【ミイラレ! 青行燈のこと】

リメイク版な。不可思議な存在、怪異が押しかけてくるお話です。
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鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

四季は怪異と縁が深い。なにしろ、人間の友人よりも怪異の友達の方がはるかに多いくらいだ。それが実生活に役立っているかはまた別だが。「そこのところはもっと自信をお持ちになられてもいいと思いますがね。最近の人間というものは、我々に気づきすらしない連中が多すぎる」26 #4215tk

2016-04-26 20:52:15
ゴリラ入間 @saiteiyarou2

四季くん、人より怪異の友人が多いのヤバい #4215tk

2016-04-26 20:54:58
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

やや愚痴っぽく言葉をこぼす。どうやら怪異を認識できる人間というのは減りつつあるらしい。四季には理解しがたいことではあるものの、彼女以外の怪異からもそうした話題が出ることがあった。「その点、四季殿は肝も据わっている。現にあたしとこうして世間話ができていますし」27 #4215tk

2016-04-26 20:56:13
ゴリラ入間 @saiteiyarou2

怪異が衰えたのか、人間が鈍感になったのか #4215tk

2016-04-26 20:58:32
ニックリストはクレストを支持します @nj_blacklist

テックによりスピリチュアルの文化は離れたのだなあ #4215tk

2016-04-26 20:59:41
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

肝が据わっているというよりは、怪異と接しすぎたせいで慣れてしまったというのが正しいんだけど。そう思いつつも、四季はその言葉を飲み込んだ。言ったところで相手の目的が変わるわけでもない。「とにかく、そういう理由で協力してほしいと」「ええ、その通りで」28 #4215tk

2016-04-26 21:00:07
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

答えてから、巡はやや思案の素振りを見せる。「付け加えるのであれば、個人的な興味ですかねえ」「え?」「いえ、あたしこう見えても青行燈なもので。近頃の怪談に語られるような新世代の怪異にも興味があるんですよ。四季殿の側にいれば、そうした連中も寄ってくるでしょう」29 #4215tk

2016-04-26 21:04:20
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

まあ、確かに。四季の場合、町を歩いているだけでも由来のわからない怪異と出会うことは多い。「そういうのも百鬼夜行に入れたいってこと?」「いえ、単純な知識欲と言いますか。あたしは怪談の類が好きでしてねえ」「ふうん」どことなく楽しげに言う巡。変な怪異だ。30 #4215tk

2016-04-26 21:08:14
ゴリラ入間 @saiteiyarou2

百鬼夜行に新しい怪異ねぇ?人面犬とかはいてもおかしくなさそう。 #4215tk

2016-04-26 21:11:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

怪異というのは怪談の主役みたいなものだと思うのだが、彼女にはなにか別の意味があるのだろうか。四季がぼんやりと考えているうちに、巡が唐突に手を打った。「おっと、話が横道に逸れましたね。改めてどうです四季殿。山ン本組の復興に力を貸してはいただけませんか?」31 #4215tk

2016-04-26 21:12:11

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

さて、話が元に戻ってきた。鬼女の目を見つめながら四季は思案する。いったいどうしたものだろう?仄暗い空間の中に沈黙が流れる。「……ま、もっとも。あたしとしては引き受けてくださるまで粘り続けるつもりでいるのですよ」それを破ったのは巡だった。四季は無言で耳を傾ける。32 #4215tk

2016-04-27 20:46:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「四季殿は人間にしては聡い方のようですので、もう気づかれておいででしょうが……ここはあたしの結界の中です。即席ですけれどね」その言葉に四季が驚くことはない。なんとなくではあるものの、空気の違いから察することはできていた。そして、彼女が続ける言葉にも予想がつく。33 #4215tk

2016-04-27 20:51:24
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「ええ、まあ、そういうことです。貴方が首を縦に振ってくださるまで、ここから出すつもりはございません」あっさりと言ってのけた鬼女は、その口を笑みに形に歪めた。「申し訳ありませんが、手段は選んでられませんのでね。確実に勝てる手を打たせてもらいました」34 #4215tk

2016-04-27 20:54:05
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

四季は何も言わない。少しだけ眉間にしわを寄せ、黙って巡の顔を見やるだけだ。「……とはいえ、です。あたしとしてもこのままずっと長考されるのを眺めているつもりはございません。何度も言うようですが、山ン本組の復興のためならばあたしはなんでもします。例えば」35 #4215tk

2016-04-27 20:58:13
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

とん、と巡が扇子で軽く床を打つ。瞬間、打たれた点から波紋が広がるようにして光が走った。唐突な明るさに四季は眼を細める。そして見た。足元に映し出された自宅の情景を。真上から見下ろす居間や台所には、人の姿はないように見える。「この時間帯ではご両親も外出中のようで」36 #4215tk

2016-04-27 21:02:31
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

呟いた鬼女の視線は、畳敷きの広間へと。「しかし座敷童は待っている。健気なものですねえ」その先にいるのは、赤い着物姿の少女。上から見ると綺麗な黒髪しか見えないものの、長机を前に正座している。御影だ。四季の帰りを待っているのかもしれない。「例えばの話なんですが」37 #4215tk

2016-04-27 21:06:29
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

と、巡は四季の方を向きもせずに言った。酷薄な笑みとともに。「あまり時間がかかるようなら、あたしも手持ち無沙汰にここの方々にちょっかいをかけてしまうかもしれません。ま、あの座敷童に限っては少し用心がいるようですが」その目が捉えているのは、御影の傍に置かれた小箱。38 #4215tk

2016-04-27 21:09:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「あの箱、中に七人ほど入っているようですねえ。それに赤い着物の座敷童とくれば、本来は凶事の前触れです。うかつに触るには危ない相手ですが……それはそれ。打てる手というのはいくつもあるものでして」扇子を閉じ、開く。開かれた扇子の上に、手のひら大の蜘蛛が載っていた。39 #4215tk

2016-04-27 21:13:22
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「例えばこいつを忍ばせるなどですな。自分で言うのもなんですが、これに噛まれれば怪異でも危うい。もしくは単純に祟るという手もある。あたしゃこう見えて祟りが得意でして……」「質問いいかな」何気ない一言。それが鬼女の口を閉じさせた。視線がぶつかり合う。40 #4215tk

2016-04-27 21:21:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「……どうぞなんなりと」巡が言う。あからさまに警戒のそぶりを見せている。四季は彼女を見つめたままに問いかけた。「巡さんの目的はよくわかった。けど、そのあとはどうするつもり?つまり、百鬼夜行を復興したら、なにがしたいの?それだけ聞いておきたいな」41 #4215tk

2016-04-27 21:24:07