ニンジャスレイヤー二次創作【テンダー・ホワイト・ドラゴン・アンド・ブルタル・レッド・ブラック・ドラゴン】#5

◆無名のサンシタ @MMMwithbe 第一作◆公式と関係が一切ない◆身勝手◆ #1:http://togetter.com/li/963105 #2:http://togetter.com/li/963850 #3:http://togetter.com/li/969615 続きを読む
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プロキオン @MMMwithbe

【テンダー・ホワイト・ドラゴン・アンド・ブルタル・レッド・ブラック・ドラゴン】#5

2016-05-07 22:46:31
プロキオン @MMMwithbe

「ハァーッ……ハァーッ……!」息を切らせたセジョンデワンは、ペク・ファラン・テコンドー・ドージョーの塀を乗り越えて前庭に降り立つと、門柱に背中を預けてへたり込んだ。深夜ゆえ、ドージョー本体のすべての開口部には装甲雨戸が降りている。師範代といえども、師範の住居に無断侵入はできない。

2016-05-07 22:46:57
プロキオン @MMMwithbe

玄関口の特注装甲雨戸が開く様子はなかった。セジョンデワンはそれで盟友の意志を察した。ここでニンジャスレイヤーを阻止せよ。命に代えても一太刀を浴びせよ。……過酷である。無理をして走ってきたため、右膝の回復は遅れている。あのカリグラというニンジャももう爆発四散している頃合いだろう。

2016-05-07 22:47:17
プロキオン @MMMwithbe

(クソッ……あの声、昼間の新聞記者か……! まさか、あのニンジャスレイヤー=サンが、あんなナリでオレたちの内情を探りにきてたとはな……ウカツ……!)内心で独りごちながら、セジョンデワンは腰につけたバイオ笹タッパーを開け、キムパッ・スシロールを次々と口に詰め込む。急いで咀嚼する。

2016-05-07 22:47:34
プロキオン @MMMwithbe

昼間に作った合成肉のスシロールとは違う。とっておきのオーガニック・ビーフ粉末を惜しみなく使った、大トロ・スシに相当する貴重品。嚥下と同時にニンジャ代謝機能が活発化する。回復力のブースト。(急げ、急げ、早く、早く……)なかなか痛みが消えぬ己の右脚を、苛立たしげにバシバシと叩く。

2016-05-07 22:47:56
プロキオン @MMMwithbe

最後のキムパッ・スシロールを飲み下した5秒後、人の形をした災厄は前庭の塀を軽々と跳び越えてやってきた。「イヤーッ!」回転ジャンプから着地したニンジャスレイヤーが、振り返りざまにスリケン投擲。「イヤーッ!」セジョンデワンは素早くショートカタナを拾い上げ、刀身の腹でスリケンを弾く。

2016-05-07 22:48:22
プロキオン @MMMwithbe

「セジョンデワン=サン。いや、チャン・ヨンソン=サンというべきか。ショクバン・ストリートのアパートメントで、女性と子供を殺害したのはオヌシか」敵意に満ちたニンジャスレイヤーの詰問にも、セジョンデワンは悪びれる様子もない。「おうよ。まったくインガオホーってもんだろ、違うか?」

2016-05-07 22:48:32
プロキオン @MMMwithbe

「ならばオヌシも、インガオホーというものを知る必要がある。サンズ・リバーの向こう側で、己が手にかけた人々にドゲザせよ」ニンジャスレイヤーはジュー・ジツを構える。「悪いがそうはいかねえな。このドージョーを続けるために、あんたは邪魔だ。ニンジャスレイヤー=サン」

2016-05-07 22:49:10
プロキオン @MMMwithbe

ようやく右脚がまともに使えるようになってきた。セジョンデワンはカリグラ戦の最初と同様、左側を前にして、右手のショートカタナを斜め下段に構える。テコンドーのチャギ・キックとショートカタナの斬撃、どちらが攻めの初手かを見切られにくくするために我流で研究したスタイル。

2016-05-07 22:49:33
プロキオン @MMMwithbe

ディセンションの直後、彼は盟友にドージョー・ヤブリを挑んだ。ウシミツ・アワーのドージョー、二人きりの決闘。完膚無きまでに叩きのめされた。よもや盟友にも己に倍する力が宿っていようとは。武器を持つことに走ったのは、ニンジャとしての、そしてカラテカとしての己の限界を悟ったためだ。

2016-05-07 22:49:48
プロキオン @MMMwithbe

「あんたのように、ひたすら殺すだけの狂人にはわからんだろうさ。カラテカにとって、ニンジャにとって、ドージョーがどういう意味を持つものか。なんであんたがオレたちのドージョーを探りに来たのかは知らんが、邪魔するんなら死んでもらうぜ」直後、両者は動いた。「イヤーッ!」「イヤーッ!」

2016-05-07 22:50:18
プロキオン @MMMwithbe

両者共に左ミドルキック! 蹴り足が激突! 重さはセジョンデワンが、鋭さはニンジャスレイヤーが勝る! 互角!「「イヤーッ!」」二手目は同時! ショートカタナを左腕のドウグ社製ブレーサーで受ける! 眼球摘出狙いのサミングを左手で払う! 互角! さらに攻防!「イヤーッ!」「イヤーッ!」

2016-05-07 23:05:04
プロキオン @MMMwithbe

オーガニック・ビーフ粉末由来のウマミ成分と、もはや後がないという生命の危機により過剰分泌されたニンジャアドレナリンとが、セジョンデワンの神経反応速度をブーストさせている。多彩なチャギ・キックとショートカタナの斬撃が効果的に連携する! 先ほどのカリグラ戦とは動きの鋭さが違う!

