金属色の君主/終

七廻のRPまとめ。
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アリス@中影SGO【HP39】 @BB_GCsenyo

鼻から血が流れ、唇を伝って顎に流れ、地面に落ちていく。 集中が解けたクラークは力が抜けたように膝から崩れ落ちる。心臓がバクバクと大きく脈を打ち、呼吸が乱れて咳き込む。 ふぅー、ふぅーと荒れる息を抑えて立ち上がる。今のうちに行かなくては。

2016-07-03 18:29:19
藤倉カタナ_FateUMマスター(PLシキ) @haruna_kayabuki

@BB_GCsenyo 大軍に取り囲まれた砦のなか、領主クラウディアは、疲弊した兵と共に起死回生の策を練っていた。だが、妙案は浮かばない。今この瞬間にも敵軍に突入されかねない状況で、兵たちの緊張は増すばかり。このまま精神疲労で削れるよりは、玉砕覚悟で突撃すべきかもしれない。→

2016-07-03 20:12:41
藤倉カタナ_FateUMマスター(PLシキ) @haruna_kayabuki

@BB_GCsenyo 「ウィルとクラークには、また叱られてしまうかもしれんのう」 ぽつりとこぼせば、近衛兵たちがカラカラと笑いを返した。むっとする姫君主に頭を下げつつ、各々の得物を手に取り立ち上がる。突撃命令が出ることを見越しているのだ。クラウディアは満足げに頷いた。 →

2016-07-03 21:03:07
藤倉カタナ_FateUMマスター(PLシキ) @haruna_kayabuki

@BB_GCsenyo どうせ突っ込むのなら正々堂々正面からやる他ない。クラウディア軍は隊列を組んで砦の表へ出て、戦意を示すように武器や鎧を打ち鳴らした。 そして、これから城門を開けて飛び出そうとしたーーーその直前に。 「……敵軍が、引いていく?」 →

2016-07-03 21:05:25
藤倉カタナ_FateUMマスター(PLシキ) @haruna_kayabuki

@BB_GCsenyo ざわめきは起こらなかった。クラウディアの部下たちは、一兵卒に至るまで、ただただひとりの男の到来を悟った。あの男が現れたのだ。姫君主の一の騎士が。 「クラーク……」 無意識にその名を呼び、 「ま、まったく!待ちくたびれたぞ…!」 意識して、軽口を叩いた。

2016-07-03 21:08:11
アリス@中影SGO【HP39】 @BB_GCsenyo

@haruna_kayabuki 「待たせてしまっていたとは…お許しください」 ボロボロの体。覇気のない声。歩くのも覚束ない姿で現れた。 大量の人間を、たくさんの時間を一斉に巻き戻したクラークは肉体的にも、精神的にも限界が近かった。 「早くこの場から撤退を…」 →

2016-07-03 21:43:46
アリス@中影SGO【HP39】 @BB_GCsenyo

要件を言おうとして、バランスの取れなくなった体は地に膝をつく。 しかし構わず言い続けた。 「俺がしたのは、敵兵の時間を巻き戻すことです。時間がありません、お早く」 クラウディアの顔を見つめる。そして、少しほっとしたように表情を柔らかくする。 「大きいな怪我がなくて良かった…」

2016-07-03 21:48:46
藤倉カタナ_FateUMマスター(PLシキ) @haruna_kayabuki

@BB_GCsenyo 「怪我などするものか!余は常に誰よりも強く、頑健でなければならんのじゃからのう!」 からからと笑って、クラークの頭をぽこぽこと叩く。 「おぬしのお陰で時間ができた。いまのうちに撤退じゃ。しんがりは余が務める。クラーク、おぬしは先頭じゃ」

2016-07-05 23:24:16
アリス@中影SGO【HP39】 @BB_GCsenyo

@haruna_kayabuki 「御意。あなた様の命令であれば」 ぐぐ、とゆっくり立ち上がる。傷口から血が斑点状の汚れを地面に落とした。 久々に見る兵士たち、初めて見る兵士たち、ぐるりと見通すようにクラウディアに背を向ける。 渡された馬に跨り、スナイプス領へと駆けていく。

2016-07-06 21:28:26
アリス@中影SGO【HP39】 @BB_GCsenyo

スナイプス領に無事帰還した、クラウディア、クラークを含む兵士たち。 しかしクラークは事切れるように馬から崩れ落ちながら気絶してしまった。大量の傷からすぐに適切な治療され、ベッドに横にされ数時間後、ゆっくりと覚醒した。 → twitter.com/BB_GCsenyo/sta…

2016-07-06 21:35:08
アリス@中影SGO【HP39】 @BB_GCsenyo

目が覚め、ガバリと上半身を起こす。 「ハッ…」 すぐ後の記憶にあるのはスナイプス領のクラウディアの本拠地である城についた時だ。その後、視界がぼんやりし始めて体が支えきれなくなって。 しかし、視界にあるのはロウタス領に行く前に使用していた自室だった。 →

2016-07-06 21:39:50
アリス@中影SGO【HP39】 @BB_GCsenyo

視界で自室だと理解した後に、体に激しい鈍痛が襲う。 声も出ないまま、丸くなりながら倒れるようにベッドに横になる。 馬に乗りながら、まだだまだだと気が遠くなるのを堪える自分を思い出す。 「最後まで持たなかったか…」 フッと自嘲するように笑った。

