少年院との会話

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シャオイー(小伊) @applex002

@en_terrible 『ここで良いはず…なんですけど』「入り口、ここでしょうか?」大きな箱を持った少年と白い日傘をさした少女が少年院の建物の前に立っている。

2015-08-09 21:24:51
少年院 @en_terrible

@applex002 少年院の赤い建物は、銀色の柵で覆われていた。その柵の中央に、出入り口と思しき扉があった。その傍に武装した背の高い男が立っている。男は少女たちを見ると低い声で訊いた。 「……何か用か?」

2015-08-09 23:35:12
シャオイー(小伊) @applex002

@en_terrible 声をかけると二人は緊張した様子で背を伸ばした。『あ、あの、すみません。ここに入院しているアーヴィンと言う方にお会いしたいのですが…』

2015-08-09 23:46:30
少年院 @en_terrible

@applex002 男は門を後ろ手で引いて開けた。仏頂面のまま、顎でしゃくって入るように促す。 「……入ればいい」

2015-08-09 23:49:42
シャオイー(小伊) @applex002

@en_terrible 『あ、はい。…では、失礼します』無愛想な男にぺこりと頭を下げると、少年は不安気な少女の手を引いて建物の中へと入っていった。

2015-08-09 23:58:04
少年院 @en_terrible

@applex002 本館の正面玄関の前に、白いシャツを着た少年が座っている。顔立ちはそれなりに整っていたが、肌の色は白いというよりも蒼白で、どこか怯えたような顔をしている。

2015-08-10 00:07:16
シャオイー(小伊) @applex002

@en_terrible 少年は困っていた。てっきりアーヴィンと言う名前を伝えればその子に会えるものだと思っていた為だ。名前しか知らない自分と、記憶がない少女には見た目だけでは目的の人物がいても判断ができない。

2015-08-10 00:19:30
シャオイー(小伊) @applex002

@en_terrible どうしたものかと悩んでいれば、玄関前に座る少年の姿に目が止まった。『あ、ぼくの服!』「え?」不思議そうにする少女の手を引くと執事の少年は入り口に座る少年に歩み寄った。『すみません、きみがアーヴィンくんですか?』

2015-08-10 00:19:48
少年院 @en_terrible

@applex002 「違う」少年は首をふるふると横に振った。「アーヴィンはもうここにはいない。俺は代理で……」 彼は少女に視線を向けた。 「あんたがシャオイー?」

2015-08-10 00:26:35
シャオイー(小伊) @applex002

@en_terrible 『いない…』執事は少年の言葉に首を傾げるも、話を振られた少女はおずおずと少年に近づいた。「はい、わたしがシャオイー、みたいです。ですが…その、すみません。アーヴィンさんとお会いしたときの記憶がなくて…」申し訳なさそうに眉を下げた。

2015-08-10 00:34:13
少年院 @en_terrible

@applex002 「ない?」と少年は眉間に皺を寄せ、何か考え込む様子を見せる。 「ああ、そう……なら好都合だ」と独り言のように呟いた。

2015-08-10 00:42:51
シャオイー(小伊) @applex002

@en_terrible 「はい。それで、シャオさんをご存知のアーヴィンさんにお会いしたらなにか思い出すかも知れないと思ったのですが…。アーヴィンさんはお出かけ中でしょうか?」少年の独り言に内心疑問を感じながら、また少年自身の顔色の悪さも気にしつつ少女は首を傾げた。

2015-08-10 00:46:05
少年院 @en_terrible

@applex002 「シャオさん?変な言い方をするんだな。だってあんたがシャオさんなのに」と少年は場にそぐわず少し笑ったが、やがて先程の不安げな表情に戻った。 「いや、わからない。俺もよく、ワカラ、ナイんだけど……」少年は片言になった。彼は後ろの建物をちらちらと窺うように見た。

2015-08-10 00:52:32
シャオイー(小伊) @applex002

@en_terrible 「あ、可笑しかったですか?自分のことではないような気がして」少年に笑われると気恥ずかし気に目を伏せた。「?、中に……」いるのかと聞こうとして"此処にはいない"と先に言われたことを思い出す。それでも何故か質問が口をついた。「中にいらっしゃるんですか?」

2015-08-10 00:58:14
少年院 @en_terrible

@applex002 「入らない方がいい」少女の問いには答えず、少年は強い口調で言った。だが、その声色は威圧するようなものではなく、ひたすら真剣なだけだった。

2015-08-10 01:10:30
シャオイー(小伊) @applex002

@en_terrible 「…っ、」少年の大声に少女はびくりと肩を震わせた。『あの、ぼくたちアーヴィンくんにこれを届けに来たんです。できれば直接お渡ししたかったのですが…なにかご事情が?』それまで黙っていた執事の少年が大きなケーキの箱を差し出して問いかけた。

2015-08-10 01:17:03
少年院 @en_terrible

@applex002 「……事情?あるよ。それを受け取るように頼まれたんだ」と少年は俯き、苛立ちを発散するように自分の前髪を掻き上げた。 それから、手に持っていた白い紙を少女に向かって差し出した。 「記憶のないあんたに意味があるかはわからないけど。一応、手紙みたいだよ」

2015-08-10 01:30:55
シャオイー(小伊) @applex002

@en_terrible 事情があるなら是非その内容をと聞きたかったのだが、少年の様子をみるとどこか聞き辛くなってしまった。「わたしに、お手紙ですか?」少女は少年から渡された手紙を受け取った。

2015-08-10 01:34:27
少年院 @en_terrible

@applex002 手紙には殴り書かれたような文字でこう書いてあった。 『シャオイー。ありがとう。君に会えてよかった。またいつか会おう』

2015-08-10 11:09:19
シャオイー(小伊) @applex002

@en_terrible 少女は静かに手紙をたたむと少し考えてから口を開いた。「では、アーヴィンさんに伝言をお願いできますか? "大事なお約束にシャオさんが来られなくてごめんなさい。絶対に会いに行くから、また近い日に必ずお会いしましょう"、と」

2015-08-10 12:09:09
少年院 @en_terrible

@applex002 「……いないって、言ってるんだけどなー」と少年は宙を見上げて呟いた。彼の口調はどこか他人事。 「ま、いいじゃない、あいつもすっぽかしたんだし。どっちも都合が悪くて会えませんでしたってことで。……まあ、もしあいつが戻ってきたら伝えとくよ」

2015-08-10 12:22:54
シャオイー(小伊) @applex002

@en_terrible 少女は少年の言葉に大きく頷くと花のような清楚な笑みを浮かべた。「はい、よろしくお願いします。あ、あの…あなたのお名前をお伺いしても良いでしょうか?」

2015-08-10 12:39:21
少年院 @en_terrible

@applex002 少年は少女の笑みを見て、一瞬きょとんとした。それから少し考えて、ふいと顔を背ける。 「パーシヴァル。姓はスチュアート」

2015-08-10 13:02:06
シャオイー(小伊) @applex002

@en_terrible 「パーシヴァル…パーシーさんですね。では、これはパーシーさんに預けますから皆さまで食べてくださいね。きっとアーヴィンさんもそのつもりでこんなに大きなケーキを頼んだんでしょうし」『気をつけて、結構重たいですよ』少年が大きなケーキの箱を相手へと差し出す。

2015-08-10 18:23:28
少年院 @en_terrible

@applex002 「ああ……ありが…………結構重いな」パーシーは少年からケーキを受け取り、取り落としそうになって膝で支えた。 「ありがと。なあ……もしアーヴィンに会ったら、助けてやってくれる?」

2015-08-10 19:44:30