「ブレイク・ザ・ケージ・オブ・ゴッドスピード」

スピードの向こう側、その先に何が待つのか
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Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「!」島風は驚愕の表情を浮かべる。「思ッタ通リ」スピードデーモンは笑おうとし「イヤーッ!」吹雪がチョップ突きを仕掛ける!「イヤーッ!」だが、スピードデーモンの姿が一瞬で消失する!「な、グワーッ!?」驚く暇も無く、吹雪は右脇腹に衝撃を受け吹き飛ぶ! 16

2016-04-23 19:42:53
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「アブナイ奴メ」ハイキック姿勢で再出現したスピードデーモンがそう言った。吹雪は空中でウケミを取り、着地する。島風は興味深げな眼でスピードデーモンを見た。「今のは」「…ドーモ、艦娘・吹雪です」立ち上がった吹雪はスピードデーモンへアイサツした。「何だ、今のは…」 17

2016-04-23 19:50:00
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「ナンダ、カ」スピードデーモンの姿が消え、吹雪の前に現れる。「イヤーッ!」吹雪は反射的にチョップを繰り出すが、再びスピードデーモンの姿が消える!今度は背中に衝撃が襲い掛かる!「グワーッ!」ハイキック姿勢で出現するスピードデーモン!「ゴ覧ノ通リダ。私ハ速イ。ソレダケダ」 18

2016-04-23 19:55:23
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「私ハ速イ。誰ヨリモ。ソウ、誰ヨリモダ」蹴り足を元に戻し、スピードデーモンは島風の元へ歩み寄った。「ソレガ私。スピードデーモン。迅速ノ悪魔」スピードデーモンは島風を指差す。「故ニ、私ハ私以外ノ最速ヲ許サナイ…勝負ダ、艦娘!」「断る、って言えば?」島風は問うた。 19

2016-04-23 20:04:42
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

その質問を聞き、スピードデーモンは邪悪な笑みを浮かべる。「安心シロ。オ前ニソノ選択肢ハナイ」「えっ」スピードデーモンの姿が消える。そして再出現したスピードデーモンを見、島風は憤怒の形相を浮かべた!「お前!」「断ッタ場合、コイツヲ縊リ殺スダケヨ」「お前ェーッ!」 20

2016-04-23 20:16:23
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

おお、見よ!スピードデーモンが小脇に抱えたその艦娘を!天津風を!ナムサン!何たる狡知か!彼の者は天津風と島風が親しい関係にあることを見抜いていたのだ!島風は射殺さんばかりにスピードデーモンを睨み、構えた。「天津風ちゃんを…離せ!」そして走り出す!スピードデーモンも消失! 21

2016-04-23 20:20:13
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」一瞬の内に、出撃ドックは色付きの嵐吹き荒ぶ戦場と化す!「こ、これは…」吹雪はカラテを構えながら呻く。目で追えぬのだ…このイクサが!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」 22

2016-04-23 20:23:24
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」2色の嵐は渦巻き、拮抗し、弾き合い、やがて海へと飛び出していった。「……」吹雪は次に取るべき行動を思案する。((追うべきか…いや、私が追っても蚊帳の外になるだけだ…『焔矢』で追いつくことこそできるだろうけど…)) 23

2016-04-23 20:27:27
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「うう…」その時だ。吹雪の傍から呻き声が聞こえたのは。吹雪は反射的に声の主を見た。見れば、夕張が難儀そうに起き上っている。「一体、何が」「夕張=サン!」吹雪は夕張を助け起こす。「吹雪ちゃん…?一体、何が」「敵襲です」吹雪は端的にそう言った。「島風=サンが迎撃に」 24

2016-04-23 20:32:23
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「…島風ちゃんが!?」島風の名を聞くなり、夕張は焦燥に駆られたように駆けだそうとし、しかしすぐに膝を突いた。「ぐぅ…!」「夕張=サン!」吹雪は夕張の傍にしゃがみこんだ。「無茶しないでください!」「貴方にだけは言われたくないわ…」夕張は吹雪を見、笑おうとした。 25

2016-04-23 20:38:16
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

夕張はもう一度立ち上がろうとする。「島風ちゃんが戦ってるなら、行かないと」「……」吹雪は夕張の言葉を待った。夕張は独白めいて言葉を続ける。血を吐く様に。「確かに私はあの子を助けた…助けたけど!あの子はもう普通の女の子として生きられない!私が、私がそうしてしまった!」 26

2016-04-23 20:41:14
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「私が、私がそうしてしまったんだ…あの子を戦う為に最適化してしまった…」夕張は立ち上がろうとして、再び崩れ落ちた。吹雪がその体を支える。吹雪の肩を借り、譫言めいて夕張は言葉を紡ぎ続ける。「いつだってそうだ…私は自分の行動が何を起こすのか、何もわかってない…何が天才よ…」 27

