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@amberxcopal 「はい、まだ決めかねているんですけど、なんとなくシンプルで大人っぽいものがいいなぁって。あ、でもわたし胸元が寂しいのでフリルでごまかせると嬉しいです!」少女はふわりと微笑むと店主の問いに正直に答えた。
2015-08-26 22:58:04![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@applex002 『ふむふむ、胸元がねえ?』 金髪はちょっと御免なさいねと悪びれもせずじっと少女の胸元を見つめ、目を徐々に細め、パッと開いた。スナッチを響かせ人差し指で控えめな丘を指差し、 『大丈夫!私は好みよ♡』 何の慰めにもなり得ない台詞を吐いた。
2015-08-27 17:29:38![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@applex002 それを聞いて慌てて赤髪が二人の間に入った。 「シャオさんを気に入って貰えたのは嬉しいんですけど!……“今日は”本当に水着買うだけで帰りますからね?」 ある種の使命感を持続させている故に吐かれた言葉だったが、いつもなら押し売りに負けているから
2015-08-27 17:29:44![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@amberxcopal 「まぁ!ふふ、ありがとうございます」金髪の言葉に少女は嬉しそうに笑ったが、慌てて間に入った男に目を瞬かせる。今日は、という強調された言葉が引っかかる。いつもは目当ての物を買うだけでは済まないのだろうか。あ、と少女は閃いた。
2015-08-27 22:01:18![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@amberxcopal もしかしたらこの男が受けているDVは金銭的な面にも及んでいるのかもしれない。今男が手に持っている日常品の買い物やこういう奥さんの為の服屋でさえその少ないお小遣いをはたいて毎日をギリギリのところで生活しているのかもしれない。よく見れば男は細身だ。
2015-08-27 22:02:10![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@amberxcopal 身なりの良さそうな格好だったために気がつかなかったが充分あり得る話だ。それなのに自分のような見ず知らずの女の子に道を聞かれたばっかりに、女の子の好きそうな店をと気を利かせてこんなに高そうなお店に連れてきてくれたのかもしれない。
2015-08-27 22:02:56![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@amberxcopal これだけセンスの良いお店だ、男だって見れば欲しくてたまらなくなる服の一着や二着あるだろう。まさに据え膳。その中で自分だけ欲しい物を買うなんて!「アンバーさん!」相手の底知れない気遣いに少女はもはや黙ってはいられなかった。
2015-08-27 22:03:20![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@amberxcopal 「大丈夫です!わたしアンバーさんの好みのものを買いますから!」自分は貴族である。一着や二着、相手の服を買ってあげるくらいお礼のうちにも入らない。
2015-08-27 22:03:26![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@applex002 “アンバーさんの好みのものを買いますから”…少女は今確かにそう言った。これはどういうことなのか。少女が貴族であることも、互いがどれだけすれ違っているかも知らない男は、ここでもまた都合の良い解釈をしてその溝を広げていった。即ち…、
2015-08-28 06:48:27![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@applex002 この“特殊な性癖に理解のある少女”は自分の好みに染まりたがっている、つまり自分に少なからず好意を向けているのではないかと考えたのだ。一体どのタイミングで感情変化が起こったのかは定かではないが、これだけ真摯な視線を向けてくるのだ。まず間違いはないだろう。
2015-08-28 06:48:43![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@applex002 人のものほど欲しくなるという困った悪癖も兼ね備えている。目の前の少女のたった今の一言は赤髪との関係をかなり濃厚なものと想像させるに十分だった。例えばそう、恋人に近い関係かと勘違いしたわけだ。他人のものである好みの少女。金髪が興味を抱く理由には十分過ぎた。
2015-08-28 06:49:38![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@applex002 以上を踏まえ、場面を店内に戻そう。 「本当ですか?ありがとうございます。それなら飛び切り可愛いものにして貰わなくてはいけませんねぇ。」 と、すっかりその気の赤髪が答え、 『あら、優しいのね♡久し振りに張り切っちゃおうかしら♡』 金髪がにっこり微笑んだ。