2016-07-06 21:43:40
藤倉カタナ_FateUMマスター(PLシキ) @haruna_kayabuki

@BB_GCsenyo 「笑う元気があれば大丈夫そうじゃのう」 部屋の中、クラークからは死角になる位置にいたクラウディアが、小さく微笑みながらベッドに近づいてきた 「隠れていたわけじゃあないぞ。久しぶりに入る部屋だから、物珍しくてのう。おまえは眠りこけていて話し相手にならんし」

2016-07-07 01:36:28
アリス@中影SGO【HP39】 @BB_GCsenyo

@haruna_kayabuki 「聞かれていたのですか」 力なく、クラウディアを見上げながら笑う。 「お恥ずかしいところをお見せしました…すいません」 包帯を巻かれた体、ガーゼを貼られた顔、そして今の言葉。これ以上に相手を失望させることがあるだろうか。 →

2016-07-07 13:26:53
アリス@中影SGO【HP39】 @BB_GCsenyo

@haruna_kayabuki 「あなた様から離れた後、いろいろと手を回し、頑張ってまいりましたが…」 今回の戦いを振り返る。たった七日間。しかし捻じ曲げられた七日間。 クラークは己が思う最善の策をとってきたつもりだが実際のところはどうだろう。もっと何かできたのではないか →

2016-07-07 13:32:30
アリス@中影SGO【HP39】 @BB_GCsenyo

@haruna_kayabuki 「…最終的にはあなた様のところに、しかもこんな姿で帰ってきてしまいました」 また、自嘲する様に笑った。

2016-07-07 13:34:02
藤倉カタナ_FateUMマスター(PLシキ) @haruna_kayabuki

@BB_GCsenyo 「それは違うぞ、クラーク」 びし、と人差し指をつきつけて。 「こんな姿で戻ってきてしまった、ではない。おまえは、『そんな姿になってまで、来てくれた』のじゃ」 真面目な顔で。 「大義であったな。我が騎士よ」

2016-07-11 00:25:55
アリス@中影SGO【HP39】 @BB_GCsenyo

@haruna_kayabuki 大きく目を見開く。そして指とクラウディアの顔を交互に戸惑ったように何度も何度も見つめる。 「そ、そんな…おれは」 上手く言葉を紡げない。 「クラウディア様の、騎士だなんて、俺はまだ不完全すぎます…だからその言葉を取り消してください」 →

2016-07-11 23:43:34
アリス@中影SGO【HP39】 @BB_GCsenyo

@haruna_kayabuki 戸惑ったような、絶望するような、そして確信的に泣きそうにたくさんの光を受け止めて歪み始める銅色の瞳。 「まだ俺はあなた様に泥しか塗ってません…あなた様の恥なのです…」 瞼を瞑って、俯く。たった一言、自分を評価した言葉がクラークの心を揺らす。 →

2016-07-11 23:48:41
アリス@中影SGO【HP39】 @BB_GCsenyo

@haruna_kayabuki 胸に込み上げる何か。ハコの時もそうだった、この名状しがたい違和感。 まさか、自分がどれだけ汚く、見苦しくともそれを認める言葉に、それを否定する自分の言葉に、こんなに複雑に心が揺れてしまっていた。

2016-07-11 23:51:36
藤倉カタナ_FateUMマスター(PLシキ) @haruna_kayabuki

@BB_GCsenyo 「な、なぜここでそんな顔をするのじゃ…!? わ、わたし…妾…、じゃない、余は!余は!なにか変なことを言ったのか…!?」 わたわたと慌てた様子で華奢な両手をばたつかせ、視線はクラークを見たり天井を見たりと忙しくなく、少女君主はその動揺を目一杯に垂れ流した。

2016-07-12 00:01:37
アリス@中影SGO【HP39】 @BB_GCsenyo

@haruna_kayabuki 飲み込んでいた息を吐き出して、 「あなた様に不備はありません。あるとすれば俺の方です。」 クラウディアを見上げて、力なく笑う。 少女に何をぶつけているのだろう。と考えながら、困ったように笑った。

2016-07-12 00:21:08
藤倉カタナ_FateUMマスター(PLシキ) @haruna_kayabuki

@BB_GCsenyo 「そ、そうか…?く、くはは!そうじゃろうそうじゃろう!余に不備などあるはずがなかろう!」 わざとらしくカラカラと、ひとしきり笑ってから。 「あ、あのじゃな、もちろんお前にも不備などないんじゃぞっ?」 遅まきながらに気づいてフォローした。

2016-07-12 00:25:46
アリス@中影SGO【HP39】 @BB_GCsenyo

@haruna_kayabuki 「いや、俺は」 否定しかけて、このまま続けるとこの会話の終わりがなくなると感じたクラークは、否定の方向性を変えてみる。 「…お世辞なんて慣れないことはしなくていいんですよ、クラウディア様」 そう言って、分厚く包帯を巻かれた手で少女の頭を撫でる。

2016-07-12 00:35:06
藤倉カタナ_FateUMマスター(PLシキ) @haruna_kayabuki

@BB_GCsenyo 「ん…、そうか」 おとなしく撫でられながら、姫君主は小さく頷いた。 →

2016-07-12 00:38:47
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