親切な赤毛の人

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シャオイー(小伊) @applex002

@amberxcopal 「ご主人さま、ですか」ぱちぱちと相手をつぶらな瞳で見上げる。自身にも執事がいるはずなのだが歳が近く彼に関する情報もほとんど持ち合わせていないいまの少女には従者という発想には至らず、配偶者を指すのかな、と内心で考えた。

2015-08-24 22:20:26
シャオイー(小伊) @applex002

@amberxcopal 旦那に良く買い物を頼む奥さん的な。相手の歳も考えると見た目に寄らず嬶天下な家庭の旦那さんなのかな、と思い至ったところで少女は不安になった。

2015-08-24 22:20:45
シャオイー(小伊) @applex002

@amberxcopal そんな奥さんを持つ男の人を連れ回してしまっていいのだろうか。 「……わたしアンバーさんと一緒にいて大丈夫ですかね?大事に至りませんか?」 少女が心配しているのは相手の家庭事情であって少女自身の身ではない。

2015-08-24 22:20:56
鉱物商 @amberxcopal

@applex002 少女の思考を辿れなかった男は、自分が誰かといることでご主人様に怒られることを危惧してくれているのかと勘違いを果たした。何しろ男にとっては主人と言えば特殊性癖の関係性が一番馴染みがあるのだから。少女を安心させるように深く頷いてみせる。 「大丈夫ですよ。

2015-08-24 23:00:16
鉱物商 @amberxcopal

@applex002 寧ろ困っている方がいるのに放っておいたら、そっちの方が怒られます。…………まあ、手を出しでもしたらそれはそれで何か言われるかもしれませんけど。」 最後の一文は、殆ど口内で呟かれたしこの喧騒の中だ。聞こえはしないだろう。

2015-08-24 23:00:30
シャオイー(小伊) @applex002

@amberxcopal @amberxcopal 最後、聞き取れなかった部分はそのまま聞き流すことにした。「まぁ!とても寛大な方なんですね!でも、わたしのような若い娘と一緒にいると知ったらきっと気が気ではありませんよ!」

2015-08-24 23:15:17
シャオイー(小伊) @applex002

@amberxcopal 「ふふ、手痛いお仕置きが待っていても、わたしの所為にしちゃダメですよ」乙女心はいつだって複雑なんですから!と奥さんの心情を思ったが、乙女と形容して失礼にあたる高貴な方だったらと思い直し最後の言葉は飲み込んだまま。

2015-08-24 23:15:23
鉱物商 @amberxcopal

@applex002 少女の返答を聞き、ますます男は勘違いを深める。気持ちとしては“なんて理解のある子なんだろう”と言ったところだろうか。 「ええ。とても寛大でたまにとても心の狭いところを垣間見せる素敵な方です。…それにね、」

2015-08-24 23:56:04
鉱物商 @amberxcopal

@applex002 「お仕置きなら痛くなくちゃ意味がないじゃないですか。大丈夫ですよ、慣れてますから。」 店を探すために目を逸らしながら言った台詞だったが、目当ての店が見えないことから不安そうな響きが乗り、DVに悩む夫の台詞と聞こえなくもなさそうだった。

2015-08-24 23:56:07
シャオイー(小伊) @applex002

@amberxcopal 「……!」 男の複雑な表情と声色に少女は息を呑んだ。なんだか思っていたよりも複雑なご家庭なのかもしれない。この優しい人は奥さんの強すぎる愛に応えようと我慢を重ねているのかもしれない。 「わ、わかります!アンバーさんのお気持ち!」

2015-08-25 12:12:36
シャオイー(小伊) @applex002

@amberxcopal 「相手が自分のことを考えてしてくれることはなんでも嬉しいものですよね」 ……でも、それじゃあ永遠にお互いの気持ちはすれ違ったままになってしまう、とは思いつつも若輩者の自分が安易に意見するべきではないような気がして口に出すのが躊躇われた。

2015-08-25 12:13:01
鉱物商 @amberxcopal

@applex002 「…そう!そうなんです。だからどんなことされても離れる気になんてならないんですよねぇ。」 なんて性癖に理解のある子なのだろうか。店が見つかった嬉しさも手伝いふわりと嬉しそうな微笑みが溢れた。 「ほら、着きましたよ。ここ、」 男が指差した先には、

2015-08-25 21:47:12
鉱物商 @amberxcopal

@applex002 周りより少々小さめの店構えをした建物があった。それでも窓から覗ける店内はアンティーク調で纏められある種の高級感を漂わせていたし、店前にはプランターに綺麗に揃えられた花さえ咲いている。一見さんお断り。そんな雰囲気の店だった。