2015-08-28 06:50:13![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@applex002 赤髪が勘違いを引き起こしたように、金髪もまた勘違いをしたようだった。実はこの金髪、何を隠そう男である。その絶世の美女と見紛う容姿と裁縫の腕を駆使し、好みの人間を連れ込んでは綺麗に着飾らせることに心血を注ぐタイプの変態だ。そして困ったことに、
2015-08-28 06:49:17![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@applex002 少女の目から見れば、奥さんの目を盗み自分好みの“可愛いもの”を求めることが出来ると喜ぶ少々風変わりな赤髪と、そんな男に理解があり、共にその幸運を喜ぶ金髪……に見えなくないかもしれないがどうだろう。
2015-08-28 06:50:45![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@amberxcopal 「可愛いの、ですか?」男の人が自分の身に付けるものに可愛さをもとめるなんて、と思わず相手の言葉を聞き返したが、何の疑問もなく賛同する金髪を見て少女は考えを改めた。いや、趣味は人それぞれ。他人にとやかく口を出す権利もなければ必要もない。
2015-08-29 17:44:06![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@amberxcopal 更に言うと相手のそのかわいいものが好きという趣味さえ奥さんには否定されていて自由に手にできないのかもしれない。それなら自分がやることは一つだ。彼の気に入ったものをわたしが買ってあげよう。「はい!是非、アンバーさんの趣味全開で選んでください!」
2015-08-29 17:44:26![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@applex002 「!僕の趣味全開で良いんですね!…いやぁどれにしようかなぁ、」 でれでれとした顔とはこういう顔を言うのだろう。その見本のような顔をして後頭部を掻き赤髪は勝手知ったるとクローゼットへ向かった。金髪がこっそり少女へ話し掛ける 『随分気前良いこと言うのねえ。』
2015-08-29 22:27:37![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@amberxcopal @amberxcopal ずいぶん嬉しそうに服を選びに行った相手に少女も申し出て本当に良かったと頰をほころばせた。金髪に声をかけられると驚いたように慌てて首を振る。
2015-08-29 23:21:09![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@amberxcopal 「弱みだなんてとんでもないです!アンバーさんみたいな良い人が喜んでくれるならこれくらい安いものです!……というか、こんなことしかできないんですけど……」そうだ、ここで彼に服を買い与えたところで根本的なことは何一つ解決しないのだ。そう思うとやはり気が沈む。
2015-08-29 23:22:12![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@applex002 『でも、アンバーを喜ばせたいならもっと手っ取り早い方法があるわよ?貴方も可愛い水着を着て彼に見せてあげるの♡試着もしなきゃいけないし、一石二鳥だと思わない?♡』 金髪はさり気なく試着室として使っているであろうもう一部屋へ少女を誘おうと背を押した。
2015-08-30 23:19:20![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@amberxcopal @amberxcopal 「み、見せるんですか!?」元々自分の水着を買うために来たのだから水着を選ぶことに異論はないが、試着した姿をこの場で誰かに見せるつもりなんて微塵もなかった少女は金髪の言葉に真っ赤になって首を振った。
2015-08-31 19:12:27![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@amberxcopal 「そ、そんな!お見苦しい姿をアンバーさんに晒しても仕方ないですよ!」背を押されて歩きながらやっぱり男の人は女の子の水着姿を見るのは嬉しいのだろうかと考えてみるが、どう考えたって会ったばかりの人にほとんど裸に近い水着姿を見られるのは恥ずかしい。
2015-08-31 19:12:56![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@amberxcopal 「お礼が足りないようでしたら後で他にも……してあげようと思ってますから」頬を染めて俯き加減に言う少女を見て、他人がまるで違う何かを連想してもおかしくはないだろう。
2015-08-31 19:13:02