2016-04-23 20:46:14
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「意外ですね」吹雪はただそう呟いた。「えっ」「夕張=サン、研究の為には人命を省みないタイプなのかと」「それは…」「葛城中将が聞いたら「なら俺は!?」って怒りそうですけどね」「あの人キョンシーだし大丈夫じゃない?」夕張は極めて自然にそう言った。吹雪はその誤解を訂正しなかった。 28

2016-04-23 20:48:50
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「と言うか」吹雪は夕張を見て、言った。「聞けばいいじゃないですか」「えっ」「どう思ってるのかって。自分の事を」夕張は目を見開いた。吹雪は優しく微笑んだ。「相手が何を考えているかなんて、聞かなきゃわからないですから」そう言い、吹雪は足元に寄り添う3匹の連装砲達に気付いた。 29

2016-04-23 20:58:57
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「貴方達も置いて行かれましたか」吹雪が1匹を担ぎ上げる。連装砲達はキューと鳴き声を上げた。「分かりました、行きましょう」吹雪は出撃ドックの外に停泊した『焔矢』を見た。「一緒に」吹雪は連装砲達を連れて歩き出そうとした。「待って」それを夕張が呼び止めた。吹雪が振り向く。 30

2016-04-23 21:02:20
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

夕張は一瞬気後れした。吹雪の表情は戦士のそれに変わっていた。夕張は、吹雪が何故『死神』などと呼ばれているのか、その一端を知った。「30分だけ時間を頂戴」「何をするんですか?」吹雪は問う。夕張は不敵に笑った。「頑張ってるあの子に、私にできる精一杯のプレゼントを作るのよ」 31

2016-04-23 21:04:17
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

1時間後、南西諸島防衛線程近く!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」 33

2016-04-23 21:07:03
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

南西諸島防衛線に色付きの嵐が強く吹き荒れる!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」島風とスピードデーモンは下半身を走行姿勢で固定しながらカラテラリーの応酬を繰り広げる!島風は両手!スピードデーモンは片手で!「「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」」 34

2016-04-23 21:12:38
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

((は、速い!?))島風は内心冷汗をかき続けていた。スピードデーモンのカラテはあまりにも速い!両手でのラッシュが片手で往なされ続けているのだ!「イヤーッ!」島風は右チョップを放つ!「イヤーッ!」スピードデーモンは弾く!「イヤーッ!」次は左ジャブ!「イヤーッ!」これも弾く! 35

2016-04-23 21:17:55
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

((速さでは互角の筈なのに…!))島風は歯を食いしばる。スピードデーモンに抱えられ続ける天津風を見る。((ゴメン、天津風ちゃん…もう少しだけ待ってて!))「イヤーッ!」島風は勝負を決めるべく、前後から挟み込むようにクロスチョップを繰り出した!((これでバランスを崩せば!)) 36

2016-04-23 21:23:54
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

だが、島風の目論みは一瞬で崩れ去った。「タオキン!」不可思議なシャウトと共に、スピードデーモンの全身から紫色の粒子が放出され…おお、おおゴウランガ!スピードデーモンの姿が消えてしまった!((何が!)) 島風は急停止し、スピードデーモンの姿を探そうとした。「イヤーッ!」36

2016-04-23 21:35:19
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

スピードデーモンのカラテシャウトが聞こえたと同時に、島風の体は宙を舞っていた。「えっ」そして海面に叩き付けられる!SPRAAASH!「ンアーッ!」海面をブザマに転がる島風を、誰かが踏み止めた。「イヤーッ!」「ンアーッ!」島風は見上げる。そこにはスピードデーモンの姿があった。 37

2016-04-23 21:41:43
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「遅イ遅イ」踏みにじり、スピードデーモンは笑った。「一体、何が…」島風は呻く。紫色の粒子を霧散させ、スピードデーモンは島風の言葉に応えた。「コレゾ我ガタオキン・ジツ。己ノ時間流ヲ加速サセルジツダ」ナムサン!何たる不可思議かつ強力なジツか! 38

2016-04-23 21:54:40
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「素晴ラシイジツダロウ?私ガ名ト共ニ神カラ賜リシ寵愛ガ一ツサ」スピードデーモンはしかし、そこまで行って笑みを消した。「ダガ、身ニ余ル寵愛モ困リモノダ。タオキンヲ纏ウ度、私ノ時間流ハ狂ッテイッタ」そう言ってから、スピードデーモンは2秒ほど静止した。「……今ハマダ数秒ダガネ」 39

2016-04-23 21:59:44
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