2015-08-25 21:47:16
シャオイー(小伊) @applex002

@amberxcopal 「…、」暴力を振るわれて困っているにもかかわらず、相手のことを思うだけでここまで嬉しそうに笑うことができるなんて……なんて純粋で優しい人なんだろう!少女は衝撃を受けた。「アンバーさんが羨ましいです。わたしには、まだそういう相手はいませんから」

2015-08-26 00:02:25
シャオイー(小伊) @applex002

@amberxcopal 何をされても無条件に許せるほど深い愛を誓い合った二人なのだろう。もしかしたら他人の価値観など二人にとってはなんの意味もないことなのかもしれない。少女は下手に口を挟むより、二人の関係が良好になるよう心の中で祈ることを選んだ。

2015-08-26 00:02:42
シャオイー(小伊) @applex002

@amberxcopal そうこうしているうちに相手の声に視線をあげれば、こじんまりとした雰囲気の良いお店。「た、高そう……!」素直な第一印象が漏れた。

2015-08-26 00:02:48
鉱物商 @amberxcopal

@applex002 そういう相手…詰まるところこの少女は、この“特殊な性癖に理解のある少女”は、自身もそういった闇を抱えているにも関わらず、まだ望む関係を気づくことが出来る“パートナー”に出会えていないということか。男はこの街に来てから初めて見せるかもしれない程に真剣な顔で

2015-08-26 21:47:27
鉱物商 @amberxcopal

@applex002 少女の肩に手を置き、ゆっくりと一度頷いた。 「大丈夫ですよ。貴方にもきっと良い出会いがあります。」 それこそ迷える少女を導くのは年長者であり経験者である自分かもしれないなと、妙な使命感を覚えさえした。

2015-08-26 21:47:34
鉱物商 @amberxcopal

@applex002 だが、今は水着である。そう、水着を買いに来たのである。まずは少女が望むものを買い与えよう。 「大丈夫です。ここは僕の良く知る人がやってるお店でして。腕は確かなんですけど偏屈で気に入った人しか客にしたくないってやってるお店なのでこんな雰囲気なだけですから。」

2015-08-26 21:47:53
鉱物商 @amberxcopal

@applex002 男が扉を開け少女を中へエスコートすると、民家と殆ど変わらない内装の室内の真ん中に大きな作業台が置かれていた。その前の椅子に年嵩の女性らしき姿が見える。女性は目の前の布から顔さえ外さずに 『なーにー?お客さーん?何をお求めなのー?』 ハスキーな声で問い掛けた

2015-08-26 21:48:10
シャオイー(小伊) @applex002

@amberxcopal なんて、なんて誠実で優しい人なんだろう!自分の境遇の方が大変なのに、他人であるわたしの身を真剣に思ってくれるなんて!と、感動するも今は水着である。「そうなんですね。ふふ、なんだかこだわりの一着が手に入りそうです」

2015-08-26 22:10:47
シャオイー(小伊) @applex002

@amberxcopal 男に促され店内に足を踏み入れる。実際に中に入ってみれば細部にまでセンスの良さが詰め込まれているようだった。店主と思わしき女性に少し緊張したように答えた。「あの…お友達と海に行こうと思って、水着を買いに来たんですけど」

2015-08-26 22:11:25
鉱物商 @amberxcopal

@applex002 女性らしき人影は長いブロンドの巻き髪を後ろに流し振り返った。長い睫毛がスカイブルーの目元に色気を纏わせる妖艶な美女といった風体が、目つきの悪さで半減していた。しかしそれも一瞬で引っ込んだ。椅子を蹴飛ばす勢いで立ち上がる。その身長は赤髪よりも高かった。

2015-08-26 22:41:32
鉱物商 @amberxcopal

@applex002 『っんまー!何よ!今日はいつにも増して別嬪さんを連れてるじゃないのっ!』 赤髪が「いやぁ」と頭を掻く。金髪の女性らしき人影は少女の前で膝を折った。 『水着ねっ!どんなのが良いの?』 うきうきとした様子で少女の肢体を眺めている。

2015-08-26 22:41:35
シャオイー(小伊) @applex002

@amberxcopal わぁ、美人さん。そう思った瞬間、ものすごい勢いで目の前までやってきた女性に目を丸くして「えっと、」と言葉を詰まらせた。なんだかすごくイメージと違う!…だけど、悪い人ではなさそうだ。

2015-08-26 22:57:56
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