鳴いて店主を見下ろす。「……いい度胸だ。今日から貴様の餌に虫下しの下剤を混ぜ込んでやるからな」
2015-07-26 19:43:58『あとは、卵と小麦粉と……調味料類も切れてるものがあったっけ』今しがた買ったばかりの品が入った紙袋を両手で抱えた少年が黄昏の街を歩いている。広場が近いためか遊んでいた子供たちが別れを交わす声が遠くに聞こえ、1日の終わる前にどうにか帰ろうと早足に歩くまばらな人の影が長く伸びていた。
2015-07-26 19:20:58@applex000 通りかかった広場で木に向かって話かける人影に少年は思わず二度見した。この暑い季節に真っ黒のローブを被ったその人物は、フードを深く被っているため顔を見ることは叶わない。
2015-07-26 20:09:18@applex000 ゆっくりと近づいてみると、その人の視線の先には一匹の白い猫がいるようだった。『あはは、木に登っちゃったんですね』
2015-07-26 20:09:27@applex002 店主がかけられた声に振り返ると上等な給仕服に身を包んだ少年が柔和な笑みを浮かべていた。「…あぁ、気紛れでね。困ったものだよ(さり気なくフードを深く被り直し)」
2015-07-26 20:56:29@applex000 『お兄さんのねこちゃんなんですか?』ここからでは首輪は見えないが、手入れされた美しい毛並みは飼い猫だからだろう。『持っていてください。ぼく、木登りは得意なんです(相手に持っていた紙袋を渡し)』
2015-07-26 21:04:18@applex002 「まぁ、そんなところだ…(少年の問いにろくに返事をする間も無く押し付けられた荷物を受け取り)っ、おい!?」
2015-07-26 21:12:38@applex000 相手が止める間もなく一番低い枝に手をかけると身軽に上へ上へと登っていく。あっという間に猫がいる枝までたどり着くと猫をその腕に抱えて飛び降りた。
2015-07-26 21:19:49@applex000 結構な高さからの着地を綺麗に決めると、その足で相手へと駆け寄る。『ほら、お兄さんが心配していますよ(腕に抱いていた猫を差し出し)』
2015-07-26 21:59:33@applex002 「……いや、大したものだな(少年から猫を受け取ると片手でしっかりと抱き、預かっていた荷物を返す)」
2015-07-26 22:06:13