2016-05-07 23:05:17
プロキオン @MMMwithbe

体重と回転力を乗せた左右のチャギ・キックと、ショートカタナの突きや斬撃。これが有効に機能している今の状況は、すなわちセジョンデワンがカラテ攻防における間合いを制していることに他ならない。ワン・インチ距離よりも微妙に遠い、蹴り技の間合い。ニンジャスレイヤーは思ったように近づけない!

2016-05-07 23:05:34
プロキオン @MMMwithbe

「イヤーッ!」「ヌウーッ!」ニンジャスレイヤーがわずかに押されている!「イヤーッ!」「グワーッ!」セジョンデワンの右スピンキックがニンジャスレイヤーの脇腹をえぐる! 「イヤーッ!」さらにショートカタナの斬撃! ニンジャスレイヤーはバック転で回避し、着地からスリケンを四連続投擲!

2016-05-07 23:06:19
プロキオン @MMMwithbe

「イィヤヤヤヤーッ!」「イヤーッ!」セジョンデワンはショートカタナを顔の高さに掲げ、刀身の腹でスリケンを弾きながら突進する!「イヤーッ!」その勢いを乗せて跳び後ろ回し蹴り!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは受け止めずブリッジ回避! セジョンデワンの右脚は空を切る!

2016-05-07 23:06:44
プロキオン @MMMwithbe

しかしセジョンデワンは空中でさらに一回転し、同じ右脚で再度後ろ回し蹴りを繰り出す! 回転の慣性を殺さず、重量のある体幹の向きをほぼ水平にすることで、右脚は斜め上から打ち下ろすような軌道に変化! そのムーブはトラディショナル・カラテの大技、ドー・マワシ・ニールキックに酷似!

2016-05-07 23:07:09
プロキオン @MMMwithbe

対するニンジャスレイヤーは――動かない! ブリッジ姿勢を維持! 「イヤァァーッ!!」その頂点へセジョンデワンの回転蹴りが叩き込まれる! CRASH! 両手両足の下の地面に小さなヒビが入り、砂埃が上がる! だが強靱な体幹と四肢によるブリッジは全く崩れぬ! ニンジャスレイヤー無傷!

2016-05-07 23:07:27
プロキオン @MMMwithbe

「ヌウーッ!?」蹴りを受け止められた反動で空中に跳ね返ったセジョンデワンが、驚愕に目を見開く。すかさずニンジャスレイヤーはヘッドスプリング・ダブルキックで反撃! ハヤイ!「イヤーッ!」「グワーッ!」セジョンデワンは受けきれずに吹き飛ぶ。身体を丸め後方三回転、着地――「グワーッ!」

2016-05-07 23:07:47
プロキオン @MMMwithbe

治ったはずの右膝に鋭い痛み。着地がおぼつかぬ。カラテカのカワラ割りやボトルカットのパフォーマンスが失敗したときと同様だ。一撃で破壊できなければ、送り込んだ衝撃はそのまま己の肉体に返ってくる。ニンジャといえども関節の構造はモータルと変わらぬ。完全な状態ではなかった右膝が再度損傷!

2016-05-07 23:08:01
プロキオン @MMMwithbe

無論、そのコンマ数秒のもたつきを見逃すニンジャスレイヤーではない。低空ジャンプパンチで一気に距離を詰める!「イヤーッ!」「グワーッ!」蹴り技の間合いを通過し、ワン・インチ距離へ入った! チョップ、肘、膝! 的確な短打!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」

2016-05-07 23:08:16
プロキオン @MMMwithbe

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」セジョンデワンはショートカタナを捨てて両手で必死に防戦し、各種チャギ・キックを有効に使える間合いまで離れようとする。ニンジャスレイヤーは徹底してそれを阻止し、容赦なき連続攻撃で追い詰める!

2016-05-07 23:10:18
プロキオン @MMMwithbe

「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーの左下段回し蹴りが、セジョンデワンの右膝関節側面を正確に捉えた。CRASH! 靱帯断裂! 上半身への攻撃を続けて注意を逸らせた上での、狙い澄ました一撃! さらに頭巾の後頭部を両手で掴み、ムエタイめいた膝蹴りを顔面へ!「イヤーッ!」

2016-05-07 23:31:32
プロキオン @MMMwithbe

「アバーッ!」セジョンデワンのメンポが、鮮血のしぶきを散らしながら吹き飛んだ。鼻筋は曲がり、片目は眼窩ごと潰れて血の涙を流している。ニンジャスレイヤーが手を離すと、その太く丸い身体は糸の切れたジョルリの如くうつぶせに倒れ伏した。「アバッ……こ、こんな……アバッ」勝敗は決した。

2016-05-07 23:31:54