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あと、近代化が脱埋め込みであり工場労働の細分化、分業化であり、結果、そうして生まれた単純労働を機械が担えることになったなら、今度起こるのはその逆で、たとえば職人技芸的なものへの回帰と付加価値化だったりして?
2015-12-02 15:36:21話を戻して
@okisayaka デカルトの時代に動物イコール機械ですか?デカルトと『動物機械論』のラ・メトリくらいだったと思うのですが、どうなのでしょう。
2016-04-21 11:15:50.@L0_GI たしかにデカルトの見方自体はラディカルすぎて当時論争を呼びましたが、machineという語のイメージが今と違ってたんだなあ、ということを言いたかったのです。パーツの寄せ集めから構成され、刺激で動くなら「機械」で、材質を問わない。
2016-04-21 11:24:05ちょっとデカルトの極端とされる立場を一般化しすぎた言い方になりました。ただ、machineで示される対象の範囲がかなり違うということを言いたかったんです。からくり人形はmachineですし、あと梃子などはmachine simple twitter.com/kunisakamoto/s…
2016-04-21 11:27:30(承前)かつては部品(単純機械 machine simple)の寄せ集めで外界からの刺激に反応して動くなら「機械」(複雑機械)であり「(魂がないとすれば)動物もそうだ」になった。でも今の「機械」はその定義の上に「精密さ」など別の意味を帯びてない? @kunisakamoto
2016-04-21 11:36:0518世紀までだと金属加工技術が発展し切れていないので、機械 machineの語で連想されるものはどうしても違ってしまう。ただ、「魂がない」「生気的でない」あたりのニュアンスは連続してるのだろうし、普通はその部分が重要なのだろうけど(だから今でもデカルトが論点として取り上げられる)
2016-04-21 11:45:23あと気になるのは日本語の「機械的」と欧州言語のmechanical(英)、mécanique(仏)の意味のズレで、後者が「力学的」と訳されることも多いことからもわかるように、当然意味の範囲がずれてる。
2016-04-21 11:48:04時計の精密部品みたいなイメージでmécanique, mechanicalだし機械的、ってことで中心的な意味は重なるのだけど、日本語の方は電子的な部品も含めて「機械的」と表現したがる印象がある(ぐーぐるで画像検索すると面白い)
2016-04-21 11:51:38@okisayaka 世界というmachinaであれ、人体というmachinaであれ、そこには目的性があり、その目的性の源泉にはそれらをデザインした神がいる。で、神の機械だからそれらはむっちゃ精密…というか精巧やねん。この理路が17世紀には強い気が(この返答でいいかは謎)
2016-04-21 11:58:02ああ、確かにそれはそうですね。だから「時計細工師の神」をいうわけだし。では「神の作った機械の精密さ」がさほど意識されなくなり、「人間の作った機械の精密さ」にばかり心奪われるようになった時点があるということなのかな。 twitter.com/kunisakamoto/s…
2016-04-21 12:02:07@kunisakamoto 結局、17世紀的言語世界ではあらゆるものがアナロジー的にmachine(装置であり、部品の寄せ集めであり)って理解でよい?
2016-04-21 12:05:24@okisayaka うむ。17世紀というより、古代にmachinaという単語が自然世界に転用されたとき、まず宇宙全体に適用されたことが重要だったかも(「(世界)機構」と訳される)。初期近代はこの全体的比喩を局所化して人体なるmachinaという用例を抽出したという側面がある。
2016-04-21 12:13:09.@kunisakamoto なるほど、machina mundiというやつかな。初期近代における人体に対する用法のことは知らなかった。ありがとう! ひとまず古代世界から神学を通って中世にいたり、初期近代で比喩の変化があり、更に工業化を経て変わり…という壮大な流れを受信した
2016-04-21 12:28:12@okisayaka デカルトは『規則論』に見られるように当時学問的には低い位置にあった「職人(技師)階級の知識」の身分を向上させることに腐心した人物で、そこに言う「機械的」はリベラル・アーツに対立するメカニカル・アートにおける意味です。職人はデミウルゴスの神の力をもつわけです。
2016-04-22 00:08:29@okisayaka また、文化史的に「時計」は「時間を支配するもの」であるため「生命」と連関して「心臓」(生命の座)の比喩ともなり、時計職人の技術により理解されるようにして理解可能であるため、「生命」そのものを「霊魂」という何か自律的で不明なもので説明する必要はないわけです。
2016-04-22 00:11:34@okisayaka 加えて、「時計」は特に「航海術」などに利用されることによって、(大げさに言えば)「世界征服」にもつながる道具であるために、正確に時を刻む時計の制作が競われたわけですから、当時はとてつもなく優れた技術の典型だったわけですね。ルネサンス技術の伝統の上にあります。
2016-04-22 00:14:38@nyan_cor ご解説ありがとうございます。各々のキーワードごとに美しい連環があるのを改めて感じました。確かに「時間は神が作り出すもの」であり、だから時計職人と重なるのでもあり、そして生命の時間を刻む心臓ともつながってくる。
2016-04-22 13:21:23@nyan_cor 私が印象に残っていたデカルトの機械への言及は確か犬が出てくるシーンだったのですが、そういえばメカニカル・アートの再評価自体、彼と同時代人の関心事だということを改めて思い出しました。ありがとうございます(この場合の"メカニカル"は製作者の意味合いを感じますね…)
2016-04-22 13:23:45@okisayaka そうですね、「製作者」の意味合いが強く、例えば、デカルトが『省察』で「原因」を頼りに神の存在証明を行うときにも「作用因」しか認めませんが、明らかに「製作」という意味で用いています。また、この時代の「実験」は何よりも職人工房の協力により成立していましたしね。
2016-04-22 13:45:09@nyan_cor それを考えると、« mechanical »の背景に神や人(職人)が透けて見えるかのような気になりますね。同じ「魂のない機械人形」を言う場合でも、その背景に何を見るかでかなり印象が違ってきそうです。
2016-04-22 15:36:58@okisayaka 状況としては、「感性」の働きとされるのものの一部について、膨大な「論理」(計算)に編纂する方法が見つけられつつある、ということですよね。
2016-04-21 11:52:50@okisayaka mechanicalの訳語は微妙で、私より少し年齢が上の技術系の翻訳者は、第一選択で「力学」の方という方が結構いらっしゃいます。「最近の翻訳者は何も考えずに「機械的」にする」というグチを耳にしたことがあります。
2016-04-21 11:58:37