米国史から理解する「共和党はどうしてレイシストまみれの偏狭な狂気の政党になったのか?」

@buvery 氏による米国史(共和党・民主党の変遷)の解説。
11
buvery @buvery

米国の共和党がどうしてこういう事態になったのか、米国の歴史を知らない人は理解不能だと思います。だってね、共和党の初代大統領は、エイブラハム・リンカーン、内戦に勝って奴隷解放をした本人なんだから。それが、どうしてレイシストまみれの偏狭な狂気の政党になったのか。

2016-05-05 07:56:07
buvery @buvery

南北戦争の頃は、米国は建国80年程度、日本では江戸末期でした。南北戦争を終えた米国はわりとすぐに日本へ黒船を送って、ペリー提督の砲艦外交を始めます。だから、まだ米国は新世界の中規模国で、世界に冠たる侵略国である英国など足元にも及びませんでした。

2016-05-05 07:58:08
buvery @buvery

米国の南部が資本を蓄積するのは、猖獗極まる南部の土地で、タバコと綿花という換金作物を、黒人奴隷の命と交換するというビジネスモデルを作り出したからです。北部の方は白人には暮らしやすかったのですが、南部の初期の植民地は簡単に絶滅しています。たとえばバージニア。

2016-05-05 08:00:09
buvery @buvery

バージニアの最初期の植民地がジェームズタウンですが、ここは3年ほどしかもっていない。全員死んで、遺跡しか残っていない。今でも、遺体を掘り起こして、当時の生活がどうだったか、調べています。

2016-05-05 08:01:25
buvery @buvery

北部の方では、白人の奉公奴隷を使っていました。前借りをして年季奉公させる農業労働者です。北部では、白人の持ち込んだ病気、はしかや天然痘で9割方インディオが絶滅していたので、その無人の耕地に容易に植民できたわけですね。

2016-05-05 08:03:16
buvery @buvery

南部では、奴隷を使った換金作物をヨーロッパに輸出して、巨万の富を蓄積していきました。その豪農がジョージ・ワシントンであり、トーマス・ジェファーソンです。彼らの独立の目的は、英国王に反逆して、貿易の富、さらに、大陸西部に広がる無限の土地、オハイオ・カウンティを独占することでした。

2016-05-05 08:06:08
buvery @buvery

あれ、ほんとだ。1853年が、最初ですね。南北戦争は1861年から1865年です。江戸末期であることが本質なので、論旨は変わりません。RT @Red_Chimaira: @buvery 黒船は南北戦争の前ですね。

2016-05-05 08:07:57
buvery @buvery

その独立の理屈に『奴隷商売の利益を独占するため』と言わずに、『人権』を持ち出してきたんです。だから、トーマス・ジェファーソンは、自分で奴隷を所有し、女奴隷を強姦しておきながら、独立宣言に『神が人を平等に作ったのは自明のことである』と書いています。

2016-05-05 08:09:48
buvery @buvery

この後、奴隷制度をどうするかで北部と南部はずっと対立します。理屈から言えば『人間が平等であれば』奴隷が存在することがおかしいわけで、共和国=王制の否定の立場から言えば、奴隷は解放すべき。おまけに北部は工業化も進み、奴隷に依存する経済からとっくに離れている。南部は依存している。

2016-05-05 08:12:54
buvery @buvery

北部の奴隷解放論者が作った政党が共和党で、リンカーンが初代大統領に選ばれたのを契機に南部が離反し、武力衝突になります。結果は北部の勝ち、奴隷の解放、米国で生まれたものへの市民権の付与という憲法改正、南部の占領、リンカーンの暗殺となります。それが1865年。

2016-05-05 08:15:32
buvery @buvery

明治元年が1868年だから、その3年前ですね。

2016-05-05 08:16:33
buvery @buvery

黒人奴隷は解放されたものの、全く補償を与えられることなく、無一文で放り出されたので、南部にとどまったものは小作農になり、職を求めて北部、西部、中西部の大都市に行った人もたくさんいます。これをgreat migration といいます。1910年から1970年が中心。

2016-05-05 08:20:12
buvery @buvery

南部の貧乏人の白人たちは、貧乏人の人気取り政党であった民主党に入り、南部は民主党の牙城になります。また、黒人に対するテロ組織のクークラックスクランができたのは、南北戦争に負けてからで、奴隷時代ではないんです。

2016-05-05 08:22:23
buvery @buvery

ここまでが、1960年代の公民権運動前の話。

2016-05-05 08:22:52
buvery @buvery

1960年代に公民権運動が盛んになり、ケネディ大統領の演説を経て、ケネディが暗殺され、ジョンソン大統領が最終的に公民権法を通します。南部では黒人が多い州では、白人が黒人の投票を妨害することで権力を握っていたのを、連邦レベルで禁止したわけです。これが民主党の政権。

2016-05-05 08:26:10
buvery @buvery

民主党は時代の先に黒人の政治参加があると見切って、そちらに舵を切ったのに対して、南部の白人は、権益を守るために、民主党を捨てて、共和党に向かいます。この公民権法に対する反対が共和党の性格が百八十度変わった理由です。

2016-05-05 08:28:15
buvery @buvery

その後、レーガン時代に、キリスト教原理主義者(主に中西部の白人)と共和党が連合を組み、中絶反対など唱えるようになります。本来の個人の自由と責任を重んずる共和党の理念から言えば、政府が中絶を法律で管理することなどテンでおかしいので、理念がよくわからなくなってきたんですね。

2016-05-05 08:31:16
buvery @buvery

その後、オバマ時代には、簡単に言えば黒人の嫌いなレイシストのグループがティーパーティーと称して共和党の一翼を占め、共和党が富裕層と頭のおかしいキリスト教原理主義者と、頭のおかしいレイシストの連合になって、今に至る、そういう事情です。

2016-05-05 08:32:39
buvery @buvery

奴隷解放論者として、曲がりなりにも黒人を解放した大統領であるリンカーンの政党が、レイシストまみれの政党になった経緯は、1つ1つは事情があるけれど、180度逆なのでびっくりしますよね。

2016-05-05 08:34:19
buvery @buvery

共和党の連合の問題点は、個々の派閥の主張が強固で、柔軟性がないこと。富裕層はカネ(アメリカン・ドリームと呼ぶ)、原理主義者はジーザス、レイシストは『イスラム教徒のケニア人から国を取り戻せ』という主張を変えようとしない。ところが1980年代以降、米国の人口動態が変わる。

2016-05-05 08:36:59
buvery @buvery

大量のラティーノが米国に流入して、違法移民が1000万人(人によれば、その3倍程度という人もいる)、それが重要州、特にフロリダに増え、移民問題で柔軟な姿勢を取れない共和党が負けて、民主党が勝つようになったからです。その効果はオバマ選挙以降明らかだと思う。

2016-05-05 08:38:47
buvery @buvery

民主党は、別にラティーノが好きなわけではなくて、黒人に参政権を実質的に付与した公民権法の時代と同じように、ラティーノの違法移民と折り合いをつけるのが、米国の未来であり、民主党の未来でもあると政治的に判断しているわけですね。

2016-05-05 08:39:50
buvery @buvery

これが、本選挙ではヒラリー(民主党)が勝つだろう、という理由です。民主党はラティーノの権益を保護しているのに対して、共和党は全く保護していない。これは、トランプであろうと、クルーズであろうと変わりません。

2016-05-05 08:42:22